【カイハク】ファム・ファタール
「ファム・ファタール」
月明かりの差し込む中、暗い室内に荒い呼吸だけが響く。
床板に流れた血溜まりが、暗い影を広げていた。男は気力を振り絞って傷跡を押さえようとしたが、いかんせん数が多すぎる。押さえる指から力が抜け、呼吸は徐々に途切れてきた。男の目尻から涙が零れ、月の光を弾く。
その時、
「何を望む?」
誰かの声がした。男は、救いを求めるように震える手を持ち上げ、不明瞭な言葉を漏らす。
「・・・・・・承知した」
何かが、男の手を包み込んだ。その手を握り返す余力など、男には残されていない。不意に、目の前を鮮やかな青が埋め尽くし、命が尽きようとしている耳元に囁かれたのは、
「お前が望む限り、側にいよう」
月明かりの差し込む中、暗い室内に荒い呼吸だけが響く。
床板に流れた血溜まりが、暗い影を広げていた。男は気力を振り絞って傷跡を押さえようとしたが、いかんせん数が多すぎる。押さえる指から力が抜け、呼吸は徐々に途切れてきた。男の目尻から涙が零れ、月の光を弾く。
その時、
「何を望む?」
誰かの声がした。男は、救いを求めるように震える手を持ち上げ、不明瞭な言葉を漏らす。
「・・・・・・承知した」
何かが、男の手を包み込んだ。その手を握り返す余力など、男には残されていない。不意に、目の前を鮮やかな青が埋め尽くし、命が尽きようとしている耳元に囁かれたのは、
「お前が望む限り、側にいよう」
作品名:【カイハク】ファム・ファタール 作家名:シャオ