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こらぼでほすと 二人1

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ロックオンがデュナメスリペアで降下する予定は、予定通りだ。赤道辺りに大気圏降下して、そこから海中を特区まで移動する。それはいいのだが、ひとつ、やっておくべき事柄が発生していた。
「だから、シールドビットとは違うと言っただろ? 固定されているシールドなんだから、デュナメスリペアを動かせ。」
「わかってるよっっ。わかってるけど、刹那の攻撃を避けて態勢を変えるのが大変なんだ。」
 ケルビィムはデュナメスの後継機だが、デュナメスを改良して、後方支援機であっても機動性は向上させてある。デュナメスは地上での戦闘を考慮していたから、シールドがMSに固定されている。ある程度の角度や位置は動かせるが、シールドビットのように自由に移動するものではない。それに、リペア機には、ハロは搭載していないので、射撃の微調整なんかも、ある程度、マイスターがやることになる。AI搭載型ではない汎用性の高いコンピューターを搭載しているので、誰でも使いこなせるが、微調整まではしてくれないのだ。
 普段から、ハロにシールドビットの制御を頼っていたロックオンだと、そこいらに手が廻らないなんて事態に陥っている。とりあえず、簡単な模擬戦を刹那とやってみたら、シールドを活かせないなんてことになった。
「制御が難しいなら、そこいらはキラにシステムを組み替えてもらえ。あちらで模擬戦をすれば、システムの不備も理解してくれるはずだ。」
「キラと? 」
「シールドの制御機能の確認のためだ。殺されることはない。」
 以前、キラと対戦してボッコボッコにやられて気絶させられたロックオンとしては、あまり模擬戦とはいえやりたくない。やりたくないが、シールドを使いこなせないのは事実で、システムを組み替えて、ハロのように制御してくれるシステムを構築してもらわなければデュナメスリペアを使えない。
「・・・・しょうがないか。」
「当たり前だ。・・・大気圏降下にもシールドは使用するんだが、それはわかっているな? 」
「それは大丈夫。大気圏降下のシークエンスだけなら、文句なく動かせます。・・・てかさ、ダーリンの攻撃が容赦なさすぎると思うんだが・・・」
「敵に温情をかけてもらえると思っているのか? 」
「いや、そうじゃないけどさ。」
 ガンダムマイスターでも機動性の一番良好な機体と、後方支援機では機動性が段違いだ。それで単機で攻撃されて単機で受けて立つというのが、そもそも戦闘パターンとして珍しいのではないか、と、ロックオンは考えたのだ。
「今後、武力介入は激減するが、その代わり、敵は巧者になる可能性もある。連邦のイノベイターと戦うとなれば、そうなる。」
「わかってるよ。」
 今のところ、連邦とは敵対関係にはないが、いずれ、そうなる場合も出て来る。そうなると、刹那の言うように、あちらのイノベイターが出て来るはずだ。刹那と対等に渡り合える相手だとしたら、デュナメスリペアで対抗するのは、ロックオンでは難しい。そこいらの問題があるから、刹那も厳しいのだ。
「そのイノベイターの情報って、もう掴んでいるのか? 刹那。」
「ティエリアが確認はした。間違いなく、連邦には純粋種のイノベイターが一人、存在するそうだ。」
「逢いたくないなあ。」
「できれば、俺も逢いたくない。」
 脳量子波を自在にに操れる相手だとしたら、刹那と接触することで共鳴して、とんでもないことになりそうだ。ティエリアも、それを案じている。




 そんなこんなで、ロックオンは特区のラボに辿り着いたのは、一応、五月のギリギリだった。そちらにも連絡は入っていて、キラとアスランが待ち構えていた。
「ロックオン、いらっしゃーい。そのままデータを取らせてもらってもいい? 」
「はあ? 休ませろ、キラ。俺は大気圏降下で疲れてんだよっっ。」
「大気圏降下って、別に降りるだけじゃないの? なんか疲れることあったっけ? アスラン。」
「移動時間の問題じゃないか? キラ。赤道辺りに降下して、ここまで移動したからだろう。・・・ロックオン、起動したままで降りてください。俺たちで、ある程度のデータは取らせてもらいます。」
「あっ、そうか。三十路だもんねぇーロックオン。刹那は元気にしてる? 新しい機体はロールアウトしたの? ねー、脳量子波を活用できる機体なんでしょ? どんな感じ? 」
「うるせぇー。黙れっっ、キラッッ。」
 ラボの中を移動している最中に、キャラキャラと矢継ぎ早に質問されてロックオンはキレた。なんせ、ここんところ、無口な亭主と二人っきりだったから、騒がしい環境になかったからだ。
「うわぁーキラに怒鳴った。やっぱり、双子なんだなあ、ニールと似たような台詞だ。」
「ダコスタ、そこじゃない。あいつ、データを取る相手がキラだって忘れてるんじゃないか? 暴言を吐いたら倍返しだ。」
 管制室に詰めている鷹とダコスタは大笑いする。休憩して、データを取ることになるが、対戦相手は天下無敵の大明神様だ。あんな暴言を吐いたら、ご機嫌で捻り潰すこと請け合いだ。



 まあ、そのために理知的なアスランが居る。こちらでデータ収集ということで、組織の機体を乗る体験をさせてもらう。ロックオンが搭乗するとは限らないから、ロックオンのクセなんかは考慮しなくていい。
「ロックオン、データは俺たちで取ります。ある程度、データを集めてから、実際に使用するあなたのデータも取らせてください。」
 管制室に顔を出したロックオンに、アスランが、そう提案する。みんな、他所の機体は体験したいから、被験者は続々と立候補している。アリオスも、順番待ちして乗っている状態だ。
「それってことはだな。何日か、俺は特区で待機してなきゃならないのか? アスラン。」
「まあ、十日ぐらいは時間が欲しいですね。うちの人間に搭乗させてデータを取りたいので。その間はニールとゆっくりしていてください。」
「わかった。じゃあ、俺、ニールんとこに世話になってるから。・・・あ、あそこ、ティエリアの兄貴が陣取ってるんじゃなかったか? 」
 別にイノベイドに偏見はないのだが、実兄にベタベタと纏わりついているイノベイドは、ムカっとしそうだ。
「今はヴェーダに戻っています。だから、ママニールの相手をして欲しいんですよ。ハイネだと、昼間は一人になることが多くて。」
 リジェネは五月の前半に自身のメンテナンスと、他の用件を携えてヴェーダに戻った。すぐに降りて来るとは言ったものの、さすがに、二週間やそこらでは降りては来れないらしい。だから、ニールはただいま手間のかかるのがいなくて暇にしている。アホのロックオンなら、いい遊び相手になる。 
 ロックオンも、特区に一週間ぐらいは滞在するつもりだったから、それならそれでいい。とりあえず、実兄のところで世話になっていることにした。


作品名:こらぼでほすと 二人1 作家名:篠義