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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

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第1話『二度目の出逢いと、雪姫の心』


<01話>

高校1年生の夏──
俺、目覚計佑の幼馴染が……宙に浮いていた。
上半身だけパジャマの、下は生足で。
「変なところみるなーっ」
ゴッ。
その幼馴染の正拳が眉間に決まり、倒れこむ。
──夢でも見てるハズなのに、めちゃいてぇ……
そして、一体どこから夢だったのやらと今日の出来事を思い返し始める──。

────────────────────────────────

ピリリリ……ピリリリ……
アラーム音で、目を覚ました。
(あー……昨日はちっと遅くまで星眺めすぎたなぁ……
うぅ……さっさと起きねーと、確かアイツ、今日は朝練なかったハズ。
何してくるかわかったもんじゃねーんだから……)
そうして身体を起こそうとした瞬間、
ドバァァン!!
『起ォーきろォ〜〜〜ッッッ!!!』
ドアが壊れる勢いで開くと同時に、大音量が響き渡る。
ギュィイイイィィ……
ビリビリと、残響音と目覚ましのベルがハーモニーを奏でた。
……耳鳴りがまだ収まらない中、ガマンできずにツッコミをいれる。
「……おいこら。おまえそれ拡声器……」
「あっ……はは……おっ起きたカナ……?」
自分で音波兵器をぶっぱなしてきておきながら、自身もダメージを受けて耳を抑えこんでいる『アイツ』……音巻まくら。
「『起きたカナ? じゃねーよ!! どこまでエスカレートするつもりだよおまえっ」
「いやー……持って帰ってくるの大変だったんだよ? 監督に散々拝み倒してようやくさあ」
「テメーの苦労はきーてねーだろ!!」
「コラーっ!! 何だ今のはーっ」
俺の母親(目覚由希子・年齢はとりあえず伏せておく)までが現れた。
おっとつまりこれは……
「ごっごめ」
コイーン!
言い切ることも出来ずに、おたまの一撃を喰らうまくら。うん、当然この流れになるわな。
「ご近所迷惑でしょうがぁっ!!」
「ごめんなさぁい……」
涙を目にためつつ、今度は発言を許可されたそいつの姿に、
──フっ……ざまぁ
「アンタもだよ計佑っ」
ゴッ!
「おっ!!……オレは悪くねーだろ……」
──しかもげんこつ通り越してヒジかよっ……
寝坊した訳でもないのに理不尽すぎる仕打ちだとは思うが、
……まあ我が家では別に珍しいことでもない。
コイツのせいで俺がとばっちりを受けるなんてことは。

このやかましすぎる、俺にとっては妹みたいな存在。
といっても、物心ついた時から一緒の腐れ縁ってだけで、本当の兄妹ってわけじゃないコイツ。
まくらの母親は早死にしてしまい、忙しい親父さんにかわってウチのお袋がよく面倒をみていた。
そういう訳で、コイツはウチの母親によく懐いているし、食事だって殆どをウチで食べる。
だからもう家族みたいなもんって訳だ。

─────────────────────────────────

「はーっ……全くいつもいつもアイツは」
望遠鏡をカチャカチャといじる計佑。
机には星や鉱石の本。顕微鏡。天体観測は計佑の趣味だった。
お年玉を何年もためてようやく買えた、宝物の望遠鏡。
買って半年になるが、朝からの天体観測は欠かしたことがなかった。

「計佑ーっごはんーっ」
まくらの声が届く。
「はいよー」
計佑が一階へと降りて、食卓へ着いて。
「今日も熱くなりそうだねー」
ぼやきながらまくらがテレビをつけると、CMが流れはじめた。
『鏡よ鏡よ鏡さん──・・・世界で一番美しいのはだーれ?』
うええええええ!!??」
突然のまくらの絶叫に計佑、由希子ともにむせた。
「なんだよお前っ、いきなり奇声上げやがってっ!」
「これっこれこれ!!」
「ん? わーキレイなコねー」
「計佑っ、ほらほらわかるでしょっ!?」
「は?」
言われて計佑もテレビに目を向ける。
「雪のような結晶素肌・・・kamebou "snow white"・・・」
『白雪フェイス』
キャッチコピーの締めと同時に、確かに綺麗な女の子がアップで映りだされた。
「スッゴイよねー!!ウチのガッコの先輩がテレビCMだよっ!!」
「先輩がCMって日本語足りてねーぞおい……」
いきなりのハイテンションについてけない計佑が、冷めたツッコミを入れる。
「白井雪姫先輩……図書委員長で清楚で成績優秀で!
スゴイ美人でいつも笑顔をふりまいていて!! 勿論先生たちにまで大人気!!」
少年の言葉など聞く耳持たないまくらのハイテンションは続く。
「憧れるよねー……アタシも努力したら『ムリ』」
計佑がまくらのセリフを遮った。
「なっ何割り込んできてんの……」
「確かに。そのナントカ先輩は美人でスーパーだろうけど。
だからこそだな……お前ん家は鏡ないのか? じゃなきゃわかってるだろ」
ぐっと詰まったまくらに畳み掛けるように
「お前、目はよかった筈だけど……メガネ買いに行くんならつきあってやるぞ?」
「……うがーっっ、もういいよっ!!」
「鏡よ鏡よ鏡さん──私をあのヒトみたいに美人にして・・・とでも唱えるかー?
まー、『ダメだ。その願いは私の力を超えている。』って鏡割れちゃいそうだけどなー」
どこかの神の龍のモノマネを混ぜながら更にまくらをからかう計佑。
「んがーーっっ!! 計佑〜〜っ」
まくらが立ち上がり、計佑につかみかかろうとする。
「ほらっ、ホントに遅刻するわよっ」
一定のラインを超えると入る、いつも通りの、鶴の一声。
──そう、この日も朝まではいつも通りだった。

─────────────────────────────────

キーンコーンカーンコーン……午前最後の授業の終了チャイムが鳴った。

「あー……ハラ減ったー……」
「おっ? 今日はどうしたんだよ計佑?」
計佑へと話しかけてきたのは、友人の茂武市だった。
「まくらのやつがよー……自転車学校に置いてあるから今朝は乗せてけって。おかげで余計にカロリー消費しちまったんだよ今日は」
「はっはー、いつも通り仲のいいこったなーお前らは」
「どこがだよ……ただのケンカ兄妹でしかねーだろ」
「しかしまー羨ましいわ……あんなカワイイ幼馴染と家族同然の付き合い・・・このリア充がっ」
「あ? カワイイ幼馴染って……まくらのことか? お前本気か??」
顔をしかめる計佑に、はーっと、これみよがしにため息を付いてみせる茂武市。
「よく言うよなー計佑……あのな、狙ってるヤツ多いんだぞ彼女のコト?」
「ええぇ?」
「一年生にして女子ソフト部のエース! 彼女がいれば
万年一回戦のウチでも県大会も夢じゃないと言われる逸材!
天真爛漫100パーセントの健康美少女! 名前にちなんで『眠り姫』と呼ばれて──」
「あーもーわかったわかった。腹減ってるから、もーまくらのうんちくはいいからとにかくメシ食わせてくれよ」
しかし、計佑の希望はまだ叶えられることはなかった。
「目覚くーん、今日の理科当番はお昼休みの間にコレを理科準備室に運んでおく様に、って」
「あ、委員長……って、うわ、こんなでかいもん一人で運べってか?」
クラス委員長・須々野硝子の指すダンボール箱は、1メートル四方はありそうな大きさだった。
「おい茂武──」