二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル

INDEX|2ページ/169ページ|

次のページ前のページ
 

「おーっとオレ今日はパンだったんだ売り切れちまうー、んじゃな計佑ー」
茂武市が、金属のスライムのような逃げ足を披露してみせた。
「あんにゃろ……」
「あー、目覚くん……よかったら手伝うけど?」
遠慮がちに、メガネの少女が申し出る。
「んー……なんだ、箱はでかいけど中身は軽そうなもんばっかだな。一人で大丈夫だよ委員長」
「……あ……そう? うんそれじゃ……」
残念そうな声を出しながら、すごすごと少女がひき下がる。
見る者が見れば一発でわかりそうな言動だったりするのだが、この少年はさっぱり気づかない。
「先にメシ食いたいとこだけど・・・しょーがねーか、仕事は先に片づけちまおう」

─────────────────────────────────

「くっ・・・重くはねーけど、ここまでデカイとやっぱ厳しかったか・・・前が見えないってのはどうにもな」
えっちらおっちら、ようやく準備室までたどり着き、
「よいっしょ・・・」
軽く蹴りつけるようにしてドアに足をかけ、その足で開く。
「失礼しまーす・・・」

─────────────────────────────────

──えっ、誰・・・!?

追手から逃げて準備室に飛びこみ、ドアにもたれて一息ついていた少女は、
そのドアが蹴られた事でビクリとドアから身体を離して振り返った。
すぐにドアが開き、

──見つかった・・・!?

覚悟した少女だったが、彼女の視界に入ってきたのは、まず巨大なダンボール、
そしてそれを抱えている生徒の足だった。

──なんだ、違った・・・

ほぅと軽く息をついたが、安心するのは早かった。
前が見えていないその人物は、彼女の存在に気づかずズイっと部屋に踏み込んできたのだ。

「! 待っ──」

─────────────────────────────────

「待っ──」
「え」
聞こえた声に反応は間に合わなかった。加えて、足元に転がっていた何かで足が滑る。
「うわっ・・・」
抱えていたダンボールを放り出すも、もうバランスは取り戻せず──
バターン!
受け身も殆どとれずに倒れこんでしまった。
「ってぇぇ……」
痛みに顔をしかめていた計佑だが、
ふと、左手が柔らかいものを握っていることに気づいた。
──なんだこれ・・・
遮光カーテンで窓が覆われた室内はかなり暗い。
しかし開きっぱなしのドアからの光があれば、自分が握っているものが──

──女子の胸ぇっ!?

とわかるには十分だった。
はわっと慌てて手を離し、謝ろうとした瞬間、
「そっちは捜したのかー!?」
男性のそんな声が聞こえてきて、目前の女性がギクリとした。
彼女は慌てて立ち上がると、ドアをピシャリとしめつけ鍵をかけて、
また身を翻すとまだ倒れたままの計佑に覆いかぶさってきた。

──!!!???

ドアを閉められ、暗くなってしまった室内では相手の顔は良くわからなかった。
しかし突然女性にのしかかられて、平然としていられる訳もなく、
半ばパニックになって硬直してしまう計佑。
そんな計佑の口あたりを、女性の手が塞いでくる。

───!!!??!?!!??

もはや目を白黒させるばかりしか出来ないでいると、
「声・・・出さないでね。お願い……」
言われなくても、完全に硬直してしまっている計佑。
「おい、もうホントに時間ないぞっ。早く見つけてこいよっ!!」
ガタン! ガチャガチャッ!!
そんな声の主が、ドアを開けようとしたきた。
しかし鍵がかかってる以上開くはずもなく、
「理科準備室で鍵か・・・普通なら施錠したままのはずだな」
確かに薬品がある部屋を通常開けっぱなしにする筈はないのだが、
その常識的な思い込みが、彼にとっては仇となった。
「くそっ、一体どこなんだよっ」
悪態をつく声が、足音と共に遠ざかっていく。
「……はー。助かった・・・」
つぶやく女性の身体から力が抜けるのを感じた瞬間、計佑の金縛りもようやく解けた。
「あっあのっ……」
口にかぶせられた手に軽く力をかけ、口を開く。
「あ・・・ごめんなさい。突然こんなことしちゃって」
ようやく、彼女がどいてくれた。
パンパンと服をはたく音と共に、彼女の声が続く。
「ホントにごめんね。なんか巻き込んじゃうみたいにして……」
「やっ、全然……別に……」
ショックが抜けきらず、まだカタコトしか発言できない。
「最初から鍵かけとけばよかったのよね・・・うっかりしてたなぁ」
そんな独り言らしきセリフをいう女性。
多少目は慣れてきたが、やはり彼女の顔の細部はわからなかった。
「あの・・・なんか追われてるんですか? ヤバイんなら先生に連絡とか」
ようやく思考と会話能力がもどってきて、そんな風に話しかけたが、
「あー……うん、そんなんじゃないの。
ちょっとこう……オーディションを受けさせられそうになってただけで」
「えっ? オーディション……?」
「あっううん!! そんなことより、貴方、名前は?」
「あっ……1年の目覚計佑です」
名乗ってから、自分がずっと敬語だったことに気づいた。
自分と同じ学生なら、同じ学年の可能性もあるのだけれど。
胸をつかんでしまった罪悪感と、一連のショッキングな流れからのせいなのかもしれなかった。
「……私は三年の白井雪姫」
「あっ、先輩ですかやっぱり……ん? 白井雪姫って……あれ? なんか聞き覚えあるような──」
「ねえっ」
その白井先輩が遮るように声をあげた。
「それより、もうちょっとだけ手を貸してくれないかな……? なんとか裏門まで見つからずに行きたいんだけど」
「見つからず……ですか」
計佑が、足元に転がる自分の運んできた巨大なダンボール箱を見下ろした。
「……スネークごっこって知ってます?」

─────────────────────────────────

「っ……っ……」
ぷるぷると危なっかしい足取りで、計佑がさっきまでは軽かったダンボール箱を運んでいる。
「ねえ・・ホントに大丈夫・・・?」
「だっ 大丈夫です・・・ 」

──ホントはかなりやばいんだけど・・・っ

あるいはお姫様だっこのように、相手もこちらに掴まってくれているならともかく、
体育会系でもない、細めの少年が40キロを超えるダンボール箱を持ち運ぶというのは
かなり厳しいことだったのだけれど。
計佑はよくやっていた。
「えっ!? やっ! きゃっ!」
「ちょっ、声出したらヤバイですって!!」
突然の雪姫の声に、計佑も思わず普通の音量で注意してしまう。
「ごめっ」
ダンボールの中から、今度は小さい声で少女が謝ってきた。

─────────────────────────────────

──でも……おっ……お尻に指が──!!

限界まで力りんでいる少年の手がどんどん汗をかいているせいで、
手のひらが支えている部分のダンボールが、次第にふにゃふにゃになっていく。
そして、その部分はちょうど雪姫のお尻がある場所で。

──うーっ……わざとやってる訳じゃないんだろうけど……っ!!

持ち直すためか、時々位置を変えたり、指先がめりこんできたり。

──〜〜〜っ・・・!!