こらぼでほすと 二人9
食事が終わると片づけが始まる。卓袱台が片付けられて、大人組は、本格的に呑む態勢になる。
「俺の口に、ほとんど入らなかったぞ。」
「まだ、言うか、婿殿。」
「てか、あんた、そろそろ酒はやめてください。」
そろそろ、危険な酔い加減なので、ニールが水を配達している。あんまり酔うと、口説き魔モードになるから、そこいらは加減している。
「きみは呑めるんだろ? ロックオンくん。」
「まあ、そこそこは。」
「じゃあ、こっちに付き合え。」
実兄は、洗い物をしたり泊まりの人間のための布団の用意をしたり動いている。シンたちも洗い物は手伝っているので、片付けも早い。
「とりあえず、アマギさんとトダカさんは客間で、おまえらはハイネんとこでいいか? 」
「俺は、ママのところで休みますよ。」
「俺、とーさんと一緒でいいよ。それなら、客間の布団だけ敷けばいいからさ。」
元軍人は、どこでも寝られるので、それほど拘りはない。勝手知ったるなんとやらで、悟空と一緒にシンが客間の布団を用意している。
「俺は? 兄さん。」
「一人がよければ、奥の脇部屋が空いてるぞ。」
「いや、あんたんとこでいいよ。」
「レイも一緒だけど? 」
「邪魔なわけ? 」
「いや、全然。俺もレイも、寝たら動かないから。」
「一緒でいい。」
「はいよ。」
脇部屋の支度をして、風呂に着替えも用意する。下着は各人、持参していただくが寝間着は、浴衣が用意してある。坊主の着替えだが、洗ってあるから問題はないし、シンやレイは着替えを、寺にもキープしているので、ふたりは自分のパジャマがある。
「三蔵さん、一番風呂に入りますか? 」
ぐだぐだと酒を呑んでいる坊主に、声をかけたら立ち上がった。それから、女房の腰に手をやって抱き寄せる。
「おまえが俺の全身を、くまなく洗うなら一緒に入ってやる。・・・なんなら、俺も洗ってやるが? 」
坊主が、いい声で女房に囁く。はあ? と、ロックオンは驚いた。ノンケですよね? 義兄さん? と、内心でツッコミだ。トダカとアマギは爆笑して手を叩いている。
「ママ、俺が水かけて正気に戻す。・・・結構、呑んでたからなあ。」
ピキッと固まった寺の女房の肩を叩いて、おサルさんは坊主を担ぐ。酔ってるので、記憶がないから、とりあえず水シャワーを浴びせて正気に戻すのは、悟空の担当だ。
「・・・久しぶりで、びっくりした・・・」
開放されたニールは、わぁーと無闇矢鱈と手を振っている。ねぇーわーという意思表示らしい。
「相変わらず、いい声だなあ。」
「女性なら一発ですねぇ。」
トダカとアマギは大笑いしている。たまに酔いすぎると化けるので、いい余興であるらしい。
「あれ、なに? シン。」
「え? 見たことなかったか? ロックオン。三蔵さん、酔いすぎると口説き魔になるんだ。で、当人、記憶が飛んでて冷めても覚えてないんだよ。すげぇーだろ? 店でも、わざわざ、あれを聞きたくて、お客さんが酔わせてる。」
「はあ? 」
「また、腹立つほどに、いい声なんだ。とーさん、よくあれでグラつかないな? 俺、ビビりまくるぞ。」
「うーん、毎日、聞かされるから慣れたんだろうな。いい声なんだけど、私はノンケだからさ。」
「俺は慣れませんよ、トダカさん。・・・びっくりした・・・」
「ははは・・・娘さん、鷹さんや虎さんのは慣れたのにねぇ。」
「あの人たちのは、やられるタイミングがわかってるから対処がきくけど、亭主は突然ですから。」
「いつ限界超えるかわかんないもんなあ。」
ロックオン以外は、見慣れているから、なんてこともないが、ロックオンは、ちょっとキュンとした。あの声で囁かれると、うっかり浮気しそうだ。
「兄さん、義兄さんってノンケだよな? 」
「もちろん。あれは無差別攻撃だ。」
「あれでも、兄さんは絆されたりしないのか? 俺、かなりドキドキしたけど? 」
「しねぇーだろ。驚くけどさ。・・・てか、あの人、強いから押し倒されたら問題だなあ。」
今のニールでは、あのまま押し倒されたりすると、抵抗が難しい。体力ありまくりの喧嘩殺法の破戒坊主なんで、鳩尾に一発極められたら、抵抗どころではない。別に、女房は亭主に押し倒されること自体は、構わないのだが、後が怖いのだ。
「そこまではしないみたいだよ、娘さん。とりあえず、口説き台詞の羅列だけだ。」
トダカは、しょっちゅう口説かれているが、カウンター越しというのもあって実力行使されたことはない。まあ、カウンターを越えてきたら、そこいらの酒瓶で殴りつけるつもりはある。カウンターの向こうには、アイスピックだのシェーカーだのの武器に転用できるものがあるから、トダカも気にしていない。
「悟空くんがいるから、実力行使されることはないだろう。二人だけの時は飲ませるなよ、ニール。」
そのために悟空は、三蔵のヘルプとして店にいる。酔っ払ったら正気に戻すのが、悟空の仕事だ。
「そういや、店でも台詞だけですね。お客さんの肩を抱くぐらいで済んでます。」
「それ以上になったら、悟空が殴って止めてるからな。」
「俺と二人で呑んでる時って、たぶんセーブしてくれてるんだろうな。一度も口説かれてない。」
「そりゃ、三蔵さんも怖いんじゃないか? 娘さんを腕枕して目覚めたくはないんだろう。」
「あはははは・・・そうでしょうねぇ。・・・・たぶん、俺、その場で殺される。」
普段から、男の身体なんか触りたくもない、と、言っている坊主が、女房とはいえ大型の男を腕枕していたら、確実に殺すだろう、と、ニールは予想する。同じ部屋で、となりの布団までは付き合ってもらっているが、さすがに、それ以上はニールでも言いたくない。リジェネや刹那を抱き枕にするニールだが、亭主にはやりたくないのが本音だ。坊主は本気で男を、どうこうしたくないからだ。
風呂場のほうが大声が聞こえているが、そこいらもスルーだ。ロックオン以外は、何事もないかのように動いている。
「あれ、いいの? 」
「いいんだ。三蔵さんが正気に戻っただけだ。・・・何かツマミのリクエストは? ロックオン。」
「チーズ買ったよな? 」
「はいはい。」
「ママ、三蔵さんが戻ったら風呂に入りませんか? 」
「まだ早いだろ。・・・そうだ。レイ、ちょっとウォーキングに付き合えよ。」
まだ寝るには早い時間だし、どうせ、宴会は続く。軽く歩いてくるぐらいの時間はある。そういうことなら、と、レイが頷いた。シンも付き合うぜ、と、手を挙げている。
「それはいいな。」
「じゃあさ、コンビニ経由にしてアイス買ってこようよ、ねーさん。ガリガリした氷のアイスが食いたい。」
「コンビニ? それ、往復三十分じゃないか。もう少し歩くぞ。」
ロックオンのリクエストしたチーズを切り分けて皿に盛っているニールは、歩く時間が短いと抗議する。できれば小一時間と考えている。
「遠回りしてコンビニ行って帰って来るとか? 」
「公園を突き抜けて大通りまで出て、そこからコンビニ経由するぐらいかな。・・・おまえ、呑みのほうは参加しなくていいのか? シン。」
「俺、腹が一杯になると呑みたくないんだよ。呑むなら、腹がこなれてからだな。」
「俺の口に、ほとんど入らなかったぞ。」
「まだ、言うか、婿殿。」
「てか、あんた、そろそろ酒はやめてください。」
そろそろ、危険な酔い加減なので、ニールが水を配達している。あんまり酔うと、口説き魔モードになるから、そこいらは加減している。
「きみは呑めるんだろ? ロックオンくん。」
「まあ、そこそこは。」
「じゃあ、こっちに付き合え。」
実兄は、洗い物をしたり泊まりの人間のための布団の用意をしたり動いている。シンたちも洗い物は手伝っているので、片付けも早い。
「とりあえず、アマギさんとトダカさんは客間で、おまえらはハイネんとこでいいか? 」
「俺は、ママのところで休みますよ。」
「俺、とーさんと一緒でいいよ。それなら、客間の布団だけ敷けばいいからさ。」
元軍人は、どこでも寝られるので、それほど拘りはない。勝手知ったるなんとやらで、悟空と一緒にシンが客間の布団を用意している。
「俺は? 兄さん。」
「一人がよければ、奥の脇部屋が空いてるぞ。」
「いや、あんたんとこでいいよ。」
「レイも一緒だけど? 」
「邪魔なわけ? 」
「いや、全然。俺もレイも、寝たら動かないから。」
「一緒でいい。」
「はいよ。」
脇部屋の支度をして、風呂に着替えも用意する。下着は各人、持参していただくが寝間着は、浴衣が用意してある。坊主の着替えだが、洗ってあるから問題はないし、シンやレイは着替えを、寺にもキープしているので、ふたりは自分のパジャマがある。
「三蔵さん、一番風呂に入りますか? 」
ぐだぐだと酒を呑んでいる坊主に、声をかけたら立ち上がった。それから、女房の腰に手をやって抱き寄せる。
「おまえが俺の全身を、くまなく洗うなら一緒に入ってやる。・・・なんなら、俺も洗ってやるが? 」
坊主が、いい声で女房に囁く。はあ? と、ロックオンは驚いた。ノンケですよね? 義兄さん? と、内心でツッコミだ。トダカとアマギは爆笑して手を叩いている。
「ママ、俺が水かけて正気に戻す。・・・結構、呑んでたからなあ。」
ピキッと固まった寺の女房の肩を叩いて、おサルさんは坊主を担ぐ。酔ってるので、記憶がないから、とりあえず水シャワーを浴びせて正気に戻すのは、悟空の担当だ。
「・・・久しぶりで、びっくりした・・・」
開放されたニールは、わぁーと無闇矢鱈と手を振っている。ねぇーわーという意思表示らしい。
「相変わらず、いい声だなあ。」
「女性なら一発ですねぇ。」
トダカとアマギは大笑いしている。たまに酔いすぎると化けるので、いい余興であるらしい。
「あれ、なに? シン。」
「え? 見たことなかったか? ロックオン。三蔵さん、酔いすぎると口説き魔になるんだ。で、当人、記憶が飛んでて冷めても覚えてないんだよ。すげぇーだろ? 店でも、わざわざ、あれを聞きたくて、お客さんが酔わせてる。」
「はあ? 」
「また、腹立つほどに、いい声なんだ。とーさん、よくあれでグラつかないな? 俺、ビビりまくるぞ。」
「うーん、毎日、聞かされるから慣れたんだろうな。いい声なんだけど、私はノンケだからさ。」
「俺は慣れませんよ、トダカさん。・・・びっくりした・・・」
「ははは・・・娘さん、鷹さんや虎さんのは慣れたのにねぇ。」
「あの人たちのは、やられるタイミングがわかってるから対処がきくけど、亭主は突然ですから。」
「いつ限界超えるかわかんないもんなあ。」
ロックオン以外は、見慣れているから、なんてこともないが、ロックオンは、ちょっとキュンとした。あの声で囁かれると、うっかり浮気しそうだ。
「兄さん、義兄さんってノンケだよな? 」
「もちろん。あれは無差別攻撃だ。」
「あれでも、兄さんは絆されたりしないのか? 俺、かなりドキドキしたけど? 」
「しねぇーだろ。驚くけどさ。・・・てか、あの人、強いから押し倒されたら問題だなあ。」
今のニールでは、あのまま押し倒されたりすると、抵抗が難しい。体力ありまくりの喧嘩殺法の破戒坊主なんで、鳩尾に一発極められたら、抵抗どころではない。別に、女房は亭主に押し倒されること自体は、構わないのだが、後が怖いのだ。
「そこまではしないみたいだよ、娘さん。とりあえず、口説き台詞の羅列だけだ。」
トダカは、しょっちゅう口説かれているが、カウンター越しというのもあって実力行使されたことはない。まあ、カウンターを越えてきたら、そこいらの酒瓶で殴りつけるつもりはある。カウンターの向こうには、アイスピックだのシェーカーだのの武器に転用できるものがあるから、トダカも気にしていない。
「悟空くんがいるから、実力行使されることはないだろう。二人だけの時は飲ませるなよ、ニール。」
そのために悟空は、三蔵のヘルプとして店にいる。酔っ払ったら正気に戻すのが、悟空の仕事だ。
「そういや、店でも台詞だけですね。お客さんの肩を抱くぐらいで済んでます。」
「それ以上になったら、悟空が殴って止めてるからな。」
「俺と二人で呑んでる時って、たぶんセーブしてくれてるんだろうな。一度も口説かれてない。」
「そりゃ、三蔵さんも怖いんじゃないか? 娘さんを腕枕して目覚めたくはないんだろう。」
「あはははは・・・そうでしょうねぇ。・・・・たぶん、俺、その場で殺される。」
普段から、男の身体なんか触りたくもない、と、言っている坊主が、女房とはいえ大型の男を腕枕していたら、確実に殺すだろう、と、ニールは予想する。同じ部屋で、となりの布団までは付き合ってもらっているが、さすがに、それ以上はニールでも言いたくない。リジェネや刹那を抱き枕にするニールだが、亭主にはやりたくないのが本音だ。坊主は本気で男を、どうこうしたくないからだ。
風呂場のほうが大声が聞こえているが、そこいらもスルーだ。ロックオン以外は、何事もないかのように動いている。
「あれ、いいの? 」
「いいんだ。三蔵さんが正気に戻っただけだ。・・・何かツマミのリクエストは? ロックオン。」
「チーズ買ったよな? 」
「はいはい。」
「ママ、三蔵さんが戻ったら風呂に入りませんか? 」
「まだ早いだろ。・・・そうだ。レイ、ちょっとウォーキングに付き合えよ。」
まだ寝るには早い時間だし、どうせ、宴会は続く。軽く歩いてくるぐらいの時間はある。そういうことなら、と、レイが頷いた。シンも付き合うぜ、と、手を挙げている。
「それはいいな。」
「じゃあさ、コンビニ経由にしてアイス買ってこようよ、ねーさん。ガリガリした氷のアイスが食いたい。」
「コンビニ? それ、往復三十分じゃないか。もう少し歩くぞ。」
ロックオンのリクエストしたチーズを切り分けて皿に盛っているニールは、歩く時間が短いと抗議する。できれば小一時間と考えている。
「遠回りしてコンビニ行って帰って来るとか? 」
「公園を突き抜けて大通りまで出て、そこからコンビニ経由するぐらいかな。・・・おまえ、呑みのほうは参加しなくていいのか? シン。」
「俺、腹が一杯になると呑みたくないんだよ。呑むなら、腹がこなれてからだな。」
作品名:こらぼでほすと 二人9 作家名:篠義