こらぼでほすと 二人12
そろそろ降りてもいいかな? と、ヴェーダに戻っていたリジェネがティエリアにお伺いを立てた。ようやく、レイの素体の生成が完了した。ここからは徐々に成長させて二ヶ月すると、レイと瓜二つの素体となるところまでこぎつけたからだ。あとは、ヴェーダが、じっくりと成長させてくれるから、リジェネが居座る必要はない。
「降りてもいいんだが・・・ロックオンが、あちらに居る。あいつが数日したら、特区を離れるはずだから、それと入れ替わってくれるか? リジェネ。」
「いいよ。・・・数日か・・・じゃあ、先に特区に下りないで、オーヴに降りようかな。」
「それは、どこでも構わない。俺は、この後、組織に戻る。」
「今は、とごにいるの? ティエリア。」
ティエリアは現在、組織ではなく、アレハレと旅行を楽しんでいる最中で、夜にヴェーダ本体とリンクしている。ロックオンの降下と同時にティエリアも、またアレハレの元へ降りたのだ。今回は、短いので、二週間ぐらいの予定だ。
「欧州だ。マリー・パァファシーと顔を合わせた。俺が戻るのと同時に、今度はアレルヤたちにマリー・パァファシーが同行することになっている。」
マリーの義父も、ようやく自力で動けるようになったので、少し休暇を取ることにしたらしい。そういうことなら、一緒に旅でもしようとアレルヤが誘ったのだ。特区のゴールデンウィークの後で、少し顔合わせはしたのだが、まだ義父が入院していたので、時期をずらした。
「じゃあ、きみたちと一端、合流しようかな。ティエリアを軌道エレベーターまで見送ってからなら、ちょうど時間はいいよね。」
「それでもいいぞ。俺の居場所は、ここだ。」
ティエリアが自身の居場所を、素早くリジェネに送りつける。ユニオンの軌道エレベーターで降りて飛行機で移動すれば、欧州は近い場所だ。急ぐことはないから、少しティエリアと顔を合わせておくことにした。
翌日から午後前からラボに出向いてMSを使ったトレーニングをやることになり、ロックオンは、お弁当片手に出かけていく。ハイネのほうは、本日は休暇なので午後まで爆睡しているから放置だ。
ニールは、午前中に、せっせとじゃがいもを剥いた。キラからのリクエストもあったが、実弟にも肉じゃがを味見してもらいたかったからだ。
「カレーか? 」
もちろん、亭主も食卓で書類にサインなんかしている。女房が食卓で作業しているので、亭主も、そちらに居座っているのだ。
「肉じゃがです。・・・他にリクエストは? 」
「白身の刺身。」
「お昼はカレー? 」
「いや、うどんですき焼きだな。」
「昨日も食べたでしょ? 」
「ないのか? 」
「ありますよ。」
「・・・おまえ、そろそろ特区の文字を書けるようになってくれないか? 」
唐突に、亭主が、おかしなことを言い出したので、はい? と、女房は顔を向ける。別に、文字が書けなくても困ることはない。何かしらの書類やらはスタンダードで問題はないからだ。
「俺の代わりにサインしろ。」
「はあ? 無理を言う。筆跡まで似せて書けって? それ、あんたの仕事でしょ? 」
「誰だっていいんだよ、こんなもん。どうせ、チェックするのは金蝉だ。」
「内容も理解できない俺がサインしたら、まずいんじゃないですか? 」
「だから、理解しろ。」
「・・・あんたね・・・俺は仏教用語から覚えないと無理なんですよ? 読めても理解できるようになるには時間がかかります。」
「だから、修行しろ。」
「イヤです。仕事は、きちんとこなしてください。」
「てめぇーは俺の女房だろうがっっ。」
「女房に仕事も押し付けるっておかしかないですか? だいたい、あんたの仕事なんて俺の担当じゃありません。あんたの世話が俺の仕事です。」
「我侭な女房だな? 」
「どこが? 職務放棄してんのは、あんたでしょ? 仕事の気合が入らないなら休憩してください。コーヒーでもいれましょうか?」
「アイスティー。あと、最中。」
「最中? あったかなあ。まんじゅうはあったと思うけど。」
「それでもいい。餡子が食いたい。・・・・最中も用意しておけ。」
「はいはい、午後から買い物に行くから、和菓子屋で仕入れておきます。」
とんっと食卓に置かれるのは、アイスティーと茶まんじゅうだ。これはスーパーに売っているバラエティーパックの一部なので、小さなもので三つばかり食卓に置かれる。
「おまえは? 」
「今、欲しくない。」
「亭主が食う時は、女房も食え。ほら、口開けろ。」
パリパリと包みを外して半分にし饅頭を亭主が女房の口に投げ入れる。もう、と、女房は文句を言いつつ、自分の麦茶も用意する。
「高級最中とか食べたいですか? 」
「そりゃ、そのほうが美味いからな。・・・あそこの和菓子屋のも美味いほうだ。」
「俺はスーパーのも好きですけどね。」
「疲れて食べるなら、それでいいんだが・・・お茶と味わうなら、和菓子屋のほうがいいぞ。玉露とやるなら、最中か生菓子だな。」
「ライルにも試させてやろう。生菓子買って来ます。」
「実弟にはスーパーでいいだろ? 」
「うちの弟、俺より食道楽ですよ? ハイネとウンチク語れるみたいだから。まあ、食文化の違いはあるから、特区のものは、よくわからないって言ってたけど。」
「怖くなくなったか。」
「ああ、まあ・・・刹那のようにはいかないけど・・・でも、まあ・・・楽しいかな。」
食卓で、そんな話をしている寺の夫夫に、起きてきたハイネは、しばらく観察していた。どんだけ、いちゃこらしたら気が済むんだよ? おまえらはっっ、と、ツッコミは内心で入れる。普段は卓袱台で仕事している亭主は、女房の傍まで、わざわざ遠征しているのだ。それも妙な因縁をつけて遊んでいる。女房のほうも、わかっているから因縁はツッコミ返ししてスルーの方向だ。5年もすれば、そろそろ飽きないか? と、思うのだが、寺夫夫は、ますますべったりしている。
「間男が起きたぞ? 」
しばらく見せ付けていた坊主は、ハイネの存在に最初から気付いていたから、適当なところで女房に教える。
「おはよう、ハイネ。」
「おはよう、ママニャン。ホットコーヒーくれないか? 」
この時期、寺ではアイスコーヒーが出て来る。温かいものをリクエストすると、粉コーヒーになる。女房が食器棚からマグカップを出しているので、それに抱きつく。
「なに? 」
「俺にも愛をくれ、ママニャン。寂しい。」
「はあ? 寝ぼけてるのか? ハイネ。」
「亭主の相手ばかりしてたら、俺は拗ねるからな? 」
「してねぇーよっっ。メシは? 」
「三蔵さんと一緒に食う。俺も、うどんですき焼き。・・・・食ったらプライベートで出かけるんだが、おまえ、付き合わないか? 」
「すまん、キラたちが来るんだ。だから、無理。」
「ほらな? おまえ、俺が誘っても、それだよ。」
「拗ねるなよ。次は、ハイネに付き合うからさ。・・・はい、用意できた。座れ。」
背後から抱きつかれたままで、インスタントコーヒーを入れると、食卓にマグカップを置く。昼まで時間もないから、とりあえずコーヒーで腹を落ち着ける。
「カレーか? 」
「肉じゃが。」
「俺、明日は泊まりなんで今夜はカレーがいいな。」
「降りてもいいんだが・・・ロックオンが、あちらに居る。あいつが数日したら、特区を離れるはずだから、それと入れ替わってくれるか? リジェネ。」
「いいよ。・・・数日か・・・じゃあ、先に特区に下りないで、オーヴに降りようかな。」
「それは、どこでも構わない。俺は、この後、組織に戻る。」
「今は、とごにいるの? ティエリア。」
ティエリアは現在、組織ではなく、アレハレと旅行を楽しんでいる最中で、夜にヴェーダ本体とリンクしている。ロックオンの降下と同時にティエリアも、またアレハレの元へ降りたのだ。今回は、短いので、二週間ぐらいの予定だ。
「欧州だ。マリー・パァファシーと顔を合わせた。俺が戻るのと同時に、今度はアレルヤたちにマリー・パァファシーが同行することになっている。」
マリーの義父も、ようやく自力で動けるようになったので、少し休暇を取ることにしたらしい。そういうことなら、一緒に旅でもしようとアレルヤが誘ったのだ。特区のゴールデンウィークの後で、少し顔合わせはしたのだが、まだ義父が入院していたので、時期をずらした。
「じゃあ、きみたちと一端、合流しようかな。ティエリアを軌道エレベーターまで見送ってからなら、ちょうど時間はいいよね。」
「それでもいいぞ。俺の居場所は、ここだ。」
ティエリアが自身の居場所を、素早くリジェネに送りつける。ユニオンの軌道エレベーターで降りて飛行機で移動すれば、欧州は近い場所だ。急ぐことはないから、少しティエリアと顔を合わせておくことにした。
翌日から午後前からラボに出向いてMSを使ったトレーニングをやることになり、ロックオンは、お弁当片手に出かけていく。ハイネのほうは、本日は休暇なので午後まで爆睡しているから放置だ。
ニールは、午前中に、せっせとじゃがいもを剥いた。キラからのリクエストもあったが、実弟にも肉じゃがを味見してもらいたかったからだ。
「カレーか? 」
もちろん、亭主も食卓で書類にサインなんかしている。女房が食卓で作業しているので、亭主も、そちらに居座っているのだ。
「肉じゃがです。・・・他にリクエストは? 」
「白身の刺身。」
「お昼はカレー? 」
「いや、うどんですき焼きだな。」
「昨日も食べたでしょ? 」
「ないのか? 」
「ありますよ。」
「・・・おまえ、そろそろ特区の文字を書けるようになってくれないか? 」
唐突に、亭主が、おかしなことを言い出したので、はい? と、女房は顔を向ける。別に、文字が書けなくても困ることはない。何かしらの書類やらはスタンダードで問題はないからだ。
「俺の代わりにサインしろ。」
「はあ? 無理を言う。筆跡まで似せて書けって? それ、あんたの仕事でしょ? 」
「誰だっていいんだよ、こんなもん。どうせ、チェックするのは金蝉だ。」
「内容も理解できない俺がサインしたら、まずいんじゃないですか? 」
「だから、理解しろ。」
「・・・あんたね・・・俺は仏教用語から覚えないと無理なんですよ? 読めても理解できるようになるには時間がかかります。」
「だから、修行しろ。」
「イヤです。仕事は、きちんとこなしてください。」
「てめぇーは俺の女房だろうがっっ。」
「女房に仕事も押し付けるっておかしかないですか? だいたい、あんたの仕事なんて俺の担当じゃありません。あんたの世話が俺の仕事です。」
「我侭な女房だな? 」
「どこが? 職務放棄してんのは、あんたでしょ? 仕事の気合が入らないなら休憩してください。コーヒーでもいれましょうか?」
「アイスティー。あと、最中。」
「最中? あったかなあ。まんじゅうはあったと思うけど。」
「それでもいい。餡子が食いたい。・・・・最中も用意しておけ。」
「はいはい、午後から買い物に行くから、和菓子屋で仕入れておきます。」
とんっと食卓に置かれるのは、アイスティーと茶まんじゅうだ。これはスーパーに売っているバラエティーパックの一部なので、小さなもので三つばかり食卓に置かれる。
「おまえは? 」
「今、欲しくない。」
「亭主が食う時は、女房も食え。ほら、口開けろ。」
パリパリと包みを外して半分にし饅頭を亭主が女房の口に投げ入れる。もう、と、女房は文句を言いつつ、自分の麦茶も用意する。
「高級最中とか食べたいですか? 」
「そりゃ、そのほうが美味いからな。・・・あそこの和菓子屋のも美味いほうだ。」
「俺はスーパーのも好きですけどね。」
「疲れて食べるなら、それでいいんだが・・・お茶と味わうなら、和菓子屋のほうがいいぞ。玉露とやるなら、最中か生菓子だな。」
「ライルにも試させてやろう。生菓子買って来ます。」
「実弟にはスーパーでいいだろ? 」
「うちの弟、俺より食道楽ですよ? ハイネとウンチク語れるみたいだから。まあ、食文化の違いはあるから、特区のものは、よくわからないって言ってたけど。」
「怖くなくなったか。」
「ああ、まあ・・・刹那のようにはいかないけど・・・でも、まあ・・・楽しいかな。」
食卓で、そんな話をしている寺の夫夫に、起きてきたハイネは、しばらく観察していた。どんだけ、いちゃこらしたら気が済むんだよ? おまえらはっっ、と、ツッコミは内心で入れる。普段は卓袱台で仕事している亭主は、女房の傍まで、わざわざ遠征しているのだ。それも妙な因縁をつけて遊んでいる。女房のほうも、わかっているから因縁はツッコミ返ししてスルーの方向だ。5年もすれば、そろそろ飽きないか? と、思うのだが、寺夫夫は、ますますべったりしている。
「間男が起きたぞ? 」
しばらく見せ付けていた坊主は、ハイネの存在に最初から気付いていたから、適当なところで女房に教える。
「おはよう、ハイネ。」
「おはよう、ママニャン。ホットコーヒーくれないか? 」
この時期、寺ではアイスコーヒーが出て来る。温かいものをリクエストすると、粉コーヒーになる。女房が食器棚からマグカップを出しているので、それに抱きつく。
「なに? 」
「俺にも愛をくれ、ママニャン。寂しい。」
「はあ? 寝ぼけてるのか? ハイネ。」
「亭主の相手ばかりしてたら、俺は拗ねるからな? 」
「してねぇーよっっ。メシは? 」
「三蔵さんと一緒に食う。俺も、うどんですき焼き。・・・・食ったらプライベートで出かけるんだが、おまえ、付き合わないか? 」
「すまん、キラたちが来るんだ。だから、無理。」
「ほらな? おまえ、俺が誘っても、それだよ。」
「拗ねるなよ。次は、ハイネに付き合うからさ。・・・はい、用意できた。座れ。」
背後から抱きつかれたままで、インスタントコーヒーを入れると、食卓にマグカップを置く。昼まで時間もないから、とりあえずコーヒーで腹を落ち着ける。
「カレーか? 」
「肉じゃが。」
「俺、明日は泊まりなんで今夜はカレーがいいな。」
作品名:こらぼでほすと 二人12 作家名:篠義