あゆと当麻~嵐のdestiny~
流石の当麻も怒ることを忘れて立ち尽くす。一番下敷きになった秀がめげずに顔を上げて言う。
「俺も呼び捨てで呼んでくれよっ」
「秀、抜がけは許さないよっ」
秀のすぐ上の伸が妨害する。
「私もできれば呼び捨ての方がいいのだが」
一番上の遼がすぐどけたので征士は人間ドミノ倒しにならずすみ、ほっとしながら言う。
「俺も。そう呼んでくれるとうれしいな」
純な遼がはにかんでそう言う。
「僕もっ。僕もっ」
純が遼達を押しのけて言って、白炎も小さくほえる。
亜由美はあっけにとられて当麻の仲間を見つめる。
「なんで、名前を呼ぶのがそんなに大切なの?!」
信じられない、と言っている亜由美に秀が付け加える。
「あ、ついでに敬語もなくそうぜ」
異議なーし、と伸が同意する。
征士もうむ、と頷く。
「俺もその方がいい」
遼が言って亜由美は信じられない思いで当麻を見た。
「呼び名が関係を表すこともあるんだ。ひとつ違うくらいで敬語や敬称は俺達には必要無いと思わないか?」
当麻が亜由美にだけわかるうれしそうな表情で言うのを見て亜由美はもう頷くしかなかった。
その時から、「あゆ」と「当麻」「遼」「秀」「征士」「伸」「ナスティ」「純」「白炎」という間柄になったのだった。
作品名:あゆと当麻~嵐のdestiny~ 作家名:綾瀬しずか