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夏経院萌華
夏経院萌華
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とあるバッタと怪人の話

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俺は小さい時から悪の限りを尽くしてきた。しかし、そんな人生も終わった。
なぜなら、俺はやられたのだ・・・・。

 まだ俺が五歳にも満たない時に両親に捨てられ養護施設で育てられた。確かにそこには先生の愛があり、恵まれ、豊かとは言わないけど幸せがあった。だがそんな幸せなどただの虚像に過ぎない。偽りの愛と偽りの家族。そして偽りの兄弟姉妹。そんなものは施設が火事という些細な出来事で崩れ去っていったのだ。俺が12の時だ。
 それからはどん底の人生を歩んだ。いじめにも耐えてきた。それでも俺は勉強に勤しんだ。
勉強だけは裏切らない。そう思ってやってきた。それで間違いはなかった・・・はずだった。そして奨学金とアルバイトで大学を出た。なのに・・・・・
施設出身と言うだけでどこも雇ってくれない。偏見だ。ようやく俺を雇ってくれたのは小さな町工場だった。俺は一生懸命働いた。そしてわずかではあったが貯金もした。それが俺は幸せだった。しかし俺はどこまでも運がなかった。
 あまり仕事のしない先輩を咎めたことに、逆切れした先輩が俺にナイフを近づけた。
とっさにナイフを掴み、それを投げ捨てようとした時、運悪く先輩の胸を刺してしまった。正当防衛である。
それを主張しても警察はそれを認めなかった。周りの証言がそれを歪めてしまったのだ。施設育ちと普通の人では普通の人の証言の方に信憑性があるのだ。だから俺は実刑を食らった。初めこそは世の中への恨みを持っていたが、徐々にくだらない感情は捨て、
模範囚をしてすぐに仮釈放となって外の世界に出てきた。だけど世の中の仕打ちはむごたらしいものだった。俺みたいな人殺しなど雇ってくれるところなどない。
だから、生きていくために盗みをするようになった。盗みだけでは飽き足らず、当たり屋、スリ、色々とやった。それもこれも生きていくためだ。そんなことをしていればいつかは捕まる。前科が2つになり、そして出所した。俺に再出発の機会は与えられたが、世の中が変わらなくては、結局一緒なのだ。だから俺は法を犯した。そして今またヘマを犯し、警察に追われていた。
 もう捕まりたくない。それだけだった。そして犯罪を犯し生きていくしかない自分。本当はこんな生活から早く抜け出さなくてはいけないのに。それなのに・・・・。
そして今、俺はある廃工場で身を潜めていた。パトカーのサイレンが遠くから近くから多方面にわたり聞こえてくる。俺だけを探しているわけではないのだが、すべてのサイレンが俺を探しているかのように錯覚をする。
 こんな所に居れば、いつかは見つかる。早くどうにかして警察の追っ手から逃れなくてはいけない。そんな時、コツコツと足音が聞こえ、その音が近づく。警官だ。俺は身構えた。
 もはや万事休す。
そんな時だった。俺の目の前に黒ずくめの男たちが数人颯爽と現れ、その警官を投げ飛ばした。警官は身体をピクピクさせ、やがて、動かなくなった。
 俺は何が起きたのかわかない。その場に立ちすくむ。
「もう大丈夫です。お怪我はありませんか」と振り返ると、そこには、老紳士が立っていた。
訳が分からない。とりあえず、頭を下げ、礼を言う。
「お宅も相当、悪事を重ねたと見える。ただ、お宅のやっているのは何の理想もなく悪事を働く愚かな行為。どうです。そのお宅の悪の力を我が組織で振るってみないか」と老紳士は笑顔とも真面目とも取れる嫌な表情で俺を見る。
 気持ちが悪い。そう思った。すると老紳士は、続けて話しはじめる。
「この世界はこれから混沌に満ちていきます。我々はその中で生きていくしかないのでしょうか。いや、違います。混沌を作るのは我々です。この世界を支配するのです。馬鹿げたことを言ってると思われるでしょう。しかし、考えてください。お宅はこれからも警察に追われるだけの人生です。だけど、我が組織に入れば、自由が手に入るのです。どうですか?来てみませんか?」と。
警察に追われることがない人生。それを手に入れられる。そんな簡単に。俺はこの甘い言葉に裏があるのは当然わかっていた。だけど、これからの人生はきっとロクでもない。 だったらその組織とやらに入って、人生を賭けてもいいのではとそう思うと俺はその老紳士と固い握手を交わし、彼らの車に乗り込んだ。
 その組織は俺が思っていた以上に大規模で世界中に拠点を持ち、政財界ともつながりのある世界規模の組織だと言う事がわかった。俺はまず、組織の隊員として教育を受けなければならなかった。表向きは大学の施設だ。そこで俺は学び、基礎体力をつけさせられた。俺はがむしゃらに勉強した。そして成績はトップクラスになっていた。しかし、どうしても勝てない男が一人、そこにはいた。
成績は常にトップで、あらゆる武道に精通していた。名前をホンゴウタケシと言った。彼は両親を早くに亡くしていた。俺も似たような境遇だったため、ライバル視をしつつも俺はすぐに仲良くなり、ここで友好を深めたのだ。彼は純粋で、そして誰よりも熱い男だった。彼との短い友好は俺の荒んだ心を少しであったが癒してくれた。俺よりも歳は若いが人生を達観し、人生の理を冷静に見つめられる男の存在に父性すら感じていたのだ。
 そしてようやく俺はここでの教育が終わり、組織として役割を義務付けられる。
俺は黒いマスクと戦闘服を渡される。そして親友のホンゴウタケシを探した。
俺がホンゴウタケシをみつけ、声をかけると
「ああ・・・お前か。おめでとう。だけど、俺はどうやら、また別の教育を受けなくちゃいけないらしい。ここでお別れだ」と
ホンゴウタケシは淋しそうに言いながらも熱く、固い握手をし、俺と別れた。
その日以来、ホンゴウタケシとは会っていない。
あれから、1年の月日が過ぎ去ろうとした時、あのホンゴウタケシが組織から抜け、組織から追われていると事実を知らされた。
その間に俺はこの組織で着々と出世をし、悪の限りを尽くしていた。
 そんなある日、俺はこの組織の大佐からある命令を言い渡された。
「お前は我が組織で優秀だと聞いている。そこで、お前にある改造手術を受けてもらいたい。そうすれば、お前はもっと、力を得て、出世できる。どうだ?やってみないか」
俺は躊躇わず、その改造手術を受けた。
そして俺は怪人蜘蛛男になった。
怪人になった俺はまず、ホンゴウタケシを探す指令を受け、20人ほどの戦闘員を連れ街に繰り出す。人々は我々に恐怖し、立ちすくむ。警察の力など、もう到底我々には及ばない。俺はこの高揚感に酔いしれた。そんな世の中が混沌とし始めた時、俺の目の前にバッタの怪人が俺の前に現れた。同じ怪人なのに、俺と対峙する裏切り者。俺は奴を倒さなくてはいけない。そう思うと、先に手を出した。しかしスルリとかわし、俺に一打を与える。しかし、そんな攻撃は改造を受けた俺には効かない。俺は攻撃の手を緩めることなく、奴に打撃を与えた。しかし、同じ怪人。奴もダメージを受けていない。不毛な闘いが続く。
多勢に無勢なのに、奴は強かった。黒ずくめの戦闘員を次々となぎ倒し。やがて俺は奴と一対一になった。