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内山ワークス
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機動戦士ガンダムSEED⇔ 第一話 「ヘリオポリスのアスラン

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 ヘリオポリスのベイ・デッキに一隻の地球軍籍の船が停泊していた。
地球連合軍内で多く使われている、些か年式の入った輸送艦である。
 表向きは、ヘリオポリスに資源の受け取りのために寄航した、ということになっている。

――ヘリオポリスは、元々は宇宙開発の為の資源を調達する、資源衛星であった。

 CE元年以後、地球圏の国家は、こぞって宇宙に入植地(コロニー)をもつようになった。
 その理由が、そもそも西暦から、新暦であるCE(コズミック・イラ)へと
 移行する原因となった国家再構築戦争(第三次世界大戦)である。
 
 地球上の人口がとうとう国家で制御できなくなるほど膨れ上がり、食料・資源の深刻な枯渇が始まった。
 その奪い合いこそが、先に述べた、 地球上の国境線をほぼ書き換えることになった大戦である。


 人類はその人口を大幅に減らすという、余りに大きな犠牲の果てに、
 やっと宇宙という未開拓地の資源に、解決の糸口を掴んだのだった。

 それ以来、宇宙は人類にとって希望の大地であった。
 その価値観は今日における、コーディネイターとナチュラルの戦争においても、深く根ざしていた。




 連合の輸送艦のブリッジには、二つの影があった。
うち一人は深いサングラスをかけており、連合軍の仕官服に白いコートを羽織っていた。
 男性では在るが、長く美しいブロンドをもっており、それがサングラスに隠された表情を際立たせて、余計に彼の感情を掴めなくしていた。


「航路何もなく幸いでありました。周辺にザフト艦の動きは?」
サングラスの男が言った。
「2隻トレースしているが、港に入ってしまえばしばらく手が出せんよ。君の出番は無いかも知れんな……ラウ・ル・クルーゼ大尉」
それにもう一人の男が答える。もう一人は軍服ではなく、黒い背広に身を包んでいた。

「しかし……中立国とは聞いて呆れたものですな」
嘲るようにサングラスの男――ラウ・ル・クルーゼが言った。
「だがそのおかげで計画もここまでこれたのだ。あとは双方の思惑が何処まで通るか、といったところさ」
背広の男が言った。 
――この艦は表沙汰に出来ない、各国の間で秘密裏に結ばれた密約によってこの任務についている。
「フム……このまま万事上手くいけば良いのですが……?」
「”エンデュミオンの鷹”のカン、というヤツかね? しかし、戦いとはいつも2手3手先を考えておこなうものだ。 ……どう転ぼうと、オーブに技術を流した、という事は逆もまた可能ではないのかね?」
「……なるほど」
ラウは腑に落ちた様子であった。
しかしながら、ラウにとっては各々の勢力の意向など、今はどうでも良かった。
彼は軍人としてここに来ているのだ。

ラウはブリッジから見える、ベイ・デッキのエアロックに視線を向けた。
「……?」
何かの気配を感じたような気がしたのだ。

サングラスの奥に隠された視線は、コロニーの壁の向こうにある、宇宙を見詰めているようだった。