機動戦士ガンダムSEED⇔ 第一話 「ヘリオポリスのアスラン
----------------------------------------
ヘリオポリスの外壁まで到着した。
ロアノーク隊長の判断は正しかったようだ。
楽に進入できたことに調子に乗るトール。
そを諌めるミリアリア。
「ナチュラルは管理が甘いな」とサイ。
作戦開始時刻までもう少しだ、カズイ達がジンで陽動、その後足つきを爆破。
MSを奪う手筈になっている。
僕は許さない、両親と友人を殺したナチュラルを。
----------------------------------------
ヘリオポリス側のレーダーからギリギリ発見されない距離に、ザフトの新鋭宇宙戦艦「ヴェサリウス」の姿はあった。
「そう難しい顔をするなってナタル、折角の美人が台無しだぞ?」
そう言いながら無重力のブリッジに浮かぶのは、黒いザフトの軍服を着込んだ仮面の男。
ザフト特務隊隊長、ネオ・ロアノークであった。
「しかし、評議会からの返答を待ってからでも遅くはないのでは?」
ネオに副官のナタル・バジルールが返した。
軍人らしく、髪を短く切り込み、精悍な印象が強い女性だが、ネオの言う通りのかなりの美人である。
「前線で功を立ててこそ、自分がザフトである意義があるとは思わんか?」
冗談めいてネオが言った。そのセリフは、彼の異様な風貌に反して、ひどく軟派な印象を感じさせた。
「それは本心で?」
訝しげにナタルが言った。ネオは口元だけをゆがめると、
「ま……アレは新たな戦いを産み落とす、戦乱の種と言う奴だ。見過ごすわけにはいかないさ」
と言葉を続けた。
ネオは、一枚の写真をナタルに投げた。 それは無重力の中をくるくると回転しながら飛ぶ。
ナタルがそれを手に取ると、そこには地球連合が開発したとされる、新型モビルスーツが写されていた。
眼前に見える、中立国所有のコロニー。その中にあってはならぬ筈の敵軍の新型兵器。
ネオは、本国からの命令を待たず、独断でその機体を奪取、もしくは破壊しようとしていた。
「言ったろ? 俺もザフトだ……地球軍の新型機動兵器、あそこから運び出される前に奪取する」
そういうとネオはブリッジ・クルーに合図した。クルーは無線で、コロニーに先行している部隊の兵達に、作戦実行の意を告げた。
時計は、回りだす。
作品名:機動戦士ガンダムSEED⇔ 第一話 「ヘリオポリスのアスラン 作家名:内山ワークス