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いつき りゅう
いつき りゅう
novelistID. 4366
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悪魔の国のアリスティル

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いつだってドキドキしてるんだ。何を仕出かすか分らない、びっくり箱みたいな君の行動に振り回されてる時はとても刺激的でちょっと楽しいから。
困ってしまう事も多いけど、それでもどこかの誰かにもなんてもったいない。
それは僕だけが知っていればいい。

そんな事を考えてる自分が恥ずかしくて、思わず逸らした視線の先には帽子屋に放置されたままのティーセット。
すでに湯気も失せたティーカップの傍らに添えられた茶菓子の中に、小さなキャンディーボックスがあった。
ハロウィンにちなんでか、ジャックオランタンの形を模したそれの中からは、カラフルな柄の包み紙のキャンディーが覗いている。
ちょうど照れくささで間が持たなくなっていた僕はそれに手を伸ばし、無造作に掴んだキャンディーを一つを口に含む。
舌の上で転がすうちにキャンディーの甘さが口の中に広がってくる。
キャンディーを舐めていれば黙っていても不自然じゃない。
そんな誤魔化しの打算が無かったとは言えず、キャンディーを舐め続ける僕を見上げていた彼に対してちょっと後ろめたくなった僕は、彼にもキャンディーを手渡してやった。
包み紙を解き、彼が口の中で転がしているそれの包み紙は偶然にも僕と同じモノ。
僕と彼の 舌を小さく刺激するかすかな辛さの後に広がる甘さ。
舌が甘味に馴れたところで清涼感のある辛味がまた顔を出す。
メリハリの効いたその味の変化の中、キャンディーの甘さをよりいっそう引き立てるその辛味はちょうどいいスパイス。
たまにちょっと刺激が強くても。ただ甘ったるいだけのモノよりもよっぽどいい。

…甘いだけじゃ物足りないなんて、そうとうキテるな僕。
その呟きを口の中に残った小さな欠片と一緒に噛み潰してしまって、僕は甘い後味が口の中から全身に広がる余韻を味わった。




(…よっし、墜ちたっ!!)
スカートのフリルの下に隠した右手で小さくガッツポーズ。