二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

無題

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 丈高い青年が顔をあげた。そして、目を閉じたまま、ぐるりとほかの人間を見回すしぐさをする。
「使者の言葉に従うならば、まずは北の寺院へ。――どれだけの探索が必要になるのかわからない。だからこそ、つまらない雑魚で手を煩わされ、予備呪(プレキャスト)を減らす必要はない。――そう言えば納得するか? 新しき闇をまとう君主」
「……従おう。白き塔に輝く者、誉れ高き司祭。我らを導く者」
 小さな舌打ちこそあったものの、言葉ははっきりしていた。剣を収め、さっさと探索の先頭にあたるであろう場所に移動する。
 赤毛の青年があわててそれを追った。
「では。ここを起点とします」
 黒いローブの青年が予備呪を解き放つ。この六人の男女の中で最も目立たず、女性を除きもっとも小柄な青年だ。ローブの下に見える手足は細くて白い。古びた杖こそ持ってはいないが、おそらくは丈高い青年とよくにた知的労働階級に属するのだろう。実際、先ほどから予備呪を解き放ったのはこの青年だけだ。
 できましたとの声に、丈高い青年は頷いた。そして。
「まずは北だ」
 地図を出す女性、位置を変える偉丈夫などの行動を見、完成したところで彼は歩き始めた。
 神を賛美せよ! 力強い祝福を口にすると、一団のほかの人間も、かわるがわる唱和する。
 もう一度同じセリフを口中で口にしてから、彼は目的地へと足を早めた。
作品名:無題 作家名:東明