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Last/prologue

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「どうでもいいな。ところで、何の話してたんだ?」

「あぁシャーロックホームズの話だよ。」


別に、一人ぐらい駄目になったってどうにでもなる。
サッカー部ぐらい今の3人だけでもきっと何とかなる。
あいつの助けなんか要らない。

基本的に他者への興味をあまり持たないようにしている水野は
早々に「藤村」への思いを断ち切る。

所詮合わなかっただけのことだ。

議論はコナン・ドイル作の小説に出てくるシャーロックホームズで盛り上がっていた。






8時半を過ぎたころ、流石にもう遅いと思ったのか教室を締めることにした。
9時を過ぎれば全教室棟に鍵がかかる。
電子ロックではない一番古い4号館だけは警備員が施錠するが
それ以外は別だ。
大学の門も閉まってしまう。


「あれ?水野帰らないのか?」

「うんちょっと忘れ物思い出した。」

「待とうか?」

「いいよ。先帰れって。」

「そか、そんじゃぁな。」

バイバイ。と手を振って分かれた。
目指すのは4号館の螺旋階段最上階。
カンカンと音を立てて鉄製の階段を上る。
螺旋階段を上りきると
4号館の屋上に出た。

ここを知っている人間はあんまり居ないはずだ。
まず螺旋階段に出るには4号館1階のドアを見つけなければならない。

見つかりやすいのだが、あまりに淵にありしかもドアの向こうに木々がわんさか生えている為
誰もあけようとは思わないのだ。

そのドアを開けて初めて螺旋階段が見つかる。
けれど螺旋階段の入り口には「立ち入り禁止」の札がかかっている。
ここまで来た人間も多くはそれで引き返す。
けれど水野は立ち入り禁止の札を抜けて入って、最上階に上った。
上って初めて、4号館の屋上から見る
最高の夜景にめぐり合えたのだ。

これを見るのが大学に通う上での密かな楽しみになったのは夏休みも終わった後期の初めだった。

寒風肌を刺す。

その言葉通りぐらいには寒かった。
みぶるいをしてポケットからあるものを取り出す。
タバコ。

水野の叔母が愛用しているframという種類のタバコだ。
メンソールの入った女性向けのタバコ。

ライターでカチっと火をつける。
時計を見たら8時48分。

正門まで走って7分といったところなので
あと1.2分か…とそう思ったとき上から声がした。

「うわ、ボンがタバコすっとる。」

「!」

振り向いて、驚愕した。

なんで、あいつがここに居るんだ?



「言葉の死んだ世界」




水野の頭にそれが浮かんだ。











作品名:Last/prologue 作家名:神颯@1110