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ひとつに、とけあう

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***



「んっ、あっ!…や、あッ…」
 室内に満ちてゆく淫猥な水音。部屋の中もすっかり情事の空気へと変わっていった。
 江ノ島の策略により結局石丸は己の欲に耐えきれず手にしたバターを自分の慰み物として代用してしまった。なんとも浅ましい行為だ。バターで、既に露になっている自身を塗りたくったまま手で包み込み上下に動かす石丸。それを傍で黙って見物している江ノ島。
 こんな姿になってしまった兄弟を己の性欲の為に穢したくないとあれほど恥じていた筈なのに段々と溜まっていた欲求が勝っていってしまい我慢出来なかった。心の隅にあった興味本位の気持ちが表に現れてしまったのだ。
 いけないとわかっている行為に興奮していた自分を石丸は愚かで最低だと内心で罵った。食用品となってからの大和田を未だに性の対象として見てしまうだなんて、イカれてる。
「ん、ふ、あぁッ!!…あ、っ…ッ、」
 そうこう思い巡らせている内に絶頂を迎えた。油脂で既にドロドロになっている右手が更に白濁で汚れる。
「あはっ!アンタ、マジでイっちゃったんだね!どう〜?クラスメイトの不二咲クンを殺しちゃった罰であっさりバターになっちゃったキョーダイを身体で味わった感想は、」
「うわああああああっ!!」
 明確に聞いてから改めて自分がなんて卑劣な行為をしているのかが嫌でもわかる。そんな現実から目を逸らしたくて叫び、耳を塞ぐ。
「でもアンタが大和田でオナニーしていることには変わりないんだから。死んだおトモダチの体液使ってオナっちゃうとかまさに絶望的ね…!!」
 江ノ島の高笑いが塞いだ耳越しに届く。石丸は今すぐこんな恥でしかない行為をやめてしまいたいと思った。でもやめられない。
 よくニュースや新聞で見ていた麻薬に手を染め、依存してしまった薬物中毒者の気持ちがいまいち理解できなかったが今ならわかる気がした。
 大和田の顔が描かれたプラスチックの箱の中からバターを指三本分に掬い取る。それらを自分の尻の割れ目へと、窄みへとゆっくり挿れていく。
「あっ…ん、ううっ…」
 指の第一関節あたりまで穴に埋め込む。中に異物が入っている感触がして気持ちが悪い。生前一度だけ勢いで大和田と関係を持った際に、彼が解してくれた動作を思い出しながら指をバラバラに動かす。けれども大和田がやってくれたようにすぐに快楽に辿り着けられる訳もなく、得られない快感にもどかしくなり指先の動きが激しくなる。
 と、その時――躍起になって乱暴に爪である場所をかすめた瞬間、石丸の背筋に甘い痺れが電流のように駆け巡った。突然の快楽に背が弓なりに反る。
「あぁッ!う、あっ!」
 強すぎる刺激に耐え切れず声が出てしまう。前立腺の場所がわかってから石丸はピンポイントにそこを責め続けた。責め続けている指先にはバターと化した大和田が絡み付いている。まるで大和田にそこを弄られているような錯覚に陥る。
 目を閉じ、骨張った彼の指を記憶の片隅から引き出す。意識した途端、僅かに中が蠢いたのを感じた。
(大和田君…大和田君…っ、兄弟、兄弟、兄弟…ッ!!)
 しこりを引っ掻き続けているうちに逃すまいと腸内がきゅうっ、と締まっていく。鈴口から少量の精液が飛び出した。
「はぁ…はぁ…っ」
「いいわよ…もっと溺れなさいよ…あんなに小うるさくて性欲になんて縁がなさそうだったのに本能に抗えずに結果、堕落していく風紀委員とかマジで絶望…て…きぃ…!!」
 江ノ島が求めていたであろう、絶望的な光景に目をハートマークにしている。恍惚としている彼女をよそに石丸は息を整え、容器からバターを取り出す。それらを身体中に塗りたくり、尖った胸の先へと手を出す。くりくりと先っぽを摘まんでいるうちに「もっと刺激を」と言わんばかりに胸を突き出してしまう。
「んっ…あっ、あっ」
「ハッ…すっかり蕩けちゃって」
 甘い感覚に酔いしれ、ぼうっとする意識の中でこれいる?と江ノ島に手渡される。渡された物は木製のこけしだった。何の為に渡されたかわからず頭に疑問符が浮かぶ。
「それそんな形しててバイブなのよ。アンタの気持ちいいひとりエッチの手助けになると思うよ。ほら…ここ、電源を押すと」
 底の部分のボタンを押すと突如こけしの先端部分が上下に激しく振動しだした。突然の変化に驚いて石丸は肩をビクっと軽く震わせた。
「どう??もっと気持ちよくなりたいでしょ??」
 江ノ島が無邪気に笑う。意識が朦朧としている石丸は用途を理解すると何の躊躇いもなくこけしをバターの容器に突っ込んだ。黄色い、ぎとぎととしたそれに頭の部分を塗りたくっているうちに下半身が疼きだす。自身のペニスも上下にビクッビクッと痙攣をはじめる。
興奮しているのだ。このどうしようもない、狂った状況で自分は何の恥じらいもなく。
「ん…はぁ…っ」
 バターでてかてかになった性具の先っぽを己の入り口へと宛がう。紛い物とはいえ指と比べて大きい質量が奥に入ってしまえば当然身体への負担も大きくなる。
 さっきと比較すればバターが潤滑油代わりになってスムーズにいけたのが唯一助かったことと言えよう。
「――……ふぅっ!」
 息をゆっくり吸って吐き、意を決してこけしを柔らかくなった内部へと挿入した。大きさが大きさなだけあって指とは比べ物にならないぐらいの痛み、快感が石丸を襲った。
「がああああッ!!…うッ、あ、あっ、うっ」
 それでもなんとか歯を食いしばりやり過ごす。背後で江ノ島のうぷぷぷ、と癇に障る笑い声が聞こえてくる中、ぎゅっと目を瞑り大和田との性行為をもう一度脳内に浮かべる。今で鮮明に覚えている。大和田の荒い息遣いと、自分の内壁に猛った雄の性器を擦りつける彼の獣染みた姿。
 刹那、腸内が緩くうねりを再開したような気がして、石丸は性具の底部にあるスイッチを押した。肉壷に入れると想像以上の振動に石丸は涙を流し、鼻水を垂らしながらみっともなく嬌声を上げた。
「あぁっ!!あっ、うっ、あ、きょ、だいっ!あぁっ!もん…ど、くんっ、いっ、いってしまっ、あっ、あああああああ…っ!!」
 前立腺をこけしの頭部あたりで集中的に刺激されて石丸は3度目になる絶頂を迎えた。量こそかなり少なく色も最早透明に近づいているぐらい薄くなっていたがこけしを咥えている奥の収縮はまるで味わっているかのように激しかった。
「…ふ…うっ、」
 達した直後、力の抜けた身体を石丸はそのまま倦怠感に身を任せてベッドへと倒れこんだ。体重でスプリングが軽く軋む。
 横になった後もまだあの甘い感覚は石丸の身体を支配していた。焦点が定まらない視線にバターの容器が映る。中身はまだ残っている。そうだ…また、兄弟とひとつになれるんだ…いつしか本人でも気付かぬうちにそう思うようになっていた。
(兄弟は、ちゃんといた。きっと、ぼくがみようとしていなかっただけなんだ。すがたはかわってもこれからはずっと、ずっといっしょだ)
 パッケージの大和田と目が合った気がして思わず涎まみれの口元がだらしなく緩む。
「どう?絶望的な自慰をしちゃった感想は?」
 江ノ島がわざとらしく訊いてくる。石丸はすっかり蕩けきった表情を彼女に晒し答えた。
「…悪く…ない」
 彼はすっかりこのひとり遊びの虜となっていた。
作品名:ひとつに、とけあう 作家名:なずな