鎧武外伝 仮面ライダー神武
第四章
知記の記憶が戻ってから、知記は拠点をヘルヘイムの森に移し、度々元の世界へ赴いてはインベスを倒してまわっていた。もちろん、残された人間達に余計な思いをさせないようアーマードライダーとしての姿でだ。
そして、この日は偶然葛葉紘太とともにユグドラシルタワー近くの広場にいた。
『カチドキ オー』
鎧武はカチドキロックシードを解錠し、それをベルトに取り付ける。その錠を閉め、小刀で錠前を切る。
『ソイヤッ カチドキアームズ いざ出陣 エイエイオー』
刹那、鎧武の纏っていたオレンジアームズが消え、頭上に現れた球体が変形して覆いかぶさり変形し、カチドキアームズにアームズチェンジした。
「よし、じゃあ俺も。」
『ブラッドカチドキ オー』
知記も同じくロックシードを解錠してベルトに装着し小刀で斬り、アームズチェンジをする。
『ブラッドカチドキアームズ いざ進撃 エイエイオー』
すると神武は鎧武とほぼ同じ姿のブラッドカチドキアームズになった。
「おい、知記!ずっと思ってたけど変身したらすっごい被ってるんだけど!」
「気にしている余裕があるか。さっさと片付けるぞ。」
「…おう。」
食ってかかる鎧武をかわし、神武は火縄大橙DJ銃を構える。
納得できない鎧武も、渋々同じく火縄大橙DJ銃を構える。
そして二人同時にターンテーブルを回す。また再度回し、銃口をインベス達に向ける。引き金を引き、銃口と同じ大きさの火球を発射させる。それを何発も撃ち、インベスを倒していく。だがインベスが減ったような気がしなかった。それどころか、どこかでクラックが開いているのかインベスは増えていた。
「ああもう!キリがない!」
鎧武は火縄大橙DJ銃を投げ捨て、背中のカチドキ旗をその手にインベスを薙ぎ倒していた。だが痺れを切らしてそれすらも捨て、あるロックシードを取り出した。それを解錠すると、下の部分から鍵らしきモノが出現した。
『フルーツバスケット』
すると戦極ドライバーのライダーインジゲータが変形し、鍵穴が出現する。鎧武はそのロックシード―極ロックシードを鍵穴に差し込み回した。
『ロックオープン 極アームズ 大・大・大・大・大将軍』
その瞬間、極ロックシードのキャストパッドとカチドキロックシードのキャストパッドの二段階目が同時に展開し、大きなクラックから全てのアームズを召喚。それらが鎧武の周りを浮遊し、鎧武に融合すると同時にカチドキアームズをパージし、その中から銀色の西洋甲冑を身に纏ったアーマードライダーが現れた。その姿は鎧武極アームズと呼ばれる。
「…ここからは俺のステージだ。」
紘太はつぶやき、極ロックシードに手をかけ、それを二回回す。
『大橙丸』
『バナスピアー』
刹那、鎧武の両手に大橙丸とバナスピアーが現れ、鎧武は二つの武器でインベスを倒していく。すると何体か普通には倒せない敵が現れた。だが鎧武は物おじしない。
「だったら殴り倒す!」
『クルミボンバー』
鎧武は極ロックシードを回し、グローブ状の武器を召喚した。それを両手に嵌め、インベスを殴り付ける。殴り付けていた敵が限界まで疲労すると、鎧武はすかさずカッティングブレードでロックシードを二回切った。
『ソイヤッ 極オーレ』
身につけたクルミボンバーを構え、宙を殴る。するとクルミボンバーが鎧武の腕から発射され、殴っていた敵に直撃し、爆散させた。しかしインベスは減っていないような気さえするほどのさばっている。なので鎧武はもう一度極ロックシードを回した。
『スイカ双刃刀』
その瞬間、鎧武の頭身の大きさの二倍ほどの武器が現れた。鎧武はそれを振り回し、周りのインベスを切り倒していく。インベス達はそれに触れただけで吹き飛ばされ、爆発する。
「これで、どうだ!」
鎧武はもう一度ベルトを操作し、必殺技を発動する。
『極スカッシュ』
そしてスイカ双刃刀を投げ飛ばし、大漁のインベスを両断して爆発させた。
「なるほど、これがデェムシュを倒した力か。」
一部始終を見ていた―いや、手を出せなかった神武が呟く。
「あの赤いオーバーロードの事か!?なんで知ってる!?」
「言ってる場合か。…言いたくなかったが、後で説明してやるから早くやれ。」
疑問をぶつける紘太を知記は諭す。
『無双セイバー』
紘太はやはり腑に落ちないという顔で武器を召喚して敵に向かう。
それと同時に知記は思考を巡らせる。
―あの力…。
―おそらく黄金の果実の力だ。
―だが、もしかしたら。
―根拠はないけど、あれと同じくらいの力が俺にも使えるかもしれない。
そういえば、と知記はサガラが言っていた言葉を思い出した。
―そのロックシードが、お前の本当の力を引き出してくれるだろう。
―ただし、使い方が少し複雑だからな。
―使い方が複雑。
―あいつはそう言っていた。
―つまり、何かと組み合わせろということか?。
―あいつがほかに俺に寄越したものといえば。
知記はどこからかあるものを取り出した。メロンエナジーロックシードだ。
「要は、これを使って制御しろってことか。」
『メロンエナジー』
知記はおもむろにゲネシスコアを取り出し、それをベルトに装着してそこに解錠したロックシードを取り付ける。すると勝手にブラッドカチドキロックシードのキャストパッドがしまり、ロックが解除された。そして錠を再度閉める。
『ロックオン』
刹那、身につけていた鎧が折り畳まれて戻り、頭上に現れたメロンエナジーロックシードと融合し、ジンバーアームズとカチドキアームズを混ぜ合わせたような形に変化した。その後、カッティングブレードでロックシードを切った。
『ミックス ブラッドカチドキアームズ いざ進撃 エイエイオー ジンバーメロン ハハァ』
その瞬間、融合して現れたアーマーパーツが変形して神武に覆いかぶさり、再度変形して鎧となった。見た目は、上半身の胸部アーマーがジンバーアームズ風。下半身はカチドキアームズ風、肩はそれぞれジンバーアームズの肩飾りにカチドキアームズの肩アーマー。背部アーマーはカチドキ旗のないカチドキアームズのようなモノがある。さながら、カチドキアームズが陣羽織を羽織っているような姿だ。頭部はカチドキアームズのモノがオレンジから黒に変化したモノ。また全体的な色は全て黒くなり、カチドキジンバーラングと呼ばれるそこには、赤いオレンジと赤、緑のリンゴ、メロンが均等に描かれている。これはカチドキジンバーアームズと呼ばれる形態だ。
「神武、参る。」
神武は静かに呟くと、無双セイバーを取り出して構え走り出した。そして鎧武に加勢し、インベスを切り倒していく。
「なんだ?今度はいろいろ混ざってるな。」
「俺はこっちの方が戦いやすいよ。身軽なのと違って守りを考える必要はないし。」
「そうか?俺は受けるより避ける方が得意だからな。」
そんな会話をしつつ、二人のライダーは敵を駆逐しつづける。瞬く間に敵は消えていく。
「止めだ。」
「おう!」
『火縄大橙DJ銃』
二人はそれぞれ火縄大橙DJ銃を取り出し、並んで構える。二種類のオレンジロックシードをそれぞれの銃に取り付け、錠を閉める。
『『ロックオン フルーツバスケット』』
作品名:鎧武外伝 仮面ライダー神武 作家名:無未河 大智/TTjr