二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

鎧武外伝 仮面ライダー神武

INDEX|3ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

第一章



 インベスゲーム。今日、ビートライダーズという若者達のダンスチームの間で流行っているゲームだ。ビートライダーズは、元々チーム同士で切磋琢磨しながらダンスで競い合う者達であった。しかし、それはあるときを境にまったく別の物へと変わってしまう。…これはシドによって齎されたロックシードが原因だった。そのロックシードにより、インベスゲームという概念が出来、ビートライダーズによる抗争の全てがそれによって決まるようになった。元々純粋にダンスのみで決まっていたチーム間の順位は、全てインベスゲーム…もとい、チームの所持ロックシードの数で決まるようになっていった。
 これも全て、プロジェクト・アークの一部である。これが、ユグドラシル・コーポレーションの計画。これが、沢芽市の現状であった。
「…なかなか、ハードな状況だな。」
 知記はそれをタブレットPCに書き出し、現状を再確認していた。
 ここは、沢芽市の何処かにある廃工場。
 彼は今、何処とは言えぬビートライダーズのような雰囲気を醸し出す恰好をしていた。もちろん、ユグドラシル・コーポレーションから追われる身であるために、カモフラージュをすることを考えた結果である。
「人類を救済するためとは言え、六十億人も犠牲にしてたまるかよ…。」
 だが、それが現状では最善の答えであることもまた知記は理解していた。
「…さて、行くかねぇ。」
 知記はタブレットを鞄にしまうと、その場を立ち去ろうとした。
 しかし、それは叶わなかった。
 不穏な音と共に、知記の目の前の空間に裂け目が現れた。
「クラック!?こんなときに!」
 時空間の裂け目。クラックと呼ばれるそれが開き、そしてその先にあるヘルヘイムの植物が侵食を開始する。
 現状、それをどうにかする手だてを知記は持っていなかった。
―このまま何事も無ければいいが…。
 だがその希望はすぐに打ちのめされる事となる。開いたクラックから怪物が現れたのだ見た目はライオンのような赤い怪物。ビートライダーズが、インベスゲームでロックシードから呼び出すインベスと酷似していた。ただゲームで召喚されるインベスは人間の子供と同じ大きさである。
しかしその怪物は、知記と同じくらいの背格好をしていた。
「結局来やがったかよ!」
 幸い、すぐにクラックは閉じた。
 知記は鞄を捨て、あるものを取り出す。先日強奪した戦極ドライバーと、その際に収穫したロックシードだ。知記はベルトを腰に装着し、ロックシードを解錠する。
『ブラッドオレンジ』
 半分感情の篭った機械音声が鳴り響き、知記の頭上に円形のクラックが出現する。そのクラックが開き、中からブラッドオレンジの形をした何かが出現する。
「変身。」
 ポーズを決め、錠前をベルトに装着する。そして錠を閉める。
『ロックオン』
 刹那、ロック風の待機音が鳴り響く。
 青年はベルトのカッティングブレードを倒し、錠前を斬った。
『ブラッドオレンジアームズ 邪ノ道・オン・ステージ』
 小刀を倒すと、ロック風の切断音とともに変身音が鳴り、頭上の物体が降りて来る。それは知記の頭部をすっぽりと覆い、そしてその物体から流れ出るエネルギーが紺色のスーツのようなものを形成する。
 同時に物体の中では、知記の頭部を兜のような物が包み、仮面となる。最後に物体が四方に展開し外装となり、手元に赤い刀が現れ変身が完了する。
「アーマードライダー神武(じんむ)…参る。」
 知記は仮面の奥で気を引き締める。
 そして右手の刀―大橙丸を握り絞める。
 大きく一歩踏み出し、走り出す。
 手に持つ刀で斬りかかる。
 しかしライオンインベスもそのままではない。左手の腕を突き出し、その爪で神武の刀を受け止める。また右手の爪で神武を攻撃しにかかる。
 だが神武は左腕の装甲でそれを受け止め、弾き飛ばす。その勢いを生かして左拳をインベスに叩き込む。パンチを受けたインベスは腹を押さえて後ずさる。しかしあまり効かなかったのか、すぐに仮面の戦士へと襲い掛かる。
 戦士はそれを冷静に分析し、右手に持つ刀を逆手にして左で構える。そして怪物の攻撃を左の刀で受け止め、腰に掛かっている刀を抜き、その勢いでインベスを攻撃する。斬撃をもろに受けたインベスは再度吹き飛ばされる。どうやら腹に傷を負ったようだ。だが知記はそれを見逃さない。
 すぐさま右手の刀―無双セイバーのレバーを引き、銃弾をロードし、トリガーを数度引く。撃った弾は全て直前につけた傷に着弾し、インベスをさらに後退させることに成功する。
 少し余裕が出来た知記は、右手の剣をくるくると回し自身の力を分析する。
「ふむ、初めて変身したが、どうやら性能的にはオレンジアームズと同等か。」
 話はちょうど一年前に遡る。


 戦極ドライバーの基本メカニズムが確立し、実験段階に入った時。また、メロンアームズの性能実験が終了した時の話だ。
「貴虎、次のロックシードを試してくれ。」
「分かった。」
 戦極凌馬の合図を受け、呉島貴虎はオレンジ色の錠前を解錠し、戦極ドライバーに装着、そして斬る。
『オレンジ』
『ロックオン ソイヤッ オレンジアームズ 花道・オン・ステージ』
 瞬く間に、貴虎の体はエネルギーで形成された白いスーツ―ライドウェアとオレンジ色の鎧に包まれ、アーマードライダー斬月オレンジアームズとなった。
「成功だ、貴虎。知記、データ収集を頼む。」
「了解。」
 となりで貴虎の戦極ドライバーと繋がるPCを操作する知記は、凌馬に生返事を返し、データを収集する。
「状態値、稼働率、共に正常。理論値通りだ。貴虎、少し動いてみてくれ。」
「おいおい、勝手に指示しないでくれ。貴虎、よろしく。」
 凌馬は少し口を出すが大して気にする事は無く、貴虎はコクりと頷き適当に動いて見せる。
「動いた時の値も理論値通りだ。流石は凌馬だな。」
「勿論だ。私の作品だからね。」
「…しかし、やっぱり白いライドウェアにはメロンが一番似合うな。」
「そうだねぇ。じゃあ、この色に似合うライドウェアを専用で作ろう。」


 そんなこともあり、知記はこの錠前の性能を詳しく分析する事が出来た。
「さて、とどめだ。」
 知記はベルトのカッティングブレードを二回斬った。
『ブラッドオレンジオーレ』
 すると左手の刀にエネルギーが充填される。神武はそれをふわりと放り、右足で蹴り飛ばす。
刀は先ほど付けたインベスの傷口に命中、刺さり貫通した。
 そして今度はベルトから錠前を外し、右手に持つ無双セイバーに装着し、錠をしめる。
『ロックオン イチ・ジュウ・ヒャク ブラッドオレンジチャージ』
 知記はそれを両手で構え、インベスに向かって走り振り下ろした。ロックシードのエネルギーを受けた斬撃は、インベスを一刀両断し、爆散させた。
「…こんなものか。」
 錠前を刀から外し、ベルトに戻してキャストパッドをしめる。
 そうすることで、アーマードライダー神武の姿は元の紅城知記の姿へと戻った。
「ふぅ…。」
 貯まっていた息を一気に吐き出す。それをすることによって、心を落ち着かせる。
「初陣か。まあ、まあまあかな。」