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何度でも 前編

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 扉が閉まると、再び静寂が訪れる。
私は足音を立てないように注意しながら、アムロの寝る部屋へと戻った。

彼はデュぺに完全に埋まり、髪の一部がちょこっと覗くだけになっていた。
そっと剥いで顔を出させる。
と、日差しが眩しかったのか、彼の眉間に縦じわが寄せられた。そして、ふっさりとしたまつ毛が、小さく震える。
「目覚めるかね? 私のアムロ」

私は寝具の中で温められて薄ピンクになった耳に、そっと言葉を落とした。
その声に反応したかのように目蓋がゆっくりとあげられていく。

(今生のアムロの瞳は、何色なのだろう)

私はプレゼントの箱を開ける子供のようにワクワクしながら見つめた。
窓からの日差しにキラリと金色に輝く瞳に、(ああ、琥珀なのだな)と思ったのだが、よくよく見てみれば、光彩は瑠璃色をしているのに、その中に金色の花が線画で描かれている。

(なんと神秘的な瞳をしているのか。この瞳で見つめられるだけで魂まで捕らわれてしまう)

私は息をするのも忘れ、その瞳に見入った。

ぼんやりとした視線がしばらく彷徨った後、私へと定まる。

『あなた…だ…れ』
と呟いた後、私の容貌から判断したのだろう。
「あなたは誰?」
細い眉を怪訝そうに寄せて、彼の唇は再び言葉を発した。

「君は校長より賢いね。流石、私のアムロだ」
「………私の??」
眠気が勝った、子供の様な言葉遣いが可愛らしい。
彼は横になっていながら小首を傾げるという器用さを見せてくれた。

「そうだ」
「で? あなた、誰?」
「今生はジーク・フェルセティ・エリアルディと言う。だが、君には、シャア…と呼んで貰いたい」
「……シャ…ア?」
「そうだ。シャアだよ。アムロ」
「知ら…ない…」

拙い声がポソリと返されたが、その瞳は再び眠りの世界へと戻っていく。

「君が知らなくても、私が君こそがアムロだと知っている。いや。確信していると言うべきだな。きっと君は思い出す。あの戦いの中で幾度も出会った私と言う存在を」

私はすっかり眠りに落ちたアムロの頬を、優しく包んだ。
若い肌は、しっとりと吸い付く様な触感を返してきたが、それ以上に驚かされたのは

寝ている筈の彼の片手がデュペから出てくると、私の手をそっと握りしめたのだ。
そして、満足そうな笑顔を口端に浮かべると、握った私の手に頬をすりすりとこすり付けた。


歓喜が私の全身を包み込む。


彼こそが、運命の相手!



探し続けた、転生したアムロ・レイ!!



 私はルームサービスのチャイムが鳴るまで、彼に手を預けたまま、心が芯から温まるのを感じていたのだった。
作品名:何度でも 前編 作家名:まお