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かじみちつめ

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手術着のまま加地先生は病院の廊下を歩いている。
そのまえに富士川先生が立ちふさがるように立つ。
「あんたのせいで世界初症例がパーや」
立ち止まった加地先生は富士川先生をじっと見る。
富士川先生は歩き出し、加地先生のほうへ近づいてくる。
「ようも天堂総長の顔に泥塗ってくれたな」
すると、加地先生は左の口角をあげて笑う。
そして、富士川先生に落ち着いた声で告げる。
「知ったこっちゃねぇよ」

かっけえええええええええええええ!!!!!!!!!
加地先生がめっちゃカッコいい!
「おおきに」とか言ってたひととは別人のようです。
まあ、別に寝返ったわけではなくて患者の希望をかなえるのにちょうどいい論文が富士川先生のものだっただけだし、富士川先生のことが気に入らなかったのに気が変わったということでもなかっただろうし。
このカッコ良さ、未知子にも見てほしいーーーーー!と思っていたら。

加地先生の背後から歩いてくる足。
手術着を着ている……!
加地先生から少し離れたところで、加地先生と富士川先生が対峙しているのに気づいて、その足が止まる。
そう、未知子!

さすが公式様、わかっていらっしゃる……!
未知子にこの加地先生の勇姿を見てほしいと思っていたら、本当にその場面が来るんですね!
ありがとうございました!

未知子は柱の陰に身を隠して加地先生と富士川先生の様子を見る。

そんな未知子にふたりは気づいていないよう。
富士川先生は加地先生に重い声で告げる。
「覚悟しとけよ」
すると。
「覚悟ならできてる」
落ち着いた声で加地先生は言葉を返した。
加地先生は歩き出す。
その顔は笑っている。
富士川先生のすぐ近くまで行くと、加地先生は右腕をあげた。
そして、加地先生は富士川先生の右肩をポンポンと叩き、それから富士川先生の横を通り過ぎ、去って行く。

かっけええええええええええ!!!!!
カッコいいよ、加地先生!
勝村さん、このシーン演じていて、爽快だっただろうなー。

少し離れたところでその様子を見ていた未知子は、一瞬顔に笑みを浮かべた。

惚れましたね……?
加地先生に惚れちゃいましたね?

富士川先生は前方をにらむように厳しい表情で歩き出した。
廊下を進み、やがて未知子に気づくと、いまいましげな顔をフンというように少しあげ、それから去って行った。
未知子はため息をつく。

一方、強い表情で廊下を歩いている。
その前方から呼びかけられる。
「加地君!」
加地先生は立ち止まった。
海老名たんと原先生が駆け寄ってくる。
ふたりは近くまでくると、立ち止まり、加地先生をじっと見る。
一瞬あと。
加地先生は深々と頭を下げた。
「お世話になりました」
その顔にあるのは複雑な表情。富士川に見せていたのとは違う、つらそうでもあり寂しそうでもある表情。
しかし、加地先生は歩き出し、ふたりのあいだを通り過ぎていく。
迷いを断ち切るかのように去って行く。
その背中に向かって、原先生は悲痛な表情で呼びかける。
「加地先生、カームバーーーーーーーーーック!」
けれども、加地先生は足を止めず、遠ざかっていく。

一部始終を見ていた未知子はつぶやく。
「なにこれ、今度は西部劇」
手で拳銃を模して、その指先をふっと吹くと、去って行った。

うわわわわわ!
加地先生、辞める覚悟をしてたんだね!
だから、未知子に「おまえは最後の最後までデーモンだ!」って言ったんだね。
最後の最後ってそういう意味だったんだね。
この病院での最後、あるいは、自分の医者人生最後、ってことだったんですね。
術式の変更すると自分の今後はどうなるか、それを覚悟したうえでの、大きくて重い決断をしたんですね。
これまで未知子が手術を代わって行ったときの本来の執刀医がどうなったのか知っていて、自分から未知子にやれと言ったんですね。
男前すぎるよ、加地先生!
そして、やれと言われたのに代わらなかった未知子、慈しみに満ちてる……!
早く結婚しろおおおおおおおおおおお!

場面変わって、総長室?
天堂総長からオペ中に術式を変更したことを言われ、加地先生は頭を深く下げて謝罪する。
加地先生は天堂総長の机に辞表を置いた。
うわあああ、加地先生、クビを切られる覚悟じゃなくて、自分から辞表を提出するつもりだったんだ!
そこまでの覚悟あっての決断だったんだ!
しかし、天堂総長は提出するのは辞表ではなく症例報告ではないかと言う。次世代腫瘍脊椎骨全摘術は世界でもまだ数少ない素晴らしい臨床例であるらしい。
天堂総長は加地先生が提出した辞表を破り捨てる。
……まあ、加地先生、腹腔鏡の名医で、マスコミにも引っ張りだこのスーパードクターだからね。辞めさせたくないでしょう。
加地先生はすぐに症例報告を書かせていただきますと喜ぶ。
そこに晶さんが入ってきて、いつもの請求書なんですが、加地未知関係ないので省略。

加地未知関係ないと思われるところはいろいろ省略して、でも、薬があるところで事務局長が胃薬らしきものをこっそり呑んでいると、いつのまにか近くまで来て見ていた看護師長が「ファイト」って声をかけて去って行って、その背中に事務局長が「御意」って言うのが、おもしろかったです。

また加地未知関係ないシーンは省略して。

菜々緒ちゃんの個室。
「経過は順調です」
そう加地先生は菜々緒ちゃんに告げた。加地先生の隣には未知子が立っている。
しかし。
「どうでもいいわ、もう」
菜々緒ちゃんは天井を見あげて投げやりな口調で言った。
そして、その眼を加地先生に向ける。
「二週間じゃ退院できないんでしょう?」
そう問われて、声を無くしたようにうなずき、うつむく。
「結局あなたは私のオーダーに応えられなかった」
加地先生は菜々緒ちゃんのほうに眼をやり、一瞬ふたりの眼が合った。
菜々緒ちゃんは眼をそらし、鋭く言う。
「失敗ね」
すると、加地先生は頭を下げた。
「申し訳ありません」
菜々緒ちゃんを横目で見ていた未知子は加地先生を見て驚いた表情になる。
「へえ、謝るんだ」
加地先生と菜々緒ちゃんは未知子のほうに眼を向ける。
未知子は菜々緒ちゃんを見て、言う。
「あのさあ、失敗しなかったから、あんた、来年も再来年も生きてられんじゃん」
……未知子が加地先生をフォローしたーーーーーーーーーーーーーー!
なんという慈しみ!!!
内助の功ってやつですか、ちょっと違うかもですが、そういうことで!
加地先生は顔を未知子に向け、じっと見ている。
「大門」
それに構わず、未知子は菜々緒ちゃんの枕元へと近づいていき笑顔で続ける。
「だいたいさあ、パリコレパリコレってえらそうなこと言ってっけど、ただ歩くだけでしょう? そんなの、いつでもいいんじゃないの」
さっぱりした口調で言うと、興味を無くしたような表情を菜々緒ちゃんに向ける。
「じゃあね」
未知子はさっさと、あくびをしながら、去って行く。
個室に、菜々緒ちゃんと加地先生ふたりきりなる。
菜々緒ちゃんは加地先生のほうを見ずに言う。
「あの女、ホント、むかつく」
加地先生は菜々緒ちゃんを見た。
「よーくわかります」
それから、未知子が去って行ったほうを向く。
作品名:かじみちつめ 作家名:hujio