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二階堂千鶴とゆかいなコロッケたち

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「わたくしのために動いてくれるのは嬉しいですが、体調管理もプロデュースのうちですのよ?」
「返す言葉も無いな。ははは……」
「高貴さというのは体のそこから溢れ出してくるものです。規則正しい生活で己の徳を高めるのです。その結果がこのわたくしですわ! どうです? これ以上無い程の説得力でしょう! おーっほっほっほげほっごほごほ……って、どこへ行くんですか!」
 自信満々な高笑いを止めて、洗面所へ向かっているプロデューサーを呼び止めた。プロデューサーはその結果、あたりでもう千鶴に背を向けていた。
「そろそろ出る時間だ。オレは身支度するから外で待っててくれ。すぐに行く」
 洗面所のドアを開けながら言う。出発する時間の5分前といったところだった。
(……今日も始まるのですね。わたくしのアイドルとしての活動。二階堂千鶴の活動が)
 プロデューサー(この人)に支えられながら。
「プロデューサー」
 ドアノブに手をかけたプロデューサーに、ずいっと千鶴が歩み寄る。なんだ、とプロデューサーが聞く前に、その腕を掴むとカプッと噛み付いた。
 突飛な千鶴の行動に、プロデューサーは目を白黒させた。
「ん何を、いやっているんだ?」
「こうしたらプロデューサーのことをもっと良く知れると思ったのですが」
 千鶴は二、三回あまがみした後口を離した。
「そんなことできるわけないですよね。コロッケじゃあないんですから」
「……ん千鶴、本当に大丈夫か? 最近忙しくなってきたから、いやっぱり、今日は大事を取って」
「それじゃあプロデューサー、早く来てくださいね。わたくしの魅力を知らない不幸なファンの皆様のところへ馳せ参じなければなりません。それがわたくしに課せられた使命ですから!」
 聞く耳持たずに千鶴は出入り口のドアノブに手をかけた。
 はてなを浮かべているプロデューサーに振り返る。
 元気と自信に満ち溢れている、いつまでもどこまでも先へ進むことのできそうな気高く高貴な表情。
「それにプロデューサーには、まだまだわたくしを知ってもらわねばなりませんから。……も……ですけど」
 そして笑顔になる。好奇心旺盛で、無邪気な笑顔。
「これからも、私をよろしくお願いしますね。プロデューサー!」
 二階堂千鶴のアイドル活動は続く、プロデューサーと共に。