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はつこい。@二次創作
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【カゲプロ】アヤノ誕生日2014小説

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「じゃあねシンタロー。暗いから、変な人に気をつけるんだよ~」
「……お前に言われたかねェよ。じゃ、ちゃんと勉強しとけよ。 またな」
「うん! またねぇ」


 遠い後ろ姿が暗がりの景色に溶けた瞬間、すっと顔から力が抜けたのが分かった。
 大きく振る手を止め、ゆっくりと下ろす。
 ずれたマフラーをもう一度巻きなおし、小さくため息をついた。
 名残り惜しいような気分になりながらも、再び帰路を歩き始める。


 先刻までは眩しいオレンジが強いコントラストを放っていた空も、瞬く間に光を失っていく。
 この頃、日が落ちるのも随分早くなった。
「……もう、こんな季節かぁ」
 何気なく呟いた一言が、私に沈黙を呼び寄せた。
 友人と別れ、家に着くまでのほんの数分間。
 本当の意味で一人ぼっちになるこの時間は、あまりにも寂しすぎて好きにはなれない。
 しかし、この苦しい状況の中で、私がみんなの前で笑っていられるのは、ある意味自分自身のお陰かもしれない。


「……だぁ! ダメだ! っていうか私こんなキャラじゃないよ~!」
 柄にも合わずセンチメンタルな言葉を口走ってしまったことでか、顔が熱くなるのを感じた。
 別に、誰かに見られている訳でもない。子供の少ない静かな住宅街では大抵、他人と顔を合わせることはない。
 だが、このくらい大げさな独り言を言わないと、何かが壊れてしまいそうになるのだ。
 でも、何も変わってはくれない。
 木枯らしが、剥き出しの足に吹きつける。