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はつこい。@二次創作
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【カゲプロ】アヤノ誕生日2014小説

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 今年の夏は、とても短い気がした。
 焼き付けるような陽炎と理不尽を喚く蝉の音がやけに印象的で、しばらく時間を手放してしまったようにも思えた。
 それだけ、日常を喪った悲しさが強かった。
「……なんで、こんなことになっちゃったんだろうなぁ」
 私には、兄弟が三人いる。
 正確には弟二人の妹一人なのだが、私以外は全員両親と血は繋がっていない。
 三人は、それぞれ不思議な事情を抱えた養子だった。
 血の繋がりは持たないが、皆、私たちを慕ってくれていた。お母さんのことも、大好きだった。


「みんな悲しいんだもんね。私は、笑ってなくちゃ!」
 泣き顔は見たくない。昔みたいに、ずっと笑顔でいて欲しい。
 それが無理なのであれば、せめて、私だけでも笑っていてあげたい。
 そして短い夏の後の秋は、毎年、私が一年で最も楽しみにしている季節だった。


 すっかり空が藍色に染まり、乾いた冷気がピリピリと肌を刺激する頃、見慣れた我が家が見えてきた。
 正面から吹く北風に軽く身震いをして、首をマフラーにうずめた。
 この赤いマフラーは、小さいころからの一番のお気に入りである。