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はつこい。@二次創作
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【カゲプロ】アヤノ誕生日2014小説

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「お姉ちゃん、おかえり! もうあがってもいいっすよ」
「今日はお父さん帰ってこれないみたいだけど……一応みんなで準備はしたんだよ。入って」
 何故か幸助とつぼみの二人はモジモジと、私と目線を合わせようとしない。
 そんな様子に不信感を抱きながらも、修哉に「いいからいいから」と背中を押され、半ば強制的にリビングに入った。
 そして、次の瞬間目に飛び込んできた風景にハッとする。


 誰かの「せ~の……」という小声に一拍開けてから、「お誕生日おめでとう!」という大きな声が上がった。
 色紙や鮮やかな小物で飾られた壁。食卓に並んだごちそう。求めてもいなかった現実……。
 私は、それらを信じられないような気もちで見つめていた。


「そっか……私、今日、誕生日だったんだっけ……」


 最近色々なことを考えすぎて、本日をすっかり忘れていた。
 いや、それは仕方がないのかもしれない。たったひと夏で幸せの形を忘れてしまったのだ。
 自分や他人の誕生日なんかに、気を回す余裕はない。


 でも、この子たちは覚えてくれていた。
 私の一番好きな季節を、きちんと知ってくれていた。
 それが何よりも、とてつもなく嬉しかった。


 振り返ると、三人は照れくさそうにそれぞれ赤面している。
 堪らない愛おしさで、胸が苦しくなる。
 外側にこぼれそうになる雫を精一杯呑み込みながらも、私は笑顔を留めた。


 幸せは、まだ失われてなんていない。
 温かな笑顔だって、消えてはいない。


 世界の理不尽なんかに、私たちが負ける訳がない、強く生きて見せたい。
 だってこの子たちは、こんなにも優しいのだから。


「みんな、ありがとう」


 文乃はみんなに愛されて、十五になりました。