【カゲプロ】アヤノ誕生日2014小説
しかし、その直後に「ガン」という手ごたえと共に訪れた違和感に、眉を潜める。
「……あれ? 鍵閉まってる?」
もう一度ドアを開けようとするも、依然として扉は固く閉じたままだ。
「おっかしいなぁ、出かけてるのかな?」
高校教師をしているお父さんは、まだ帰宅時間ではない。
最近は夜中になっても帰ってこないが、必ず兄弟の誰か一人はいるはずだ。
修哉やつぼみはまだしも、幸助はまず外には出かけないし……いや、なんか「可愛い友達ができた」と前に言っていたし、その子に会いに行っている可能性は否定できないのだが。
仕方なく鞄の奥から鍵を取り出すと、ガチャガチャとドアを鳴らした。
外の冷え込みが強かった分、中の空気が暖かくて心地よい。
やはり、寒さから温さへ飛びこむこの快感は、秋冬の楽しみともいえよう。
「ただいまぁ~」
一応声をかけてはみるものの、家の中は暗い。
シンと、私の声だけが響いた。
「……ホントにいないのかな」
悲しくなって表情を落とした瞬間、パチンという音と共に、いきなり視界が明るくなった。
突然のことに私は肩をビクリと揺らす。
「姉ちゃん!? 早かったね、おかえり」
スイッチに手を掛けていたのは、修哉だった。
しかし、何やら様子がおかしい。オドオドしているというか、何と言うか……なんとなく修哉らしくない表情をしている。
「あれ、修哉いたんだね。びっくりしたよ~」
「うん、あ、けどちょっとそこで待ってて! ちょっと今準備中」
「準備?」
落ち着かない表情を浮かべる修哉は、慌てた様子でリビングの方へと消えていった。
意味は呑み込めないが、何やら異常事態が彼の身に起こったということは、私にでもわかる。
少し気にはなるも、修哉の言うことを聞き玄関でおとなしく待機すること数分、奥のドアから三人の姿が出てきた。
作品名:【カゲプロ】アヤノ誕生日2014小説 作家名:はつこい。@二次創作