敵中横断二九六千光年2 ゴルディオンの結び目
やつらに勝てる。そう言われてきた。そうとでも思わなければとてもやってこれなかった事情もある。実際、決して太刀打ちができないほどの敵でもなく、なんとか戦ってこれたのだが。
そこに来てこの拳銃。造りが粗悪で地球の軍制式品にまるで劣るなどという。
「わからんな。この一挺のみですべてを判断するわけにもいかんし」
「それはもちろん、その通りです。ですがもうひとつ、この銃からやつらの指紋とか、遺伝子のようなものが採れないかという話がありましたが……」
「それだ」と言った。「何か出たか」
「はい。ガミラス人の遺伝子と思しきものの採取に成功しました」と斎藤は言った。「それによると、やつらはおそらく地球人と種的にもかなりよく似た生物です」
作品名:敵中横断二九六千光年2 ゴルディオンの結び目 作家名:島田信之