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敵中横断二九六千光年2 ゴルディオンの結び目

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と森は言う。「はあ、ええと」と古代は応えた。ただハアハアと相槌を打ってるだけじゃいけないんだろうなと思い、何か言わねばと考えたけど、しかしまったく返す言葉が見つからない。

結局言った。「うん」

「いえ、あの」

と森は言った。急に慌てて取り繕うような調子になって、

「誤解しないでほしいんだけど、あたしは別にだからって、航空隊に『死ね』と言ってるわけじゃなくて……」

「そうですか」と言った。してないけどな、そんな誤解。「わかりました」

「いや、だから、そうじゃなくて」

「わかってるから大丈夫」

「わかってない! だからあの、その……」

森は言って口ごもった。しかし一体、この人は何をテンパッてんだ?

「ごめんなさい……」

「はあ」と言った。「それじゃ、おれは行きますから。後はごゆっくり」

「え? あ、うん」

エリート女士官なんてこれだからホント一緒にいたくねえよ。これ以上わけのわからないこと言われないうちに逃げ出そう。そう思って古代は小展望室を飛び出した。それから首を振って言った。「なんだったんだ、ありゃ」