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無自覚視線

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『そういえば、最近なんか谷地さんと目がよく合うようになった』
 影山が投下した爆弾発言に顔を歪めたのは、残念ながら月島だけだった。
 日向の何の疑問にも思っていない声と山口の不思議がる様子にどうして気づかないのだと月島は苛立った。
 日向も山口もなぜ気づかないのか。日向はともかく、山口はそこまで鈍感じゃなかったのは月島の記憶違いか。
 何もなく目が合うことなんて普通はあり得ない。それはお互いが目で追ってしまっているのだろう、無意識のうちに。先日の谷地の首が痛い発言も相まって、月島は甘ったるい嘔吐感に駆られた。
 せめて何かで押し流せたらと思ってしまう。


「コーヒー飲みたい」

作品名:無自覚視線 作家名:すずしろ