ガンダム 月の翅
コクピットのシートに座るとまたしてもホログラム状のパネルが目の前で作動した。TYPE SELECTの文字とともに3つの図が出てきた。左から、人がシートに座っている図、脳みその図、人が直立している図だった。どうやら操縦の方法を選択するらしい。一番左の図を選ぶと収納されていた操縦レバーやフットペダル、VRヘッドが出現、『グヴォォゥン』と音がした。
「何の音だ?」
「こいつ…」
巨人は音と共に巨大な一つの眼を開けた、と同時にコクピット内には360度全面に外の景色が映し出された。その景色は巨人の至る所にあるカメラによる物で、その内の主要部分は眼から取り込んでいた。この眼はメインカメラの役割を果たし、モノアイと呼ばれていた。
「アラクネとあまり変わらなそうだ」そう言いながらフットペダルを軽く踏み込む。
ズシン・・・一歩、ズシン・・・また一歩と一つ目の巨人が足を踏み出し
シュウウゥゥゥと口から息を漏らした。
「おおおおぉぉぉ・・・・・!」その様子を見ていたフィリアスも吐息を漏らした。
「わああああああああ!!!」マオが全速力でやってきた!!
「待てよぉぉぉ!!」ナユタも後を追ってきた!!
「オイ危ないぞ!来るんじゃない!」
フィリアスが全速力でやってきたマオに声を張り上げた。せっかくのエクスタシーを邪魔された苛立ちもあった。
マオはぴたっと止まり犬座りをした。フィリアスに怒鳴られたからではない、目の前にいきなり18メートルもの巨人が現れれば怒鳴られなくとも止まってしまう。
「うおぉ!」クロードが慌ててフットペダルから足をどかした。
「ったく、急に走り出すなよなぁ、ん?」一息ついたナユタの目に巨人が映った。
「!!!」ナユタはついた息を一気に吸込んで固まってしまった。
「ほら、戻りなさい」
フィリアスが落ち着いた声で言うとマオがすくっと立ち上がり巨人を指差し
「ザク!!」
と呼んでまた四足で走り出した。