ガンダム 月の翅
トシとザッパを引き連れ6機のモビルスーツがアラクーダに帰投した。
「じゃあ、3年前にも今日みたいな感覚があったのね」
「そうだ、結局なんだったのかはわからない。だが、これでやっと私の役目が果たせる」
「でも信じられねぇ…あんたがその、機械だなんて」
ザッパは焼き落とされた脚の断面を見せた。金属的な繊維や塊が見てとれた。
「!すまないが、後で検査させていただいても?」
断面に研究者の勘が躍動したクロードは一目も憚らなかった。決して物珍しさに興奮したというわけではない。
「この動力をとってしまえば私はそれまで、好きにしなさい」「恩に着ます、では、アラクーダの修理が終わるのは夜明け頃と見ています。終わったらここを出ますのでそれまでゆっくりしてください」
「そんなにかかりますか?」レトが聞いた。
「今は彼らの時間だ」レトに耳打ちで返した。
クロード達は船体、機体の応急処置を、パンタ、レイ、リュウ、トシはザッパと最期の夜を語り明かした。永いようで短い夜、空が暁の光を帯びる頃、ヴィンセント・ザッパは眠りについた。
天を照らした日の光はアルプスの朝霞を黄金に染めた。
新しい朝が来た。