ガンダム 月の翅
翌朝、日が昇る頃、ギアナ高地の空気は薄く冷たい。
スリチュアン発掘隊は冷たい空気の中におり、その中心にメイが立っている。
「これまで続いた発掘もいよいよ今日で終わる。みんな、気を引き締めて行こー」
「おぉーっ!」
発掘隊はメイを除いて気合十分であった。
その下で、スリチュアンの中でもう一つの作業が始まっていた。
「正直言ってこの船の全体像には完全にはわかっていないので、どこまで掘ったらいいかもわかりません。なのでスリチュアンそのものを起動させる。何か質問は?」クロードは発掘隊以外の人員をほぼ総動員していた。
「エンジンはまだ揃っていないんですよね?動かせるんですか?」リム・ペダルだ。
「アベニールが言うには…性能を完全に引き出すのに必要だから動かすだけなら何個かあればいいそうだ。そんで…
あのガンダムがこのエンジンになる、らしい」
「じゃあ俺たちは何をするんだ?」リュウだ。
「船内を隅々まで調べたい。手伝ってくれ」
日が水平線から光を放ち始めた。その光の中を2隻の船がギアナ高地に近づいていた。
「あれは・・・」
メイは目を凝らした。見覚えのあるフォルム、バレンドラとアドラスだった。
「あ、そうか」
メイは発掘隊へ「スリチュアンかあの二つの船のどっちかに避難して!どこでもいいから!」と告げた
2隻がギアナ高地へ降り立ち、アキラとアラウダとシルル、さらにチベットの一族と泥の民も姿を現した。
「メイさーん!!」アラウダがメイの胸に飛び込んできた。
「おかえり、早速であれなんだけど…その船で引き上げられないかな?」
アドラス、バレンドラの2隻から錨を垂らしスリチュアンのトップマストと船首と思われる場所に引っ掛けた。
「バランス悪くないですか?」「今できるのはここしかないんだからしょうがないだろ」
「せーのっ!」
ギギッときしむ音がするも、浮上とまではいかない。それを見ていたアベニールが
「ぼくがガンダムに乗って一緒に引き上げるね」
ガンダムの白金色の機体の隙間から緑光色の閃光がほとばしった。



