ガンダム 月の翅
スリチュアンが完全に掘り起こされ、アドラスとバレンドラのスリチュアン内の移送、簡易ドームからの引っ越し、船内図作成と一層慌ただしさが増していた。
医療班や科学班は船内設備を片っ端から調べていた。
「えーっとこの装置は・・・・」
「それも酸素供給器じゃないですか?」セナとレトが行動を共にしていた。
「みたいですね・・・。」
「それだけこの船が大きいってことですね。でも・・・」
肝心の酸素生成器が見つかっていないことを思い出し、レトは顔をしかめた。酸素を供給できても生成されなければ役に立たず、乗組員は呼吸不全になり死んでしまう。水を電気分解して作り出す方法もあるが長期移民船、どこで補給できるかもわからない中、宇宙をさまようのは自殺行為であろう。
ふと、レトにある光景がフラッシュバックした。
「アベニールのいるところ・・・?」
レトはセナの手を引っ張り、塔のあるあの場所へ向かった。
「・・・・・・?」
「最初はこれのせいで大昔のスペースコロニーというものかと思いましたけど…」
「チベットより明るいですね。」
「ここが…酸素を生成する施設なんじゃ・・・」
「どうしたの?」
レトの体に緊張がはしる。アベニールが塔の中から出てきていた。
彼は澄んだ瞳をしており、真向から見据えると金縛りにかかりそうになる
「あ、あの・・・ここで酸素を生成するのでしょうか?」
「そう。ここだけじゃないけど。だいぶ永いこと動かしてなかったから完全に動くまで時間かかっちゃうな。」
「なにか必要なものはありますか?」
「うーん・・・水かな。」
「わかりました。」
レトはセナを置き去りにして部屋を出てしまった。



