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機動戦士ガンダムRS 第43話 罪

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「ここは禁断の聖域。
神を気取った愚か者達の夢の跡。
フレイさんは、知っているのかな?
なぜ御両親が仲が悪いのか?」
 フレイは、敵パイロットの言葉を聞いて両親のことを回想した。
「何を言っているんだ?」
 キラ大尉がそう叫ぶとユーピテルツヴァイは、ビームライフルで攻撃してきた。
2人は、それを回避した。
フレイ少尉は、ユーピテルツヴァイにストライクアヴェンジャーのシヴァを向けさせたが操縦桿を握る手は動揺していた。
「だろうな。
知っていればそんな風に育つはずもない。
何の影も持たないそんな普通の子供に。
先の近接回線でキラ君から名を聞いた時は、想いもしなかったのだがな。
君が彼女だとは」
 フレイ少尉は、敵パイロットの言葉で完全に動揺していた。
「そしてキラ君に至っては、てっきり死んだものだと思っていたよ。
あなたの兄弟の中でも特に君は。
その生みの親であるヒビキ博士と共に当時のブルーコスモスの最大の標的だったのだからな」
 敵パイロットは、今度はキラ少尉のことについて話し始めた。
「何を言っているんですか?」
 キラ少尉は、敵パイロットが言おうとしていることが解らなかった。
「だが君は、生き延び成長し戦火に身を投じてからも尚存在し続けている。
何故かな?」
 敵パイロットは、キラ少尉に今日まで生き延びられた理由を質問した。
キラ少尉も生き延びるのに必死のためいちいち覚えておらずうまく答えられなかった。
「それでは、私の様な者でもつい信じたくなってしまうじゃないか。
彼らの見た狂気の夢を」
 敵パイロットの声色は、先と比べて明らかに悲しそうだった。
「僕が・・・僕が何だって言うんですか?
貴方は、何を言ってるんだ?」
 キラ少尉は、敵パイロットが何を言っているのかわからずたまらず質問した。
「君は、人類の夢である最高のコーディネイター。
そして俺は、それを得るために享けられた大罪」
 敵パイロットは、やっと自分が何者かを断片的に答えたがまだキラ大尉とフレイ少尉は何を言っているのか解らなかった。
「そんな願いの下に開発されたヒビキ博士の人工子宮で生み出された唯一の成功体。
彼の息子。
数多の兄弟の犠牲の果てに」
 その時ユーピテルツヴァイは、ストライクアヴェンジャーにビームライフルを1発撃ってきた。
フレイ少尉は、動揺で回避しなかったためキラ大尉がラミネートアンチビームシールドで攻撃を防ぐとバラエーナプラズマ収束ビーム砲を2発撃ち応戦した。
さらにバラエーナプラズマ収束ビーム砲を2発撃った。
「しっかりして。
奴の与太話に飲まれてどうすの」
 ユーピテルツヴァイもビームライフル1発を撃ち反撃してきた。

      ※

 コロニーメンデル港内では、八方ふさがりな皆がどうすればいいか思い悩んでいた。
「後ろに遊撃艦隊1個艦隊なんてどうすればいいのよ」
 1人のM1のパイロットがつぶやいた。
「M1で死神と四天王の相手は、ちょっと辛いって」
 遊撃艦隊がだめなら前方の相手になると考えると厳しい。
「ちょっとどころじゃないわよ」
 その度合いが「ちょっと」の範疇を超えていた。

      ※

 アークエンジェルでは、キラたちから何か通信が来ないか待っていたが一向に返事は来なかった。

      ※

 もう1機のユーピテルツヴァイは、ゲイツにビームライフルを連射した。
シホ少尉は、その猛攻を回避し続けたがとうとう1発でビームライフルを破壊されてしまった。
「駄目。
ゲイツは、新型なのに機動性はユーピテルツヴァイが上回っているなんて」
 シホ少尉は、絶望の淵に立たされているとデュエルガンダムアサルトシュラウドが220mm径5連装ミサイルを撃って援護してくれた。
しかしミサイルは、1発もユーピテルツヴァイに命中しなかった。

      ※

 エターナルでは、物資の積み込みなどの最終作業が行われていた。
「キラまで遅すぎる。
ジャスティス、出るぞ」
 モビルスーツ格納庫では、アスラン中佐が出撃許可を求めた。
「認めません。
アスランは、指示があるまで待機していて下さい」
 しかしラクスは、アスラン中佐の出撃を認めなかった。
「しかしアルスター少尉は、ともかくキラまで戻ってこないというのはおかしいです」
 アスラン中佐は、フレイよりもキラの方が心配だった。
「ならば尚のことです。
これ以上迂闊に戦力は、割けません。
η艦隊とδ艦隊の攻撃もいつ再開されるか分からないのです」
 アスラン中佐は、ラクスに論破され何も言えなかった。
「例えキラ達が戻らなくても私達は、戦わねばならないのですから」
 ラクスの生き延びようとする意志は、とても高かった。

      ※

 キラ大尉は、ラミネートアンチビームシールドで機体を護りながらユーピテルツヴァイを見た。
「僕は、僕の秘密を今明かそう。
僕は、人の自然そのままにナチュラルに生まれた者ではない。
受精卵の段階で人為的な遺伝子操作を受けて生まれた者。
人類最初のコーディネイター、ジョージ・グレン」
 ユーピテルツヴァイのパイロットは、人類最初のコーディネイターの演説を言った。
そして敵パイロットは、不敵に笑った。
「奴のもたらした混乱は、その後どこまでその闇を広げたと思う?
あれから人は、一体何を始めてしまったか知っているのかね?」
 今度の敵パイロットの声色は、怒りに満ちていた。

      ※

 かつてこのコロニーメンデルは、コーディネイター作成の最先端施設だった。
ジョージ・グレンの演説と遺伝子操作方法が送信された後ここには、子供をコーディネイターにしようとごった返すほどの両親が集まっていた。
「目は、ブルーがいいな。
髪は、ブロンドで」
「子供には、才能を受け継がせたいんだ」
「優れた能力は、子供への未来の贈り物ですよ」
「流産しただと?
何をやってたんだ。
せっかく高い金をかけて遺伝子操作したものを」
「妊娠中の栄養摂取は、特に気を付けて下さい。
日々の過ごし方もこの指示通りにしてください」
「完全な保証など出来ませんよ。
母胎は、生身なんですしそれは当然胎児の生育状況にも影響しますよ」
「目の色が違うわ」

      ※

「高い金を出して買った夢だ。
誰だって叶えたい。
誰だって壊したくは、なかろう」

      ※

 ヒビキ博士は、1人コーディネイターの完全な出生について結論が出ていた。
「最大の不確定要素は、妊娠中の母胎なんだ。
それさえ解消できれば」

      ※

「だから挑むのか。
それが夢と望まれて叶えるために」

      ※

 ヒビキ博士は、人工子宮で最高のコーディネイターを作ろうと奮戦していたがそれでもうまくいかなかった。
「3号機、エマージェンシーです」
 助手がヒビキ博士に報告した。
「濾過装置のパワーを上げろ」
 ヒビキ博士が助手に命じた。
「心拍数上昇、血圧200を超えます」
 助手が胎児の状況を報告した。
「もう止めて。
あれは、物ではない。
命なのよ」
 ヴィアは、夫であるヒビキ博士の狂気ともいえる研究を止めようとしていた。
「解っている。
だからこそ完成させねばならないんだ」