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綾瀬しずか
綾瀬しずか
novelistID. 52855
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あゆと当麻~命の光~おまけ

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「嫌ってなんかいない。別にキスが嫌なんじゃない。キスなんていくらだってしてあげるっ。泣いたのはちょっと感情が不安定だったからっ。いい? わかった? 私は当麻を嫌っていないっ!!」
ものすごい勢いで言う亜由美を当麻はあっけに取られて見つめる。
「返事はっ?」
言われて当麻はこくこくとうなずく。
「わかりましたって言うのっ」
再度言われて当麻はわかりました、と言葉を口にする。
亜由美はそれを聞いて当麻の胸に頭を預ける。
「抱き抱きして」
小さな声でねだる。
いつ、自分は彼に好きだと告げられるだろう?
亜由美の心は切なくなる。
愛している、と今すぐ告げたい。
だが、言ってはいけない言葉。
もし、告げられる日が来るとすればそれはきっと当麻との別れの日だろう。
その日はもうすぐやってくる。
迫ってくる別れの予感に亜由美の心は震えた。
「抱きしめてよ・・・」
今だ呆然としていた当麻に亜由美はねだる。
ふわりと抱きしめられる。
「もっと、強く抱きしめて」
いつもなら恥ずかしくて言えないような言葉を真剣な声で言う。
当麻の亜由美の背中に回した手にほんの少し力がこもる。
「もっと」
「お前、壊れるぞ」
「いいから。もっとぎゅーっって抱いて」
亜由美は自分の体を当麻に押し付ける。
当麻は言われたとおりにぎゅっと強く抱きしめる。
亜由美が当麻の背中に手を回す。
亜由美は自分の心に当麻のすべてを刻み込む。
いつ、別れてもいいように。
決して忘れることのない様に。
髪の感触、香り、顔の造作、声、優しいまなざし、抱きしめる腕。
当麻のあらゆる部分を自分の中に仕舞い込む。
強く抱きしめられながら亜由美は心の中でずっと呟いていた。
当麻、大好き、愛している。

いつかきっとさよならの代わりに言ってあげる。
大好きです、と。愛している、と。

苦しく切ない心で亜由美はそう当麻に語り掛けた。