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綾瀬しずか
綾瀬しずか
novelistID. 52855
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あゆと当麻~道しるべの星~

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ようやく見つけた本当の仲間。けれど、他の三人は夜の星となってしまった。
残る一人は違う鎧の持ち主。折角目覚めた意識ももう消えてしまう。
天青は亜由美の顔を上げさせる。
「私、は眠りにつくが、青龍としての任は当麻にまかせる。必要なときに記憶が一部戻るように細工を施しておこう。それで寂しくはないな?」
天青の言葉に驚きながら亜由美は頷く。
「それでは今度会うときは当麻の一部として青龍として会おうぞ」
天青は微笑んでまぶたを閉じた。
亜由美を支えていた天青の手がだらりとさがり、亜由美にもたれかかってくる。
亜由美はひざをつきながら必死に天青の体を支える。
征士達が慌てて近寄ってくる。
ふいに天青がまぶたを開けたかと思うと亜由美に抱き着いてきた。
「あゆぅー」
声はまぎれもなく当麻のものだった。
「ちょっ、ちょっとぉっ、当麻っ」
焦りながら亜由美は当麻の名を呼ぶ。
「あゆぅ。愛してるよーん」
当麻が言って亜由美を抱きしめてくる。
抱きしめたまま当麻は亜由美にのしかかってくる。
「ちょっ・・・。当麻っ。こんなところで襲わないでって」
焦って亜由美はじたばたするが当麻は一向に離さない。
「すけべっ。変態っ。痴漢っ。馬鹿っ。あほっ」
亜由美は次々に悪態をつくが当麻は一向に聞きていない。
いっそう体重を預けられて亜由美は当麻に押し倒される状態になる。
が、その当麻は亜由美の肩に頭を預けたまま動かない。
「当麻?」
不思議に思って当麻の名を呼ぶ。
当麻の閉じられたまぶたを見て亜由美は脱力した。
当麻は眠っていた。すやすやと寝息を立てている。
亜由美はなんだか情けない気持になる。
この男を愛する自分は果たして正しいのだろうか、と。
「当麻っ。重たいっ。どいてよぉーっ」
言っても当麻は目を覚まさない。
そんな亜由美を面白そうに征士、伸が覗きこんでいた。
「相変わらず、いやらしい奴だな。さっきの天青の方がよほど出来た人間だと思うが」
面白そうに征士が言う。
「征士っ。伸っ。当麻をどけてっ。押しつぶされちゃうっ」
「折角のお楽しみのところを邪魔するのもねー」
伸が意地悪げに答える。
「お楽しみじゃないっ。爆睡してるのっ。お願いだからこの重苦しい物体をどけてっ」
情けない声で亜由美は懇願する。
わかったよ、と伸が面白そうに言って当麻を引き剥がしにかかる。
「あゆぅ」
とむにゃむにゃと当麻は言って亜由美を離さない。
「このどすけべっ。場所を考えなさい、場所をっ」
叫んで亜由美は当麻の思いっきり頬をひっぱたく。
「いてー」
流石に頬をさすって当麻が目を開ける。
自分の体の下に亜由美がいることに気付いた当麻はぎょっとして慌てて飛び退る。
亜由美はやっとのことで体を起こしながら当麻を睨みつける。
「ふ、不可抗力だっ。寝ぼけている俺に理性を求めないでくれっ。無罪だっ」
亜由美は当麻の弁解を聞き流すとふん、とそっぽを向く。
「あ、あゆー」
当麻が情けない声で名を呼ぶ。
亜由美はふん、とそっぽを向いたまま答えない。
「あゆっ。悪かったっ。今後一切押し倒さないから許してくれっ」
当麻が必死に頭を下げる。
それじゃ、と亜由美は口を開いた。
「しばらく一メートル圏内に近づかないでよね。それからしばらく当麻とは話さないから」
下された罰に当麻が愕然とした後、がっくりとうなだれる。
「自業自得だ。あきらめるのだな」
征士ががっくりとうなだれる当麻の肩に手を置く。
「婚約破棄されないだけましなんじゃない?」
意地悪げに伸が後追いをかける。
「お前らっ。見ていたなら止めろよっ。寝ぼけた俺が手におえないのは知ってるだろうがっ」
当麻が二人に怒鳴る。
「八つ当りはよくありませんわよ。素直に非を改めるべきですわ。しょっちゅう姉様に抱きついているのですから、たまに離れていても問題はありませんでしょう?」
「あるっ。明らかに問題があるんだっ。あゆなしでは俺は生きてないんだっ」
亜由美は立ちあがると叫んでいる当麻をちろんと一瞥する。
「私はサプリメントじゃないっての。馬鹿当麻は放っておいて帰るよ。かゆ、道を開いて」
亜由美が言って迦遊羅が頷く。
迦遊羅が錫杖を手にして道を開く。
亜由美はさっさと歩き出す。その後ろを当麻がこけつまろびつ追いかけていく。
近づくときっと亜由美に睨まれてすごすごと後退する。
当麻は一メートルぎりぎりのところで亜由美の背後にへばりつく。
その後ろを笑いながら征士達は歩いていく。