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綾瀬しずか
綾瀬しずか
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あゆと当麻~道しるべの星おまけ~

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<章=いっしょにおねむ 道しるべの星2>

ふいにナスティの家の庭に空間が開いた。
そこから亜由美がすたすたと歩いてくる。
その後ろを情けなそうな顔をして当麻がついてくる。
その後ろから征士、伸、迦遊羅が歩いてくる。
最後に出てきた迦遊羅が空間を閉じる。
それを見届けた亜由美は不機嫌疎な顔をしたまま庭から家の中にはいる。
「ただいま」
慌てて向かいに出たナスティに帰還のあいさつをするとすたすたと部屋に向かう。
あゆ、とナスティに名を呼ばれて亜由美は振り向いた。
「流石に疲れたから少し眠るね。ご飯はあとで食べるから」
ナスティに微笑みかけて亜由美は言うとまたくるりをきびすを返して自分の部屋に戻る。
その後ろに当麻が鴨の子のようにくっついて歩く。
が、自分の部屋のドアを開けると後ろに着いてきた当麻を睨みつけてバタン、と派手な音を立てて閉める。
がっくりと当麻が肩を落とす。
そしてすごすごとまた階下に戻ってナスティ達の元に戻る。
あまりにもうちひしがれた様子にナスティは唖然とする。
「一体どうしたというの? あゆと喧嘩でもしたの?」
問いかけるナスティに当麻はくらーい表情で見て小さく笑う。
「自業自得だと」
言ってまたくらーい世界に浸る。
つまりね、と伸が解説をする。
「当麻があゆを押し倒してあゆが怒り狂ったわけ」
寝ぼけていたんだ、寝ぼけて・・・、と伸の解説に当麻がぶつぶつ付け加える。
それを聞いてナスティの眉が上がる。
「女の子になんてことをするの? 怒られて当然よ。少し反省するのね」
ナスティにも叱られて当麻の心は一層深く沈む。
「どうせ、俺なんか・・・」
いじいじといじける。
「いじけるのは自分の部屋でしてくれ。暗くて適わない」
征士が冷たい事を言って当麻はぎっと睨みつけた。
「お前に言われなくても部屋に戻るっ」
言ってすたすたと歩いて部屋に戻る。
なんなんだ、と征士は当麻の出ていった後を見つめる。
「最近、やけに私への当りが強い気がするのだが、気のせいだろうか?」
そうなの?、とナスティが首をかしげる。
迦遊羅も伸も顔を見合わせて考え込む。
原因は・・・、と伸が呟いて征士を除く三人が顔を見合す。
「当麻の機嫌が悪くなる原因はあゆしかいないよね?」
「そうね」
「ですわね」
伸が言ってナスティも迦遊羅も頷く。
「私はあゆに何もしていないが?」
言われた征士もきょとんとする。
まぁ、と伸が言う。
「当分、いちゃつくカップルがひとつ消えるわけで僕としてはうれしい限りだよ」
「伸、それは私達に対するあてつけですか?」
迦遊羅が苦笑いして言う。
「どう言う風にとるかは皆次第だよ。ま、他人の不幸は蜜の味ってね」
「伸。お前、結構、性格悪いのだな」
知らなかったの、と伸が答えて征士は苦笑いするしかなかった。

亜由美達が帰ってきたのはもうずいぶん日が昇ってからだった。
それから亜由美は眠り続けた。
部屋に戻った当麻がお腹をすかせて階下に降りてきたときも亜由美は姿をあらわさなかった。
呼びに行こうかとしたが迦遊羅にはばまれてできなかった。
しばらくして降りてきた迦遊羅はただ眠っているとだけ伝えた。
不機嫌そうな亜由美の顔に疲労困憊した表情が浮かんでいたことを当麻は見逃していなかった。
だがら、心配なのに亜由美に近づくことを皆がよってたかって許さない。
いらいらと当麻は亜由美が起きるまでをすごすこととなった。
一晩、迦遊羅と亜由美の部屋のドアの外で当麻は過ごした。
迦遊羅がドアを開けてあっけにとられた。
廊下の壁に身を預けながら当麻が眠っていた。
迦遊羅が困った様に一緒に起きた亜由美を見る。
亜由美は肩をすくめて自分のベッドに戻ると上掛をはいで当麻の体にそっとかけてやる。
ふっと当麻が目を覚ます。目の前に亜由美の姿を認めて当麻がじっと凝視する。
亜由美はあっかんべーと舌を出してすたすたと廊下を歩き出した。
その後姿に当麻は苦笑いするしかなかった。
少なくとも疲労はましになったようでほっと胸をなでおろした。
体にかけてあるベッドの上掛から亜由美の香りがただよっている気がして当麻はしばしその上掛につつ
まれて我慢した。
うとうとしかけてはっと目を覚ます。
慌ててベッドの上掛をとって立ちあがる。
返そうにも部屋に入ってはまた逆鱗に触れるかもしれない。
当麻は丁寧に折りたたむと部屋の前に置いた。
それから亜由美がいるはずのダイニングルームへ向かう。
亜由美は楽しそうに話しながらトーストにかじりついていた。
当麻の姿を認めるとふん、とそっぽを向く。
当麻はただ苦笑いをして席について食事をはじめる。
いつもの様に朝が始まる。
が、ろくに眠っていない当麻はまたここでもうとうととしてしまう。
はっと我に返ると皆の視線が集まる。
亜由美の気遣わしげな視線を感じて当麻は明るい声を出した。
「悪い。今日、学校休むわ。どうも寝たりんようでな。心配しなくてもいい。心配するならあいつの方を
見てやってくれ。
いつまたぶっ倒れるか分からんからな」
当麻は言って急いで食事を済ませるとそそくさと部屋に舞い戻った。
ベッドに倒れこむ。
ふいに、わき腹に手をやる。
刺されたというのに自分はぴんぴんしている。
あまりあの時の事は覚えていないが亜由美が沙羅耶に手を貸して欲しいと頼んでいたのは覚えている。
あの時、亜由美が何かを自分に施したのは明らかだ。
敵に力を奪われて大変な体で何かをしたのだ。
何もないわけがない。
考えると当麻はがばりと起きあがった。
猛ダッシュでまたダイニングルームへ戻る。
まだそこには征士達がいる。
当麻は迦遊羅の腕を掴むと廊下に引っ張り出す。
「あいつを休ませてくれ。別に俺がいたいわけじゃない。あいつの体を休めてやらないとまた倒れる。
刺された俺にあいつが何を施したかかゆはわかっているのだろう? それがどれほど大変なことかもお
前なら絶対にわかっているはずだ。
俺なら部屋から一歩も出ないから。あいつに近づかないから、なんとかしてやってくれ」
必死に頼み込む当麻にはじめは疑心暗鬼の目を向けていた迦遊羅も真剣な顔で頷く。
それを見て当麻はよかった、とため息をこぼすと迦遊羅の腕を離して部屋に戻る。
その途中で亜由美のものすごい視線にぶつかってしまった。
なんともいえない顔で当麻は横を通りすぎる。
たぶん、誤解されたと当麻は思った。
人に聞かれない様にやや迦遊羅に近づいていたから。
いつもなら自分がなんとかしてやるのだが、今の状態では火に油を注ぐようなものだ。
回りの人間が気を使ってくれなくては安心して眠るところではない。
だが、自分が体を壊せば亜由美の心に負担をかけるばかりでもある。
自分がしっかりとしていればこうもならないものを。
上手く立ちまわれない自分がひどく腹立たしい。
ともかくは自分も体を休めて亜由美を安心させることだ。
出来ることからはじめる。それしかないのだ。
当麻は自分に言い聞かせて無理やり眠りに引きこんだ。
いくらか眠ってふいに当麻は目を覚ました。
夢の中では亜由美のオンパレードだった。
普段ならまだしも今の自分には精神的によくない。
当麻は深いため息をつく。
時計を見て考える。
今はちょうど真昼。