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十三番隊副隊長・朽木ルキアの休日

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尸魂界、十三番隊隊舎 隊首室―
十三番隊隊長・浮竹十四郎は悩んでいた。
「うーむ…」
そこへ副隊長の朽木ルキアがやってきた。
「おはようございます、浮竹隊長。何かお困りごとでしょうか?」
「いや、特には…」
「…左様、ですか…。隊長、今期の決算報告書と流魂街調査書です。こちらへ置いておきます。」
「あ、ああ…ありがとう。」
「では、失礼いたします。」
ルキアは仕事をひとつ終えると、すぐに次の仕
事に取りかかるべく、部屋をあとにした。
「…うーむ…」
浮竹は再び悩み始めた。
浮竹の悩みの原因は、ルキアのことだった。
(うちの隊はしばらく副隊長を置いていなかったからな…仕事の量は些か多い。だがしかし…)
「働きすぎ、だよな…」
ルキアは副隊長に就任してから一度も休暇をとっていない。浮竹の言う通り、『働きすぎ』であった。
(どうにか彼女を休ませられないものか…無理に休ませる、というのもなあ…)

浮竹は、ついに閃いた。

(そうだ!これなら…)
浮竹はすぐに筆をとり、手紙を書きはじめた。


二日後
ルキアは現世、空座町にいた。
浮竹より指令のあった『お騒がせ魂魄の魂葬』のため、派遣されているのであった。本来、こういった仕事は担当地区の死神が行うものなのだが、問題の魂魄が町中を逃げ回ってしまい、収集がつかなくなったため、空座町の地理に明るいルキアに回ってきたのであった。
「まったく、これしきのことで不甲斐ない…」
ルキアは、例の魂魄を魂葬しながら呟いた。
「担当の者は一体何をしておったのだ。まったく、弛んでおる。今度隊長に進言して配置換えをしていただこうか…」
ルキアはあれこれ思案しながら、尸魂界に帰還すべく『袖白雪』を抜いた。

だが、ここで異変に気づいた。
(なぜ、穿界門が開かぬ?)
異変はそれだけではなかった。穿界門に加え、地獄蝶も出現しない。
ルキアは、経験のないこの事態に焦りを感じた。
(とにかく、隊長に報告を…!)
ルキアは伝令神機を取り出した。
「浮竹隊長!」
『ああ、朽木。どうかしたか?』
「隊長、穿界門が…」
『ああっ!しまった!!』
「!?」
浮竹の申し訳なさそうな声が聞こえてくる。
『すまない、朽木…。お前が現世に到着した頃、断界を監視している技術開発局から連絡があったんだ。伝え損なってしまった…』
「はあ…あの…」
『実は現在、断界内で死神が次々と昏倒するという事態が発生しているようなんだ。今十番隊が調査をしている。その関係で断界は今日一杯通行できなくなっているんだ。』
「そんなことが…」
ルキアは納得した。そういうことであれば仕方ない。
『現世との時間軸の関係上、帰還は明日の正午以降になる。それまで悪いが、現世に残っていてくれ。』
「はい。承知しました。」
ルキアは伝令神機をしまった。
「さて」
十番隊が調査をしているならば、自分が協力する必要もないだろう。
これからどうするか…?
浮竹の手前ああ言ったものの、実際ルキアは途方に暮れていた。
(明日までどこで過ごせば…)
考えても答えは出ない。
(仕方あるまい。とりあえず、あそこへ向かうか…)
ルキアは歩きだした。



「おや、珍しいッスね。朽木サン」
「うむ…実はだな…」
結局、ルキアは浦原商店へと向かった。他に行くあてもないので仕方なかった。
「断界の件でこちらへ残られたんスね…まあとりあえず、上がってくだサイ」
店主・浦原喜助はルキアを応接間へと通した。
「それにしても、今日は賑やかッスね~」
「?」
首をかしげるルキア。
しかし、その理由はすぐにわかった。
応接間には先客がいたのだ。

「一護!?」
「うおっ!?ルキア!」
死神代行・黒崎一護は応接間で茶を飲んでいた。
ルキアは尋ねた。
「なぜ貴様がここに…?」
「お前こそどうして…」
ルキアは事情を説明した。
一護も話し出した。
「いや、朝起きたら遊子と夏梨が掃除しててよ。どうもテレビでやってた掃除方法を実践してみたくなったみたいだったんだ。ウチは一度やるって決めたらヒトの言うことなんか聞きゃしねえし…」
「…」
ルキアは想像した。エプロンに三角巾をした妹たちが目に浮かぶ。
「で、家を出たんだが、チャドや井上はバイトだし、石田も生徒会が忙しいみてえだったんで、ここに来たんだ」
「…そうか。」
そこへ浦原が茶を持ってきた。
「独自ルートで手に入れた茶葉から作りました。よければどうぞ。」
「ああ、すまんな」
「おう、どーも」
二人は茶を啜った。
しばらく沈黙が流れた。
「…あのう…」
浦原が申し訳なさそうに言葉を発した。
「今日、商品の買い出しに行かないといけないんで、店閉めるんスけど…義骸はお貸ししますんで…」
二人の動きが止まった。


浦原によって店から閉め出されてしまったルキアは、一護と共に再び途方に暮れた。
ルキアは恐る恐る尋ねた。
「一護、これからどうする…?」
「…」
一護は答えず、無言のまま立っていた。
その時、ルキアの腹が大きな音を立てて鳴った。
「!?」
ルキアは慌ててお腹を押さえた。
「…」
「…なあ」
沈黙をやぶったのは一護だった。
「時間も時間だし、昼メシでも食いに行くか?」
普段であれば反抗するルキアも、今日ばかりはこう言うしかなかった。
「すまぬ…」


「いらっしゃいませ。お二人様でよろしいですか?」
「はい」
「こちらのお席へどうぞ」
一護とルキアは腹ごしらえのため、ファミレス店に来ていた。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
一護は慣れた様子で注文する。
「ルキア、お前は?」
「あ、いや…」
ルキアは軽くパニックになっていた。
(ここは食事処のはずだが、なぜ品書きが置かれていないのだ?そしてこの紙…何やら鮮やかな絵が描かれておるが、これは一体?)
すると一護が身を乗り出してきた。
「このメニューから好きなの選べ。この通りのもんが出てくっから」
「あ、ああ…ならば、私はこれを…」
ルキアはしどろもどろではあったが、なんとか注文を済ませた。

しばらくして注文の品が来た。
「おお…!!」
ルキアは思わず感嘆の声をもらした。
(なんと…あの紙に描かれたものに瓜二つではないか!成程、あの紙、『めにゅう』とやらが現世での品書きなのだな。やはり現世は興味深い…)
輝いた目で食品を眺め続けるルキアを、一護は不思議に思った。
「こういうトコに来たのは初めてか?」
「ああ。食糧は大抵尸魂界から支給されるので、調達の必要がないのだ。」
「へえ…」
「しかし、現世の食事は色彩豊かで美味だ。こんな食事を日々口に出来るなど、うらやましいぞ、一護!」
一護は、そんなことはない、と言おうとしたが、ルキアが嬉々として食事をしている姿を見て黙っていることにした。


「すまぬ、一護。世話になった」
支払いを済ませ、店を出た一護にルキアは言った。