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アズラエル大統領は、月に上がった州知事と共に今後について協議していた。
「Nジャマー・キャンセラーを使うことに関しては我々も大いに賛成です、大統領。
しかし」
　州知事の1人がNジャマー・キャンセラーの使用に関して賛成したが何か言いたげだった。
アズラエル大統領は、どういうことか発言を促した。
「核で総攻撃というのは、どうかと思います」
　別の州知事が核攻撃には、反対すると表明した。
「それよりも深刻となっている地上のエネルギー問題の解決を優勢させた方が良いのではないでしょうか？」
　別の州知事が地上のエネルギー不足を解決することを優先させるべきであると具申したがアズラエル大統領は、机をたたいて黙らせた。
「この期に及んで何を仰ってるんですか、皆さん？
撃たなければ勝てないでしょうが、この戦争。
敵は、旧人類なんですよ？
コーディネイター繁栄のためにも徹底的に駆逐しなければならないでしょう。
大体核なんてもう前にも撃ったんだ。
それを何で今更躊躇うんです？」
　アズラエル大統領は、この戦争に勝たなければコーディネイターの輝かしき未来はないこととスウィート・ウォーターへの核攻撃を例に出した。
「あれは、大統領たちが勝手に撃ったことではないですか？」
　州知事の1人が思わずアズラエル大統領に反論した。
それを言った州知事にアズラエル大統領は、睨んで黙らせた。
「核は、持っていれば嬉しいただのコレクションじゃない。
強力な兵器なんですよ？
兵器は使わなければ。
高い金をかけて作ったのは、使うためでしょ？
さあさっさと撃ってさっさと終わらせましょう。
こんな戦争は」
　アズラエル大統領は、これで地球軍の勝利で戦争が終わると思っていた。

　　　　　※

「明一二００を期してη艦隊ならびにδ艦隊は、ルナツー周回軌道を離脱。
地球軍防衛要塞ボアズ及び最終防衛要塞ヤキン・ドゥーエへの直接攻撃を開始する」
　ルナツーでは、ルナツー司令官が次の攻撃目標をブライアン艦長とイームズ艦長に命令していた。

　　　　　※

　η艦隊は、陽動艦隊として1個艦隊でボアズ正面にいた。
「戦法は、正攻法である。
ビーム攪乱幕を張る。
全艦、正面より侵攻する」
　ブライアン艦長が各員に通達した。
それは、マン・マシーンパイロットにも伝わった。
「じょ、冗談じゃないよ。
たったこれだけでは、死にに行くようなものじゃないか」
　さすがに百戦錬磨のアイゼッター少尉もさすがに文句を言った。
「大丈夫ですよ、アイゼッター少尉。
コロニー軍だって考えてますよ」
　そこにジャック少尉の愚痴を聞いたニール少尉が通信を開いてなだめた。
「そんなこと言ったって死ににいくような作戦に変わりは、ないだろ」
　ジャック少尉の不満は、収まるところを知らない。
「無駄口がすぎるわよ、アイゼッター少尉。
主力のδ艦隊を信頼するのよ」
　今度は、ミサキ中尉がジャック少尉をなだめた。
「諸君達は、15分だけ持ちこたえればいいんだ。
その間に本隊が対要塞兵器を使用する」
　ブライアン艦長は、そんなパイロットたちの不満を察したのかなだめるように作戦内容を話した。
「対要塞兵器？
なんだろう？」
　サオトメは、新兵器がなんなのか気になっていた。
「攻撃開始。
マイナス8。
マン・マシーン各機、3、2、1、0、発進」
　モニター上部にある電光掲示板が0を示すと各艦からマン・マシーンが発進した。
その後方から艦隊が続いた。

　　　　　　※

　それは、ボアズでも確認できた。
「それでどうなのだ、敵の侵出の状態は？」
　司令官がオペレーターに質問した。
「残骸にまぎれて接近中であります。
迎撃のモビルスーツを出撃させましたが数が数なのでゲイツ隊の多くは、温存させております」
　オペレーターが対応を報告した。
「よし、仕留めて本隊をおびき寄せろ」
　司令官もこの艦隊が陽動艦隊であることは、やすやすと見抜いていた。
「作戦コード、ヘッジホッグワン。
展開フォーメーションは、シシリアン3。
以後指示は、ゴーメンガスト暗号によって伝達される。
全機、ナチュラル共の細胞を真空にぶちまけてやれ」
　オペレーターがモビルスーツパイロットを激励した。
1機のゲイツがユーピテルツヴァイのビームライフルで撃墜された。
1機の40mmバルカン砲で攻撃しているメビウスは、ユーピテルのバズーカで撃墜された。
1機のユーピテルは、2機のメビウスから40mmバルカン砲で攻撃されたが反撃され1機のメビウスがバズーカで撃墜された。

　　　　　　※

「ボアズへの侵攻が始まったですって？」
　あまりのことでいつも冷静でいるシホ少尉も作戦会議室で取り乱していた。
他の部下たちも同じだった。
そこにイザーク大尉が入室した。
「ジュール隊長」
「ナチュラル共め」
「状況は？
敵の規模はどれくらいなんです？」
「我々への出撃命令は？」
　部下たちが口々にイザーク大尉に問い詰めたがイザーク大尉もそれほど多くの情報を持っているわけでは、なかったため何も言えなかった。

　　　　　　※

　ホワイトハウスの作戦指令室にはエザリア・ジュールとエリザの女性秘書、3人の側近議員とクルーゼ少将がいた。
そこにザラ大統領が秘書2人と共に入室した。
「ザラ大統領」
　エザリアがザラ大統領の入室に気付いた。
その声色から完全にうろたえていた。
「うろたえるな。
ルナツー艦隊のボアズ侵攻など想定外のことでは、なかろう。
全軍への招集は？」
　ザラ大統領は、エザリアを落ち着かせると迎撃体制を質問した。
「完了しております」
　女性秘書の1人が答えた。
「報道管制」
　ザラ大統領は、報道状況について質問した。
「既に」
　別の女性秘書が答えた。
「詳細を報告しろ」
　ザラ大統領がそういうと壁が開きボアズ宙域地図を映すモニターが現れた。

　　　　　　※

　ケイト准尉は、1機のガンダム量産機をビームライフルで撃墜した。
「こんなちゃちなおもちゃで挑めっていうのもかわいそうね」
　ケイト准尉は、モビルスーツでマン・マシーンに挑まねばならない敵パイロットを哀れんだ。
ウォーレン中尉は、ビームサーベルを持たせると1機のガンダム量産機に接近し右腕をビームサーベルで切るとシールドでコックピットをつぶし撃墜した。
「俺たちの力をなめるな」
　サオトメ隊の士気は、高かった。
ユーピテル隊の攻撃で1隻のネルソン級が撃沈した。

　　　　　　※

「回避。
面舵」
　1隻のネルソン級の艦長がミサイル攻撃を回避するように命令したがミサイルは、イーゲルシュテルンで迎撃された。
3隻のメビウスが立て続けにユーピテルツヴァイに撃墜された。
2機のデュエルダガーがドゴス・ギア級の猛烈な対空機銃を避けながらビームライフルを撃ち取りつこうと試みていた。
しかし連装副砲の命中で敢え無く撃墜された。
　ナスカ級とローラシア級からなる艦隊がη艦隊を撃滅しようと接近していた。

　　　　　　※

　ボアズでは、戦況が報告されていた。
「敵艦隊は、中央に展開」
　オペレーターが司令官に戦況を報告した。
「ムーア隊がチェリーニ隊より支援要請」