機動戦士ガンダムRS 第45話 悪夢は再び
別のオペレーターが部隊の戦力具合を報告した。
「砲火を中央に展開させい。
支援には、ネール隊を回せ。
中央は、どうなっているか?」
司令官は、命令を出すと敵の攻撃が集中している中央の戦況を質問した。
「アイザー隊が防衛しております」
オペレ―ター左翼のが戦況を報告した。
「ネール隊、発進は5番ゲート」
別のオペレーターは、モビルスーツ隊の出撃誘導を行った。
「このボアズを落とせるものなら落としてみろ。
思い上がったナチュラル共め」
司令官は、この程度の戦力でボアズが陥落するとは思っていなかった。
※
ボアズ正面から見て右斜め上に向かって距離2500の位置ではδ艦隊が哨戒する中、対宇宙要塞戦支援兵器であるソーラ・システムの準備が行われていた。
これは、多数の小型ミラーパネルをもって巨大な凹面鏡を作り太陽光エネルギーを集中して目標へ照射するというもので原理は原始的な太陽炉を大型化したようなものだがミラーパネルの枚数を増やすだけで容易に出力の増大を図ることが可能なコロニー軍の対宇宙要塞戦における切り札として運用された。
このミラーを今作業用モビルがせっせと配置していた。
「ミラーの準備は、あとどのくらいで終わる?」
イームズ艦長が部下に質問した。
「あと4分ほどです」
部下が作業終了時間を答えた。
「ボアズもそろそろこっちに気付くぞ」
イームズ艦長は、ボアズもこちらの動きに気付いてくる時間だと考えていた。
※
その予想は、的中した。
「なに?
デブリの残骸に隠れていたのか?」
突如オペレーターが驚愕した声で叫んだ。
「何事か?」
司令官が落ち着かせるように質問した。
「コロニー軍の主力艦隊です」
オペレーターが驚愕した理由を報告した。
「アサクラ艦隊が待機しているはずだ。
すぐに発進させろ」
司令官の想定内という感じで落ち着いて命令を出した。
ボアズからネルソン級1隻とドレイク級2隻の艦隊が新手艦隊に向け発進した。
※
ジンのパイロットは、ガンダムサイガーに気付いた。
「死神だ」
モビルスーツパイロットたちに戦慄が走った。
※
サオトメは、最初の獲物を定めた。
「さすが防衛要塞の1つだ。
戦力も多い」
そういうと1機ののシグーに接近するとコックピット部分をマニピュレーターで貫いて撃墜した。
さらに大型V.M.B.Rを撃ち2機のジンを同時に撃墜した。
1機の新型モノアイ機がビームライフルを撃ってきた。
サオトメは、それをメガビームシールドで防いだ。
さらに3発のビームライフルを防ぐと右手にカスタム・ビームザンバーを持たせて接近すると新型モノアイ機を撃墜した。
※
その頃コロニー軍の主力艦隊では、ミラー配置が終了していた。
「ミラー配置完了」
オペレーターがソーラ・システムのミラー配置が終了したと報告した。
「姿勢制御バーニア、連動システムOK」
このソーラ・システムは、制御のためコロンブス級補給艦をコントロール艦として専用改装したものを使用しなければ使用不可能な兵器だった。
そのため艦からコントロールが反映されるかは、作戦の成功を左右する重要なチェックだった。
「ソーラ・システム。
目標、ボアズ右翼スペースゲート」
イームズ艦長がボアズのどの部分を目標にするかを指示した。
それに合わせてミラーが目標に向けて方向を変えた。
「軸合わせ15秒前」
オペレーターがカウントダウンを始めた。
「迎撃艦隊接近。
各艦注意」
オペレーターが艦隊に注意を促した。
「衛星ミサイルを撃て」
この兵器の原理は、極めてシンプルなもので宇宙空間をただよう直径30mほどの岩塊にロケットブースター数基と誘導装置を装着させ目標に直撃させその質量と運動エネルギーをもって破壊するというものである。
コロニー軍は、この兵器を最大限活用できるように改良してある。
これがこちらに向かっている地球軍艦隊に向かって2基向かった。
ちなみに前のが小さく後ろの方が大きい。
※
地球軍艦隊も衛星ミサイルの存在に気付いた。
「迎撃」
艦隊は、主砲で衛星ミサイルを破壊しようとした。
しかし衛星ミサイルにくくりつけられているミサイル発射管からミサイルが発射された。
無論そのミサイルは、主砲で迎撃され艦隊は衛星ミサイルの迎撃を再開しようとした。
しかしそのミサイルの正体は、アンチビーム爆雷で主砲のビームは途中で分散してしまった。
「ミサイル攻撃に切り替えろ。
同時に回避」
艦長は、そう命令して艦隊は回避行動に移った。
直後そのデブリは、爆散し周囲に大小のデブリを生じさせた。
しかもその後方の大きいデブリも爆散し周囲に大小のデブリを生じさせた。
艦隊は、ミサイル攻撃で迎撃しようとしたが間に合わずデブリと衝突して次々に沈み全滅した。
※
η艦隊によるボアズ侵攻は、ヤキン・ドゥーエで補給と修理を受けているアークエンジェル、ドミニオン、エターナルとクサナギにも伝わった。
「月艦隊がボアズに侵攻?」
アスラン中佐とキラ大尉は、通信でカガリからそのことを知った。
「そうだ。
彼らの話だとそろそろかもしかしたら既にってことだ」
カガリの言葉にアスラン中佐とキラ大尉は、顔を見合わせた。
「ラクスは?」
キラ大尉は、ラクスならもっと詳しい情報を持っているのではと考えた。
「今ラミアス艦長と話してる」
カガリは、ラクスが今していることを教えた。
※
邪魔者は、いなくなりソーラ・システムは、ボアズに攻撃をしようとしていた。
「3、2、照準入ります」
瞬間想像を絶するほどの強力な太陽光エネルギーがボアズに降り注いだ。
第6ゲートで待機していた艦隊は、消滅し近くにいたモビルスーツも爆発した。
※
その光景は、サオトメたちにも強烈に映った。
「ボアズが焼かれている。
あれがコロニー軍の新兵器の威力なのか」
サオトメは、対要塞用兵器のすごさに感嘆していた。
しかしソーラ・システムに感嘆したものがいればあるものは、その兵器のすさまじさに戦慄を感じていた。
※
その振動は、ボアズ全体を襲った。
ボアズの司令室では、何が起きているか全く状況がつかめなかった。
「何事だ?」
冷静沈着な司令官がこの時ばかりは、声を張り上げて質問した。
「第6ゲート消えました。
敵の新兵器です」
オペレーターが戦慄しながら被害状況と何によるものか報告した。
「なんだ?」
司令官も「新兵器」という言葉に戦慄しながら詳細を質問した。
「レーダー反応なし、エネルギー粒子反応なし」
オペレーターが「新兵器」に関する断片的な情報を報告した。
「レーザーとでもいうのか?
方位は?」
司令官は、「新兵器」がどういうものか予想しその絶対方角を質問した。
「敵主力艦隊です」
オペレーターが答えた。
「アサクラ艦隊が向かっているはずだ。
どうなっている?」
司令官は、敵主力艦隊に向かわせたアサクラ艦隊の動向を質問した。
「反応なし。
全滅したもようです」
作品名:機動戦士ガンダムRS 第45話 悪夢は再び 作家名:久世秀一