二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
エルオブノス
エルオブノス
novelistID. 54547
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

艦これ知らない人がwikiの情報だけで金剛書くと:改二

INDEX|4ページ/4ページ|

前のページ
 


 金剛の悩みとは、こうだった。


「金剛は、いつも明るく過ごしてるヨ。それで皆明るくなったらいいと思ってるからネ。…でも、それが迷惑になる事、あるデショ?真面目な時、私をうるさいと思う事…提督も、あるはずネ?」

 ギクリと身体が強張る。
 戦いの日々の中、金剛の明るさは貴重だ。特に僕のように暗くなりがちな提督のいる鎮守府では、その明るさに救われる事が本当に多い。
 確かに、金剛の空気の読めない明るさに閉口する事はある。それも事実だ。しかしそれを差し引いても、彼女の救いは大きくて…。

 金剛の真っ直ぐな目を見つめ返して、僕は真摯に答える。

「君はそれでいいんだよ。皆、明るい金剛が好きなんだ。真剣な場で真剣に考えるのは、僕の役割だから…うるさくたって、金剛はそうじゃないと。」

「…ホントですカー?」

「本当さ。鎮守府の誰に聞いたって、同じ風に思ってる。」

 自信を持って答えた。
 金剛が嫌いな子なんていない。僕だって金剛が好きだ。時に度を超してうるさくても、それは金剛だから皆「仕方ないな」と笑うのだ。

 すると、金剛の顔にいつもの笑顔が戻った。子供のように無邪気な、つられてしまうような笑顔。
 安心してくれたのかな。…そう思った時、金剛が勝ち誇るように胸を張った。

「じゃあ提督だって同じネー!優しくて考えすぎてすぐ落ち込む軟弱な提督が、皆好きデース!」

「え…あれ、悪口?」

「悪口じゃないヨ!明るいけどうるさいのが金剛なら、優しいけどすぐ落ち込むのが提督デショ!悪いところがあったって変える必要ないネ!」

「…そう、かな?」

 そう言われてみると、自分の事を棚に上げていたような気もする。金剛には「そのままでいい」なんて言いながら、自分は「直さなきゃ」と躍起になるというのは、不公平といえば不公平だ。
 自然体でいいのか。金剛がそうしているように、僕も僕のままで。

「…でも、男らしくしろって金剛は言ったけど?」

「それはそれネ。金剛は提督なら何でも好きヨー?男らしくても素敵だし、すぐ落ち込むのもかわいいデース。」

「かわいいって…。」

 どうも基本的には馬鹿にされている気がする。僕の不甲斐なさが原因とはいえ、だ。
 否定したければ、男らしくなれ。金剛にそんな意図があるかどうかは別にして、僕はそういう挑戦的な発言だと勝手に受け取った。
 ここで男らしさを見せられなければ僕の負けだ。どうするか。

 …自然体でいい。思ったようにすればいい。その考え方が頭に浮かんで、僕は自分の本当の悩みを思い出した。

 僕は金剛が好きだ。だけど、提督として彼女だけを恋人のように愛するわけにはいかない…。

 金剛なら、そんな風には考えないだろう。
 好きだから好き。それでいい。金剛なら、そう考えるだろう。

 すると僕には欲が生まれる。金剛のように、自由に、思ったままを伝えたい。出来れば、男らしく!

「提督、どうしましたカー?また何か考えすぎてますネー?」

 紅茶を飲みながら困ったように笑う金剛を見て、僕は自分の想いを認める。

 彼女が好きだ。
 いつだって笑っていて、その笑顔だけで僕は慰められる。彼女の笑顔は全てを持っている。母のような優しさを、娘のような愛らしさを、姉のような頼もしさを、妹のような明るさを。その笑顔が、僕はどうしようもなく好きなのだ。


 彼女の方に少し身を乗り出して、彼女の頬に口づけた。
 親愛を感じてほしい。僕は君が好きなのだと知ってほしい。それを言葉よりも行動で示す事が、男らしさだと僕は思ったのだ。

「…提督…。」

 突然の事に金剛は驚いたようだった。少し頬を赤らめているのが嬉しい…が、僕はそれ以上に赤くなっているに違いない。男らしさなんて僕には無縁と思い知った。

 照れくささから顔をどこか遠くへ向ける。秋の空に映えるうろこ雲を、見るともなく眺めた。空が青いなあ。


 クスクスと笑い声が聞こえてきた。

「提督…やっぱりかわいいネー。」

 ひどい。僕はこれでも勇気を振り絞って、男らしくやったつもりなのだ。そこのところは金剛には伝わらなかったらしい。

 僕の頬に金剛の手が添えられ、顔を自分の方に向けさせようとするのを感じた。抵抗できない。されるがまま、「こうやるんだ」と言わんばかりに唇を奪われる。…金剛は、本当に米国生まれじゃないんだろうか。

 唇を重ねている間、身じろぎひとつできなかった。起こっている事を、ただただ受動的に感じ取るばかり。
 例えば、金剛の唇の湿り…紅茶で潤っているのが分かる。なんてどうでもいい事を感じ取っているんだろうか。金剛の愛でも何でも感じ取ればいいのに、混乱しているのか。


 僕から顔を離し、金剛は少し赤らんだ顔で…少ししか赤くない顔で、僕を見つめる。

「言葉は、譲ってあげるヨ。…男らしくネ?」

 今更男らしさも無いもんだ。女の子よりも真っ赤な顔で、女の子の方が行動的で、まったく情けない。
 けれど、情けなくとも…僕らしい。男らしくない僕らしさがはっきり出ていると思う。それが少し嬉しいのは、男らしくない僕を、変われないそのままを、金剛に好きだと思ってもらえたからなのだろう。


 …でも、やっぱり男らしい方が格好いいので、ここだけ頑張ろう。


「もう自分に嘘はつかない。好きだよ、金剛。」


 ちょっと淡白すぎるかとも思ったが、まあ男らしくという事ならこれでいいんだ。伝える事に意味がある。無理に飾る必要は無い。
 事実、金剛は喜んでくれた。

「…嬉しいヨ。」

 そこまではいい。

「提督、よく出来ましたネー!かっこいいデース!」

「うん、ありがとう。…馬鹿にしてるよね?」

「褒めてマース。」

 なぜ男らしさに磨きが掛かったはずの僕が、撫でられているのか。納得がいかない。…これも日頃の行いというものだろうか。

 今はそれでも仕方ない。僕が自分の想いを認め、金剛のように自分に正直になったのは、まだ今日の事なのだ。
 いずれ僕は僕なりに立場と想いを両立し、金剛を正面から愛するに足る男になろうと思う。それまでは、考えすぎてすぐ落ち込む提督でも許してほしい。

「提督、Tea Timeの続きにしまショー?恋人たちの昼下がり、海を眺めながら紅茶を嗜むひと時…Wow!素敵なSituationデース!」

 …人が真面目に考えてるのに、うるさいなあ。いいけど。