午睡
クロウは、マットの隅で目を閉じている双子に、コートやジャケットをかけると、ブルーノの寝ていない方のソファーに腰を下ろした。
座ると急に眠気がきた。部屋では、自分以外の全員が寝ているからということもあるかもしれない。とにかく今日は朝が早かった。
ソファーの背に背を預けると、目を閉じるクロウだった。
遊星が目を覚まし、寝ぼけ眼で身を起こすと、身体にかかっていた分厚い毛布と、ジャックのコートが落ちた。
かたわらのジャックは、まだ眠っている。遊星にしか見せないような無防備な寝顔をさらし、スゥスゥと小さな寝息を立てている。
というか、改めて部屋の中を見回せば、仲間たちの全員が寝ていた。
ソファーに腰掛けて、クロウが眠っている。反対のソファーでは、ブルーノが横になって寝ている。テーブルに突っ伏して、アキが眠っているようだ。遊星の足下では、小さな双子が同じ顔をして夢の中だ。
「どういうことなんだ…」
まだ夢の中なのかと思った遊星は、もう一度横になってコートを手繰り寄せた。ジャックがゴソゴソと寝返りを打ち、毛布を持って行った。遊星はそのジャックの背中に額を押し付けて、もう一度目を閉じる。
やっぱり何か足りない、と思った遊星は、ジャックを仰向けにして強制的に腕を伸ばし、その上にデンと頭を乗せた。
「………うぐ」
ジャックが痛そうな呻き声を出すが、おかまいなしに目を閉じ眠りに就く遊星であった。