機動戦士ガンダムRS 第47話 終末の光
それでも悪あがきに76mm重突撃機銃を撃ったが命中せず接近してきたユーピテルツヴァイに右腕を切られコックピットを貫かれ撃墜された。
※
「なのに戦ってしまった者達。
何のために?
守るために?
何を?
自らを。
未来を。
誰かを討たねば守れぬ未来、自分を、それは何?
何故?」
※
マーク少将は、ハイパービームザンバーで1隻のアガメムノン級を左右真っ二つに切り撃沈した。
※
「そして討たれた者には、ない未来。
では、討った者達は」
ラクスは、答えの出てこない自問自答をしていた。
ドミニオンのブリッジでは、ピースメーカー隊残存艦隊の全滅に皆が絶望していた。
※
「艦長」
ドゴス・ギアでは、チャップ中尉がブライアン艦長に指示を仰いだ。
「必要な機体は、補給をしろ。
アーガマもどき二番艦は、抑える。
コロニーレーザーもどきへ」
ブライアン艦長の命令で残存艦と残存機のほとんどは、コロニーレーザーもどきへ急いだ。
※
「その手に掴むこの果ての未来が幸福?」
ラクスは、まだ自問自答を繰り返していた。
※
フラガ少佐は、もうろうとする意識の中アークエンジェルへ急いだ。
※
「本当に?」
ラクスもSEEDを覚醒させた。
※
ヤキン・ドゥーエでは、ザラ大統領が勝利を確信していた。
※
「第8閉鎖バンク閉鎖。
サブ回線オンライン。
弾薬ノッシュ進行中」
マゼランと砲撃戦をしていたアークエンジェルのブリッジでは、サイ二等兵が被害を報告した。
「ドレッドノート、フラガ機が帰投します。
被弾あり」
ミリアリア二等兵の報告にラミアス艦長が息をのんだ。
その時ドレッドノートガンダムから通信が入った。
「くそ・・・サオトメの実力・・・も、もう一度・・・」
フラガ少佐の意識は、朦朧としており正直何を言いたいのかわからなかった。
「報告は、あとです。
整備班、緊急着艦用ネットを。
医療班待機」
ラミアス艦長は、艦内通信で整備班と医療班に命令を出した。
アークエンジェルは、ラミアス艦長の命令でハッチが開放した。
「悪い」
そこでドレッドノートガンダムから通信は、切れた。
※
それは、マゼランからでも確認できた。
「今だ、撃て」
艦長は、砲撃長に命令を出した。
「早くあいつを沈めろ。
主砲照準」
艦長は、遊撃艦隊でη艦隊すら沈められなかった不沈艦が沈められると興奮して叫ぶように命令した。
「待ってください。
こちらの被害も甚大です。
主砲へのエネルギードライブが損傷しておりチャージに時間がかかっています」
砲撃長が艦長に待ってくれと頼んだ。
「どのくらいだ?」
艦長は、その報告を聞いた途端にいらだった。
「数分待ってください」
砲撃長がチャージ時間を報告した。
「なるべく急げ。
このチャンスを逃すな」
艦長は、興奮しながら砲撃長に命令した。
そしてマゼランのブリッジでは、皆が主砲へのチャージが終わらないか待っていた。
そしてチャージが終わった。
「あれさえ沈められれば全てが終わる」
艦長の言葉を聞きながら砲撃長は、主砲の発射準備を進めた。
「そして俺は、昇進する」
艦長は、興奮で汗を拭きだしていた。
それは、皆も同じだった。
そして主砲は、撃たれた。
※
それは、アークエンジェルでも確認できた。
「艦長」
サイ二等兵が叫んだ。
「回避」
続いてラミアス艦長が落ち着いて命令した。
「駄目です。
間に合いません」
しかしノイマン少尉の絶叫に等しい報告にラミアス艦長は、絶望した。
その時ビームがブリッジに命中する寸前にドレッドノートガンダムが複合兵装防盾システムで防いだ。
その光景にラミアス艦長が目を疑っていた。
ドレッドノートガンダムの複合兵装防盾システムは、順調にビームを防げていた。
しかしドレッドノートガンダムのコックピット内では、危険を知らせるアラームが鳴りっぱなしだった。
「やっぱり俺って・・・不可能を可能に」
直後フラガ少佐の乗るドレッドノートガンダムは、愛するラミアス艦長の目の前で撃墜された。
ラミアス艦長や皆は、一瞬呆然としていたが愛するフラガ少佐が死んだことが分かった瞬間ラミアス艦長は悲しみのあまりフラガ少佐の名を叫んだ。
※
それは、マゼランの艦長も確認していた。
艦長は、再チャージを行いつつ操舵席に着くと宙域から離脱しようとした。
しかし舵は、ほとんど効かずとても宙域から離脱できなかった。
※
ラミアス艦長は悲しみ、涙を流していた。
「マゼランは、尚も接近」
サイ二等兵が報告した。
「ローエングリン照準」
ラミアス艦長は、怒りを込めて命令した。
アークエンジェルは、ローエングリン2番を出した。
※
「クソ」
艦長は、絶望に襲われた。
※
ローエングリンは、チャージを終えた。
「撃て」
ラミアス艦長の命令でローエングリンは、発射されマゼランのブリッジを破壊し轟沈させた。
※
ドミニオンは、全ての火器が使用不能になっていった。
「総員、退艦」
バジルール艦長が乗組員に命令した。
「何を言っている?
あれは、死神の搭乗艦だぞ。
何とかして沈めろ」
アズラエル大統領は、銃口をバジルール艦長に向けると怒鳴った。
すると以外にもバジルール艦長は、臆することもなくアズラエル大統領に近づいた。
「その通りです。
そしてここまでこの艦を損傷させたのは、私の責任です」
アズラエル大統領は、バジルール艦長の言いたことがわからなかった。
「ですから私の命と引き換えにあれを沈めてみましょう」
そういうとバジルール艦長は、アズラエル大統領のみぞおちを殴り悶えさせた。
「アズラエル大統領をつれてアークエンジェルへ行け」
それがバジルール艦長の最後の命令だった。
オペレーターは、アズラエル大統領を抱えるとブリッジから出た。
バジルール艦長は、それを確認すると操舵席に着いた。
※
それは、ドゴス・ギアでも確認できた。
「アーガマもどき二番艦より脱出艇。
艦を放棄するようです」
イワン軍曹の報告にブライアン艦長も驚いた。
「て、敵艦増速。
こちらに向かっています」
その時ハリダ軍曹が血相を変えて報告した。
「神風だ。
回避しろ。
面舵」
ブライアン艦長が回避するように命じた。
「駄目です。
間に合いません」
チャップ中尉が叫ぶように答えた。
するとブライアン艦長は、艦内電話を取った。
「全砲門、開け。
あれを沈めろ」
ブライアン艦長の命令でドゴス・ギアは、アーガマもどき二番艦を砲撃した。
※
ドミニオンでは、命中弾や掠り弾の衝撃がブリッジを襲った。
(ノイマン少尉、聞こえていますか?
私は、ずっとあなたのことを見ていました。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第47話 終末の光 作家名:久世秀一