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くちびる

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また馬村の唇が近づき、合わさった。

やっぱり馬村の唇やわらかいなぁ。

気持ちいい。

「お前が唇ばっかり見るから
 沖縄を思い出して、理性ふっとびそうで
 今日1日やばかったんだからな!」

「えっヤバイってそういうこと?!」

「…」

馬村が恥ずかしそうにすずめをジッと見る。

「…そうなんだよ。」


「あ~いや、うん。ごめん。」

そんな風に思っててくれたなんて
全然考えもしなかった。


「いやもう落ち着いた。」

すずめのそんな様子をみて
少し冷静になった馬村は、体を離し、

「茶でも飲む?」

とすずめをリビングにうながした。


「あ、いただきます。」


すずめはソファに座って紅茶をいただく。


「俺こんなの初めてで
 自分の衝動が抑えられなくなるのとか
 マジで自分怖えんだよ。
 そんなの…想像できねえだろ?」


紅茶を飲みながら、俯いたまま
馬村が自嘲気味に笑っていた。


「私も同じだよ?
 なんかこう、好きだなぁって
 下から湧き出る感じ。」

「!!///」

すずめの思わぬ告白に、
馬村は嬉しくてたまらなくなった。

「前にそういうことするつもりないって
 言われたけど…されると嬉しい…かも。」

「は?バカ!だからそういうこと言うのヤメロ。」

我慢がきかなくなってしまう。

「そんなこと言うと
 止まれない時もあるかもしれねえだろ?」

「え、わかった。じゃあキス我慢する。」

「えっ!?」

「一緒に先に進んでいい
 って思えたらキスしようか。」

「まっ待って!マジで?!
 それも無理な気がしてきた。」


「ふっ」

すずめが吹き出した。



「なっなんだよ!」


「嘘だよ!私もそれは無理だ。
 だって好きなんだもん。馬村が。」


「大好きだよ。」

馬村はそっとすずめに近づき、

「俺も」

とつぶやきながらまたキスをした。


「ただいま~~!
 すずめ来てるの?!」

リビングのドアが勢い良く開いて
大地がランドセルを
床に放り投げる。


「すずめ!この間の続きしようぜ!」

すずめは大地にひっぱられ、
テレビゲームにつきあわされる。

ハァ。俺は一生コイツに振り回されそうだなぁ。

と大地と楽しそうにゲームをする
すずめの横顔を見ながら、

それも悪くないかと馬村は
ティーカップの片付けをするのだった。
作品名:くちびる 作家名:りんりん