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【APH】宗主国と植民地の99年間。

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イギリスの歴史は、深い。
そんなこと国々は誰でも知っているのでした。
何処かの国に侵攻されたり、大国になるまではいろんな苦しみに耐えてきたことも知っています。
だから、どの国だってイギリスが暴走することは仕方のないことだと思っていました。
イギリスは上司には忠実に従います。
だから、他国とは仲良くすると言っても上辺だけの仲なのです。
心から信じることはないし、国の利益の為なら裏切ることもあります。
すごく計算されたイギリスの動きに他の国々はいらだつこともありました。
しかし、イギリスの暴走を止める人なんて居ませんでした。

しかし、そんなイギリスのところに一人の植民地がきて、彼の世界に変化が現れました。

イギリスには多くの植民地があります。
7つの海を制覇途中であるイギリスの上司の一人は惑星併合もしたいと言ったほど、イギリスは植民地を持っていました。
そして、イギリスの嫌いなフランスからパリ条約で一人の国がまた植民地になることになりました。
名前は「セーシェル」 インド洋の孤島で、フランスのお気に入りの島でもありました。
イギリスは上司に一つ植民地が増えると言われ、その国を預かることになった。
元フランス領の国はイギリスとその部下がその国に行き、指導することになっているのです。
フランス領に限るのは、イギリスとは仲が悪い為反抗心が強いものだからです。
そしてイギリスはその新たに植民地入りする「セーシェル」に行き、任務を果たすのです。
もちろん、忠実なイギリスは上司の命令を聞いて準備をしてすぐにセーシェルに行きます。
当時は航空機なんてちゃんとしていない訳ですから、長い時間をかけてセーシェルまで行きます。

イギリスはセーシェルにたどり着きました。
イギリスは船から周りを見回します。
空は真っ青、海はとても綺麗なエメラルドグリーン、白い砂浜。
とても美しい場所で、イギリスはその景観に見惚れました。
そこにぽつりと居る一人の少女を見つけました。
「セーシェル」その名前の少女だとイギリスはすぐに感知しました。

久々に地面に足をつけ、イギリスはその少女に歩み寄ります。
やはりフランス領の香りがする、イギリスはそう思いながら彼女を見つめます。
嫌そうなそのしかめっ面はイギリスは何度も見てきました。
「俺はお前の宗主国になるイギリスだ。今回はお前の家の指導をすることになった。」
彼女は眉間にしわを寄せます。それもイギリスは慣れっこです。
「とりあえず島を案内してくれ。そうでもしないとお前の家のことを理解できない。」
セーシェルは黙ってイギリスを見つめます。
黙って首を縦に振るだろう、イギリスはそう考えてました。
しかし、セーシェルはそんなことしませんでした。
「嫌です!なんであんたなんかの言いなりにならなくちゃいけないんですか!」
そんな反抗する国は初めてでした。
これは厄介だ、イギリスはそう判断します。
「お前、大国にそんなこと言ってどうなるかわかってんのか?」
これは脅し、反抗した国にはそうするしかありません。
しかしセーシェルはその態度を崩しません。
「フランスさんはそんな事言いませんでした。フランスさんを呼んでください。」
ああ、だからフランス領は嫌なんだ、イギリスは呆れていました。
セーシェルは硬いフランスへの執着心を崩しません。
他国とはどんなものか、フランスに多少のことは教えてもらいましたが、イギリスについてはとても嫌な奴だと教えてもらっていました。
フランスは国の中でもイギリスのことが一番嫌いなものでしたから、嫌な面しか教えてはいませんでした。
だから、イギリスの過去なんて、一切話すことはありませんでした。
なので、セーシェルの中では イギリス=史上最悪の国 という式ができあがっていました。

「勝手に回ってくださいよ。あんたに教えることなんてないです。私のこと知らなくていいですから。」
その冷たい言葉にイギリスは頭の中の何かがふっ切れました。
ここまでイギリスを苛立たせる国ははじめてです。
「あぁ?ふざけんなよお前!宗主国様にそんな態度とっていいと思ってんのか?」
イギリスは冷静な顔を崩し、セーシェルをにらみつけます。
セーシェルは少しそのイギリスの表情に震え、冷や汗をかきますが一向に態度を変えません。
「大国だから宗主国だからってこっちに反抗する権利はあるんじゃないですかこのクソ眉毛!」
語尾のクソ眉毛にイギリスはとてつもなく怒りを感じます。
ああこれはフランスの髭が教えたな、とイギリスはすぐに判断します。
「眉毛って言うなばか!俺にはイギリスという名前がちゃんとある!てめふざけんなよ!やっぱり元フランス領ってのはバカばっかだな!」
フン、と鼻をならしてイギリスが言うと、セーシェルはわなわなと拳を震わせます。
「フランスさんをバカにしないでください!それに私も私以外のフランス領の方々はバカじゃないです!あんたの方がバカですよ!他国の気持ちも理解できない冷淡眉毛!沈没しろ!」
そう言うとセーシェルは走り去ってどこかへ行ってしまいました。
しかしイギリスは捕まえることはありませんでした。
セーシェルの言葉がイギリスの頭の中にずっと続いて流れます。

(他国の気持ちも理解できない冷淡眉毛!沈没しろ!)

「他国のことを理解するわけ、ないじゃねえかよ・・・・国はそんなに甘くねぇ。」
自分に伝えるようにそうイギリスは呟きます。
しかし、セーシェルの言葉はずっとイギリスの頭の中に流れます。
イギリスは白い砂浜を蹴って、海岸線を歩き始めました。

「何ですかあの眉毛!バカですよあの人!」
セーシェルは木の下に座っていました。
セーシェルの目の前には綺麗なエメラルドグリーンの海が見えます。
耳にはさざ波の音しか聞こえません。
ここはセーシェルのお気に入りの場所です。
ふと、セーシェルはフランスが言った言葉を思い出します。
(イギリスはね、最悪な奴だよ。でもさ、そうなっても仕方ないことがあるんだよね。俺もイギリスをあんなんにした原因の一国だし。)
それは一体なんだろう、セーシェルは考えてみますが思いつくことなんて一つたりともありません。
「・・でも、悪い奴に変わりはないじゃないですか・・・。眉毛の言いなりなんて絶対になりません!」
セーシェルはぐっ、と手に拳を作ってそう呟きました。

その頃、イギリスは島の案内人の人に島を紹介して貰っていました。
案内人の人はイギリスに目を向けることを怖がっていて、どもっている調子でした。
(これが普通の反応なんだけどなあ。)
セーシェルのことを考えながら、イギリスは案内されていました。
セーシェルはとても美しい場所です。
イギリスの目の前には美しいものしか見えることはありませんでした。
この土地の何処に、セーシェルが気が強くなる要素があったのか不思議でたまりませんでした。

イギリスが島を歩き、もう長い時間が経ち、夕方になっていました。
案内人と別れ、セーシェルと会った砂浜に戻ってきました。
夕日が沈む姿は今まで見た夕日でも一番と言っていいような夕日でした。
「・・・綺麗だな。」
ふと、自分の意見を口に出してしまったイギリスは首を振ります。