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【APH】宗主国と植民地の99年間。

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セーシェルは濡れた服でも大丈夫に居られそうな海岸に座ります。
「・・っ・・何さ・・イギリスさんのばかっ・・・。」
セーシェルはイギリスの先ほどの言葉を否定されたくなかったのです。
そのまま、植民地だとか、そういうことを言われたくはないのでした。
「・・・好き?」
ふと、セーシェルはそう呟いてみると、体がほてってきました。
ぐるぐると頭が混乱して、セーシェルは海にダイブしました。

「はぁ・・・・」
ぷっかりと浮かんで、セーシェルは空を見ると、そらはみるみるうちに黒くなっていきます。
やがて灰色の雲が空を覆い、雨が降ってきました。
そろそろ戻ろう、とセーシェルが思った瞬間、足が地面に付きません。
「・・・あれ?」
セーシェルは一旦海に潜り、体勢を整え、顔を出すと、少しばかし遠いところに流されていました。
「今日はそんなに海は荒くないはず・・・わあっ!」
ゴロゴロと雷が鳴り出し、セーシェルは驚いてしまいました。
驚くことと同時に足に激痛が走ります。
「っは・・・・!・・・・いや、なんでこんな時に・・・・。」
セーシェルは必死にもがきますが、体は思うように動きません。
体は徐々に沈んで行きます。
(・・・助けて・・・・・・・・イギリスさん・・・・!)
不意に思いついたイギリスの名前をセーシェルは心の中で叫び、意識を失った。
失った瞬間、セーシェルの視界には綺麗な緑色の何かが見えた気がした。

つい、先ほど、ぽつりぽつりと雨が降っていたとき、イギリスはセーシェルと同じ海岸に出てきていました。
「今からきっと大嵐ですよ。イギリスさんも早く家に入らなくちゃやられちゃいますよ。」
通りがかりの一人の女性が食物を大量に持ち合わせ、イギリスに話しかけた。
「お、大嵐?」
イギリスは驚いてその女性に言い返します。
「海は大荒れしますよ。下手したら1キロ移動するからねぇ。・・あら、もう空がこんなに真っ暗!早くイギリスさんも家に帰ったほうがいいですよ!」
小走りで女性は去っていきました。
イギリスは焦ってセーシェルを探します。
「セーシェル!」
砂浜を走り続けると、雷がゴロゴロと鳴り始めます。
すると、バシャバシャと海から水しぶきを出しているところを見つけました。
「セーシェルっ!!」
イギリスは服を着ているにも関わらず、靴を脱ぎ、海に入っていきました。
「・・くそっ・・・荒いな・・・!」
イギリスは覚悟して潜り、セーシェルを探し出します。
潜るといつもは視界が美しい海はにごり、視界はとても悪いです。
しかし、イギリスはセーシェルを見つけ、手を掴みあげます。
(・・セーシェル・・・お前だけは絶対に守る・・・。)
イギリスはそのまま抱き寄せ、上へ上昇する。

イギリスはセーシェルを砂浜に寝かす。
「応急処置・・しなくちゃな・・・。」
イギリスはセーシェルの顔に近づき、気道を確保します。
次に、額に手を当て、鼻をつまみ、イギリスは大きく息を吸いセーシェルの口を覆います。
懸命にイギリスはセーシェルに人口呼吸をした。

セーシェルが目が覚めると、目の前にはイギリスの姿がありました。
「セーシェル!」
イギリスはセーシェルに顔を近づけ、心配そうな顔をする。
「イギリスさん・・・私・・・。」
セーシェルは体を起こし、気遣うようにイギリスは背中を持つ。
「・・お前、海で溺れてたんだよ。」
はっ、とセーシェルは思い出して、イギリスの顔を見つめます。
その姿に申し訳ないという気持ちになり、イギリスはセーシェルを強く抱きしめます。
「はうっ!い、イギリスさん!?」
イギリスの顔を見ようと顔を上げようとすると、イギリスに強く抱きしめられてしまいます。
「ごめんっ・・・。俺があんなこと言わなくちゃお前をあんな目に遭わさなくてすんだのに・・・っ」
すると、セーシェルはイギリスが震えていることに気が付きました。
「・・イギリスさん、泣いてるんですか?」
「うるせえ!泣いてねえよ!」
その後、少しばかり沈黙は続きますが、イギリスはセーシェルを離しません。
「嘘だ。お前は植民地だからお前が俺のものなんて。」
沈黙を破り、イギリスはセーシェルに顔を向けます。
「え・・・。」
セーシェルは目を丸くします。
イギリスはセーシェルの顔に近づき、口付けをしました。
セーシェルの唇からイギリスの唇に熱が伝わり、二人は赤くなります。
「っわ!・・・悪い!」
イギリスはセーシェルからはなれ、逃げるように離れていきます。
「・・・好きなんだよ・・・。お前のこと、植民地とかそういう訳じゃなくて・・・・・・。」
セーシェルに顔を向け、イギリスはセーシェルにそう伝えます。
その言葉にセーシェルは顔を赤くして、ベッドから立ち上がります。
ゆっくりとイギリスの方に歩み寄り、セーシェルはイギリスを抱きしめます。
「・・・ばか! 大好き!」
笑ってセーシェルがそう言うものだから、イギリスも笑ってセーシェルを見つめ、また二人は口付けをしました。


「イギリスさん、帰っちゃうんですか?どうしてですか?」
その一週間後、急遽イギリスは上司に呼ばれ、帰らなくてはいけないことになってしまいました。
「あっちで激しい戦いになったんだ。こればかりは行かなくちゃいけねえんだ。」
セーシェルはいつもとは違うカーキ色の軍服を着たイギリスを見つめます。
「大丈夫、すぐ帰ってお前のところに戻るよ。・・・次は、上司の言いなりばっかにはならねえ。俺は感情を持った『イギリス』だからな!」
ぐしぐしとセーシェルの額にコツンと自分の額を当てて笑います。
「待ってますよ!ずっと・・・!」
セーシェルもにっこり笑いました。
イギリスは新型のジェット機に乗り込んでいきました。

「絶対帰ってきてくださいね・・・・!」






それは、第一次世界大戦の始まりでした。



 







end