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【APH】宗主国と植民地の99年間。

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イギリスが目が覚めたときには、ベッドの上でした。
見覚えのない天井を見つめ、イギリスはセーシェルに来ていることを思い出しました。
「あ、起きました?」
セーシェルはイギリスが起きたことに気づき、口を開きました。
「びっくりしたんですよ。いきなり話してたら倒れちゃって。熱もないですし、寝不足なんじゃないですか?」
セーシェルの言う通り、イギリスは寝不足でした。
国務に尽くし続け、もう一週間近くは眠っていませんでした。
その体の限界と、セーシェルとの話の感情の混乱が同時に招き、イギリスは倒れてしまったのです。
「・・・イギリスさん、もっと自分の感情で動いたほうがいいです。」
イギリスの視野にセーシェルの顔が見えます。
イギリスはその間近の顔に顔を赤くします。
顔を間近に寄せられることは全くなく、しかもそれが女性だとしたらなおさらありません。
「っば、ばか!離れろ!」
その態度にセーシェルは不思議そうな表情をしますが、離れはしません。
「イギリスさん・・昔、何かあったって聞きました。」
フランスが多少話したのか、イギリスはそう考えました。
昔あったこと辛いことによって、イギリスは自分の感情で動くことはありません。
忠実に上司や人に従うことでイギリスは自分が昔のように辛い目にあわないと思っていたからです。
だから、今イギリスは大英帝国という高貴な立場にあると思っていました。
「でも!逃げちゃだめだと思います。イギリスさん、自分の過去から逃げてます!」
その言葉がイギリスの胸のうちに強く叩きつけられました。
逃げる・・・その通り、イギリスは自分の過去から逃げています。
セーシェルの言葉はご尤もな意見です。しかしイギリスはそれをも認めたくはありません。
「しょうがねえだろ!国なんて人に従わなくちゃいけねえんだよ!お前だっていつかきっとわかる!」
イギリスの最後の言葉にセーシェルも打ち付けられました。
セーシェルはまだ若い、歴史は浅いのです。
もしかしたらイギリスのように辛い目にあうかもしれません。
「私は・・・まだ歴史が浅いし、長い歴史を持つあなたに言う価値はないかもしれません・・・。でも・・・。」
イギリスの頬に生暖かい水がぽとりと零れてきます。
セーシェルは辛そうな顔をして涙を流します。
その姿にイギリスは罪悪感を感じます。
「わ、悪い!大丈夫か・・・?・・・言い過ぎたな。すまなかった・・・。」
イギリスは起き上がり、セーシェルの体を抱き寄せます。
セーシェルからは海の香りがして、イギリスの鼻をその香りがかすめます。
小刻みにセーシェルは背中を動かします。
「・・・ごめんな、セーシェル。」
心の奥底にあった素直な言葉をイギリスがセーシェルに呟きました。
もちろん、イギリスはこんなことになるのは初めてです。
植民地にここまで心を動かされてしまうなんて到底ありえないとイギリスは思いました。

「・・イギリスさん、自分の感情で動いてくれたほうが・・私はいいと思います。」
泣き止んで、セーシェルはイギリスの胸の内に入ったままそう呟きました。
そのセーシェルの言葉にイギリスは動かされました。
そんな単純に、なんて思いますがイギリスにとってはセーシェルの言葉はとても大きなものでした。
「・・・そのー・・・。あ、・・・ありがと・・うな。」
その言葉にセーシェルは顔をイギリスに向けます。
そっぽを向いてイギリスは顔を赤くしていました。
セーシェルはニコリと笑ってイギリスを見ていました。


それから、イギリスはセーシェルの家に滞在することになりました。
少しずつ自分の感情を表に出し、大英帝国の優しさが少しずつセーシェルは見えてきました。
時折見せる厳しさにはセーシェルは反抗しますし、喧嘩することだってあります。
しかし、それが二人にとって普通なものでした。

やがて、その二人の気持ちは変化し始めました。
イギリスはセーシェルの笑顔な姿で胸が高鳴ります。
セーシェルがご機嫌だと、イギリスも嬉しくなります。
しかし、植民地の分際にそんな気持ちをうごめかしたくない、なんてイギリスはその気持ちを否定し続けていました。
セーシェルもイギリスの姿を見ると胸が高鳴ります。
それはフランスと一緒に居るときにはない気持ちだとセーシェルは思っていました。
しかし、こんな性格の悪くて素直な宗主国なんかに気持ちをうごめかしたくない、とセーシェルはその気持ちを否定していました。
気持ちはすれ違い、二人は素直になれずにいました。

「イギリスさん!今日もいいおさかな釣れましたよ!」
とっても笑顔でイギリスに話しかけるセーシェルを見て、イギリスは顔を赤くします。
「お、おい!なんだその姿っ!タオル持ってかなかったのかばかぁ!」
セーシェルの着ている青色のワンピースは濡れそぼっていて、そのワンピースからそのセーシェルの綺麗な体格が露わになっていました。
「いーじゃないですか。何か悪いことがあるんですか?」
全くと言っていいほどセーシェルは気づいていません。
「・・いいか?そういう姿は俺にしか見せるなよ。お前は俺のものだからな・・・!」
バスタオルをセーシェルにくるませながら、ふとそんな言葉がイギリスの口から出た。
その言葉にセーシェルも言った本人のイギリスも顔を赤くした。
「っか・・勘違いするなよ!植民地だからって意味でふっ・・深い意味はないからな!」
その言葉にセーシェルは落胆した気持ちでした。
「そうですね・・。イギリスさんは私のこと植民地としか見てませんよね!」
そのままセーシェルはタオルに体をくるんだままどこかへ行ってしまいました。
「・・・え?」
イギリスは顔を赤くして立ちすくみました。
「・・・期待、して・・・いいのか?」
そう呟き、覚悟したようにイギリスは走りだして行きました。