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Ich liebe dich

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“Ich liebe dich.”


イタリアとドイツから聞いた話に日本は驚きの声を上げた。

「オーストリアさんの元気がない?」

いつも冷静なオーストリアが落ち込んでいる様子など一度も見たことがない。
しかし、同居中のドイツが言うのだからそれは事実なのだろう。

「元気がない………というか、いつもボーっとしていてな。かと思えばいきなりトルテを作ると言って爆発音をあげたり………。いつもの様子とは違うのだ…。」

ドイツの言葉に頷きながらイタリアも続けた。

「うんうん。この前俺がドイツの家に遊びに行った時も、挨拶しても全然気付いてくれなくてさ〜。溜息ばっかりついてたよ〜。」

真面目で礼儀に厳しいオーストリアが挨拶を返さないことなど信じられない。
イタリアはオーストリアから直々に礼儀作法を習ったのだ。

「何か、心当たりは無いんですか?」

日本は心配しながら尋ねる。困った事でもあるのかもしれない。

「多分………。アレだろうな………。」

ドイツは意味ありげに呟いた。

「アレだろうね〜。」

イタリアもドイツに同意する。

「アレ……?とは一体…?」

さっぱり検討がつかない日本にイタリアがこしょこしょと耳打ちするのだった。



一方ここはドイツの家。
イタリアと共に日本に向かったこの家の主は、ここにはいない。
しかし窓際に、溜息をつく一人の青年――オーストリアが座っていた。

「はぁ……。」

オーストリアは深い溜息をついた。
同居人であるドイツ、プロイセンは共に出かけており、今家にいるのはオーストリアだけだ。
オーストリアは随分前に別れた妻、ハンガリーのことを考えていた。

(最近、逢っていませんね……。昔は一緒に住んでいた仲だというのに……。)

二重帝国時代は同じ家で暮らし、いつも一緒だった。
上司の命令で結婚した二人は、また上司の命令で別れさせられた。

(軽々しく別れた相手に逢いに行くのもよくありませんし………。)

「はぁ………。」

また深い溜息をつく。
きっと逢いたいのは自分だけ……。
そう思うと逢いに行けなかった。
ハンガリーは、オーストリアとの二重帝国から独立した。
今は国を成り立たせるために、一番大切な時期のはずだ…。
今更、ドイツに併合されたオーストリアが逢いに行っても、何もできない。
むしろ、ハンガリーの迷惑になるかもしれないのだ……。
そんなことを悶々と考えては溜息を何度もつくのだった。

「そういう事でしたか…。」

イタリアからの耳打ちを聞き終わると日本は納得したように腕をくんだ。

「何とかしてやりたいと思っているのだがな……。日本、何かいい案はないだろうか……。」

このままではオーストリアの料理による爆発で家が壊れる、とドイツは付け加えた。

「好き同士なのにかわいそうだよ〜。」

イタリアは二人の事を考えて涙目になっている。
しかし、日本の目は逆にイキイキと輝いていた。

「そういうことなら、このギャルゲマスター、日本にお任せ下さい!必ずや二人に甘い時間を過ごさせてあげますよ!」

一人盛り上がる日本は紙に何かを書き始めた。

「ドキッ☆オーストリアさんとハンガリーさんラブラブ大作戦!〜ポロリもあるよ☆〜……………ってこれ何……?日本〜。」

尋ねるイタリアをよそにすごい勢いでプランをたてはじめる日本。
もはやギャルゲマスターは違う世界(=二次元)に旅立っていた。

「まぁ………日本に任せれば問題はないだろう……。多分……。」

不安たっぷりの中、枢軸によるラブラブ大作戦はスタートしたのであった……。


作品名:Ich liebe dich 作家名:ずーか