Ich liebe dich
夕食の席でもハンガリーの頬はまだ赤らんでいた。
彼女の唇には、先程のオーストリアのキスの感触がまだ残っている。
枢軸三ヶ国は皆、何かあったんだな〜。と考えていた。
オーストリアは何もなかったように平然としている。
もう、いつもの冷静なオーストリアに戻っていた。
イタリアとドイツはその様子を見て、一安心する。
オーストリアを元気づける、という当初の目的は達せられたようだ。
夕食後、日本とハンガリーは二人で洗い物をしていた。
「〜♪〜〜♪」
「ご機嫌ですね。ハンガリーさん。」
「え?いいえ。普通ですよ?」
しかし、にっこり笑うハンガリーの笑顔は本当に幸せそうだ。
突然、思いついたように日本が呟く。
「………………。夏コミの新刊、墺×洪本にしましょうか………?」
日本は、にっこりと笑った。
「…………え!!??ダ、ダメですよ!な、何言ってるんですか!日本さんっ!」
ハンガリーは動揺して洗っていた皿を落としそうになる。
いくら同人誌とはいえ、自分とオーストリアさんがそういう風に描かれるのは変な気分だ。
なにより恥ずかしい。
ハンガリーにだってプライドはあるのだ。
「そうですか〜?今日の事とかすごくネタになると思うんですけど……。」
「な・り・ま・せ・んっ!……/////」
「あ、R18のほうがいいですかね?」
「もう!からかわないで下さい!」
真っ赤になって怒るハンガリー。
その時、日本はふところから何かを取り出した。
「今日のオーストリアさんの浴衣姿の生写真で取引しましょうか………?」
ピラピラと見せ付けてくる。
オーストリアさんを取引に出してくるとは…………。
ハンガリーは心の中で生唾を飲み込んだ。
「…………………。あともう一声ですね…………。」
欲しがってることを悟られないよう、あくまで冷静に話す。
「分かりました。では次の新刊は、墺×洪本ともう一冊、普×墺本でどうですか?」
「…………………………。」
数秒の沈黙。
天秤にかけられていた羞恥心とプライドはどこかに飛んでいってしまった。
「……………参りました。」
ハンガリーは泣く泣く降参した。
だって普墺は読みたい。
「ハンガリーさんならそうおっしゃってくれると思ってました。」
全てが計画通りになって、日本はニコニコと笑う。
「日本さんにはかないませんね………。」
何か大切なものを無くした気がする。
しかし、ハンガリーにも譲れないものはあるのだ。
「伊達に歳はとっていませんよ。」
にっこりと笑いながら答える日本。
(本当にオーストリアさんが大好きなんですね……。お熱いことです。)
そんなことを思いながら。
ラブラブな二人へのちょっとした嫌がらせに、R18の墺洪を書いてやろうかな、とか考えてるギャルゲマスター、日本であった。
―おまけ?―
「日本さん!何書いてるんですか!」
「何って?R18の墺洪本じゃないですか〜^^」
「R18なんて聞いてないですよ〜!恥ずかしいから止めて下さい!!」
「でも鬼畜眼鏡のオーストリアさん、好きでしょう?」
「好きですけど……………そういう問題じゃないんですよ〜!」
今日も世界はオタクです(笑)
作品名:Ich liebe dich 作家名:ずーか