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美しく羽ばたいて

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うげぇぇぇぇぇっ。

毎日毎日吐いて
すずめは辛そうだった。


「諭吉さん、スミマセンっ。」

諭吉おじさんのカフェに行って、
すずめが食べれそうなものを
三食分弁当にして
もらって帰ってくる、

というのが、

大輝の最近の日課になっていた。

妊娠7ヶ月。
安定期に入っても
すずめのつわりは治まる気配がない。

元々細かったが
さらにガリガリになってしまった。

子どもが欲しいと言ったのはオレだけど、
こんなに辛そうになるとは
思ってなった。


「アレアレアレ~?
そこのスカした青年は馬村じゃん?」

「ゲ…」

「ゲ、てなんだよ、ゲッて。」

カフェに来た獅子尾と鉢合わせした。

「なんなんだよ。からむなよ。」

「相変わらず敬語が使えないね、オマエ。」

「アンタ限定でね。」


結婚式には呼んだものの、
二人は未だに馬獅子…ならぬ
犬猿の仲だった。

「馬村嫁はまだ吐いてんの?
大変だねぇ。」

獅子尾はすずめのことを
チュンチュンと呼ぶ代わりに
馬村嫁と呼ぶようになっていた。

「大輝くん、悪いね。またせて。
ちょっと今カフェ混んでて、
すずめのごはん、まだできてないんだ。
あとで届けるから先帰ってやって?」

諭吉にそう言われて
「わかりました。」と帰る。

「オレが届けてやるよー。」
と獅子尾に言われて

「絶対来るなよ!」
と大輝は吠えた。


作品名:美しく羽ばたいて 作家名:りんりん