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美しく羽ばたいて

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「カフェ混んでるみたいだった。」


家に帰ってすずめに伝えると、

すずめは

「ん…今何も要らないからいい。
ありがとう。」

と言った。


「大丈夫じゃないだろうけど
大丈夫か?」

「へへ…」

「悪い。オレがこども欲しいとか、
その言ったから…」

「赤ちゃん生まれるんだよ?
最高に幸せになるんじゃなかったの?」

すずめが笑って言った。

「でも…」

世の中の母はみんなこんなこと
経験してきてんのか?

旦那も?


大輝は信じられなかった。


親父も?母さんも?


そんなことを思っていると、

ピンポーン。

とチャイムが鳴った。


大輝の母だった。


「すずめさんがつわりで
苦しんでるって聞いたから、
ちょっと手伝いに来たわ。」

「おっお義母さん!」

慌ててリビングに敷いた布団から
出ようとしたすずめだったが、

「あ、いいの、いいの。
そのまま寝ててちょうだい。
しんどいんでしょう?
実家のお母さんのようには
いかないだろうけど、
リラックスしてて。」

といって、大輝の母は
バタバタと夕食の準備や
掃除を始めた。

「すみません…」

「ふふ、私も大輝の兄産んだ時は
つわりがすごくてねぇ。
産まれるまで続いたのよ。
何にも家事のできなかった主人を
その時仕込んだわ。」

思い出し笑いしながら
義母が家事をしていく。


「親父の家事のうまさは
その時からなのか。」

大輝は変に納得した。

「そうよぉ。私がわがままで、
食べれるものが少なかったから
いろいろ試して作ってくれるようになって…」

親父、かいがいしいな……

「すずめさん、今食べれそう?」

大輝の母に聞かれ、

「サラダのトマトなら…」

と答えると、

「オマエこの1週間、
トマトしか食ってねぇぞ。」

と大輝が心配そうに言う。


「あら、つわりってそういうものよ。
本能のお仕事だから、食べたいもの、
欲しいものを食べればいいのよ。」

「そうなんだ…」

「でもあんまり体重が減るようなら
お腹の赤ちゃんも育たないから、
点滴打ってもらうといいかもね。」

経験者の言葉は心強い。

「明日妊婦検診なんで、
お医者さんに相談してみます。」

すずめが言うと、

「オレも行く。」

大輝が言った。


「まっ、大輝は心配症ね。」

いろいろ片付けなどを
テキパキこなして、

じゃあ、お大事に、と
大輝の母は帰っていった。

「助かったね。」

「ああ…」

と話していると、

ピンポーン!とまた鳴る。

「何だ、忘れ物?」

母が戻ってきたと思って
大輝がドアを開けると、

「こんばんは~。
諭吉印の配達便です!」

と、獅子尾がやってきた。

「なんでオマエが来んだよ。」

「ゆきちゃんに頼まれたんだもんよ。」

玄関ですったもんだしてると、

「大輝?お義母さん、
何か忘れた?」

とすずめが出てきた。

「先生?!」

「よぉ、馬村嫁!
辛そうだなぁ。
あんなオタオタした馬村を
オレは初めて見たよ。」

「え…」

「寝てろって。」

すずめは大輝に
リビングに押し戻されそうになる。


「おいおい、コーヒーも
出してくれないの?
馬村くんちは~。」

「ちっ今カフェ行ってきたとこだろっ。」

「お、そうそう、これ、ゆきちゃんから。」

お弁当と、大きい紙袋。

中を開けると、女の子用の
ベビー服だった。

可愛いピンクのがいっぱい!


「おじさん、気が早い…
80とかまだ生まれてもないのに。
しかも性別まだわかってないよ?」


「姪が辛そうだから
何かしてやりたくて
しょうがないんだろ。」

獅子尾が言うも、

「いや、これはたぶん
おじさんの趣味と思う…」

すずめは呟いた。

大輝にいろいろ罵られながら
獅子尾も帰っていった。

その日はなんと、
ゆゆかちゃんやツルちゃん、
カメちゃんまで、様子うかがいの
メールをくれた。

いろんな人が心配してくれる。

がんばらないと!

すずめは思った。

作品名:美しく羽ばたいて 作家名:りんりん