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遺伝

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「あっゆゆかちゃん!」

美羽は満面の笑みで
ゆゆかに駆け寄る。

「美羽~っ」

両手を拡げて
ゆゆかが美羽を抱きとめる。

二人で頬をすり合わせる様は
まるで母娘だ。


美羽は2歳になっていた。

誰が見ても馬村2世というほど
美羽は大輝にそっくりだった。


が、なぜか性格はどちらにも似ず、
愛想のよい子に育っていた。


美羽はちょくちょく会う
ゆゆかに懐いていて、

大輝そっくりな顔で、
「ゆゆかちゃん、
ダーイスキ!」
なんて言うものだから

ずきゅぅぅぅん//////

と、完全にノックアウトされる。


今日すずめは、ゆゆかと
おじさんのカフェで
ランチの予定。


おじさんの店なら
美羽を連れても大丈夫、
むしろ連れてこいと
おじさんがうるさいので

すずめはちょいちょい
カフェに美羽を
連れていっていた。


「今日ね、美羽ね、
お子様ランチ食べる!」

ゆゆかに報告する美羽。

「カフェにそんなメニュー
あったっけ?」

とたずねると、

「美羽だけって。」

話の内容がどこまで
わかっているのかわからないが、
一応会話のキャッチボールが
できるようになっている。

子どもの成長は早い。


「諭吉じぃ~~こんにちわ!!」

愛想よくカフェに入ると、

「美羽ぅぅぅ!よく来たなぁ!」

目尻下げっぱなしで、

「ジュース飲むか?
ヤク○トもあるぞ?」

と諭吉もメロメロである。

「ありがとう!
諭吉じぃ、ダーイスキ!」

と美羽が笑えば
チョコレートまで出てきた。


「ちょっと、ちょっと、
これ、子どもの教育上
マズイんじゃないの?」

よそのうちのことながら
ゆゆかは心配になる。

「いくら言っても
おじさん、甘やかしちゃって
ダメなんだよね…」

すずめは諦めたように
ため息をつく。

2歳にしてこの処世術。

「なんかタイムマシンで
小さい頃の自分を見てるみたい。」

ゆゆかはつぶやいた。


作品名:遺伝 作家名:りんりん