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遺伝

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「私も時々、美羽の本当のお母さんは
ゆゆかちゃんじゃないのかと
思うことがあるんだよ…」

すずめが変なことを言う。

「やめてよ。」


美羽に自分に似たところが
みつからないので、
すずめは時々、あの出産は
夢だったんじゃなかろうかと
自信がなくなるらしい。


「大きくなって
成績悪いとこだけ
似たらどうしよう…」

すずめが言い出す。

「魚好きとか?」

ゆゆかが返す。

「今んとこフツー。」


「ろうかでオニギリ食べながら
歩いたりするかもね!」

ゆゆかが笑う。


「それ似てもらってもビミョーだね…」

「じゃあ、どこ似て欲しいのよ。」

「改めて言われると…思いつかない。」

「何なの、ソレ。」

二人で考えたが、
どれもこれもビミョーで、

「ま、そのうち
こんなとこが似てたって
出てくるわよ。」

と、ゆゆかは
慰めにもならない言葉で
その場を濁す。


カランカラン、と
カフェのドアが勢いよく開く。

「お?馬村嫁に猫田じゃねえの。」

獅子尾だった。


「先生!」


「久しぶりだなぁ。」


すずめが獅子尾に会うのは
妊娠中にごはんを届けてくれて以来だった。


「ん?そのちっちゃいのは…」

と言いかけて、

「ぶふぅ!」

と獅子尾が吹き出す。


「オイオイ、似すぎだろ!」

小馬村かクローンか、
というほど大輝にそっくりで
説明が要らないらしい。


入ってきた獅子尾を見て
美羽は固まっていた。

「美羽、あれ?挨拶は?」

誰にでも愛想の良い美羽に
めずらしく、顔を赤くして
後ろに隠れてしまった。

「?めずらしいな。
美羽?どうしたの?」

美羽は顔を隠して出てこない。


「こりゃ父と娘両方に
嫌われちゃったか?」

獅子尾が頭をかく。

遺伝ってこういうのまで
似ちゃうんだろうか。

美羽が人見知りするのを見て、
獅子尾は美羽の目線に
自分の目線を合わせるようにしゃがみ、

「美羽ちゃん、こんにちは。」

と笑って言った。

また美羽は何も言わず
顔を赤くして隠れる。


「先生、ごめんなさい…」

すずめが申し訳なく言う。


「こんなとこまで
馬村に似てるよな!」

と獅子尾は
すずめに笑ってみせた。


いつもは違うのに…

そう思っていると美羽が、
「せんせい?」と
すずめに聞く。

その様子を見て獅子尾が、

「そうだよ。オレ先生だったの。
君のお父さんとお母さんの。」

と美羽に視線を合わせたまま答えた。

「せんせい、なまえ?」

おずおずと聞くので、

「いや、先生は名前じゃないけど…
ま、いいや。うん、そうだよ。」

と笑いながら適当なことを言う。

また美羽が固まる。

「お前から悪人オーラでも
出てんじゃないの?」

諭吉が茶化す。

「ええっゆきちゃん、
悪人はないんじゃないの?!
俺、善良な教師よ?一応。」

諭吉と笑い合いながら
美羽の頭をくしゃくしゃとして
獅子尾はカウンターに座る。


ゆゆかは
美羽の様子を
ずっと見ていた。

「どうしたんだろうね。」

と言いながらも
獅子尾がご飯を食べ出すと、
ゆゆかとすずめも
テーブルの席で
いつものごとく
おしゃべりしながら
ご飯を食べた。

しばらくして

「そろそろ美羽のお昼寝の時間だから」

とお開きにしようとすると、

美羽がトン、と
テーブルの席から降りて、

「帰らない!」

と言い出した。


「え?なんで?」

すずめが困っていると、

トテトテとカウンターの方に走りより、
ガシッと獅子尾の脚にしがみつく。


「えっ!!」

その場の誰もが驚いた。


「せんせい好き!」


発した美羽のセリフに、
すずめは一瞬固まり、

ゆゆかはブハッと噴き出し、

諭吉は顔面蒼白、

獅子尾はハイ?
と気まずそうな顔をした。


「なななっ何言ってんの!?美羽?!」

すずめはハッと我に返って
美羽を引きはがしにかかる。


「五月、お前ぇぇぇ!!」

諭吉はゆらりと怖い顔で
獅子尾に近づいて胸ぐらを掴む。

「ちょっ待ってよ、ゆきちゃん。
2歳児の言うことにマジに
なるなよ。なぁ?」

獅子尾はゆゆかに同意を求めるが、

「天然タラシね。」

ボソッとつぶやかれる。

「何それ!」

獅子尾は慌てる。


ゆゆかは呆然としているすずめに
チラッと視線をやり、

「アンタに似てるところ
あったじゃないの。」

と言った。

「え?」

作品名:遺伝 作家名:りんりん